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押し売りと押し売り
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ツイです。
昼間の戦闘を終え、夜を迎えましたがシオさんが目を覚ますことはありませんでした。クエストのタイムリミットが気になる所ですね。
ライビットさん達が地面に緑の若々しい草を敷き、その上にシオさんを寝かせ、ちょっと良く分からない薬草を飲ませていました。心配しながらも数匹毎に代わり番こでお世話をする姿は見ていると気が安らぐものですね。
まあ、気が気でないのは確かです。良くわからない薬怖すぎでしょ。治るみたいなんですけどね。
そして直ぐ近くで様子を見れるようにと、人型に戻ったメアトさんと長さんが体育座りをして、何かを言葉を交わしていた。こちらはこちらでシュールな絵面で癒されますね。
ちょっと傍見見立てて会話を聞いてみましょうか。
「……そうか、某氏が、奴の装備であった」
「はい、メアトと言います」
「我の傍に来てどうしたのだ?あれ程痛めつけた我を殺しに来たか?」
ピンピンしている様に見えますが、長さんのHPは残り40パーセント程迄削られています。
自分も結構なダメージを負っている筈でしょうに。
「いえいえ、そんなことはあり得ませんよ。シオが感謝してると、嬉しそうに言っていました。シオを幸せにする人を私は仇で返すことは出来ません」
「やはり奴と同じで甘いな」
「ふふ、長さんもあまり変わらないのでは?」
柔らかい笑顔を見せられるようになりましたね、メアトさん……。キョドる事もありませんし、武器になると共に心も成長したんでしょうかね。なんか、我が子の様に嬉しい。私と……、シオさんの、ってバカァッ!私は何を言ってるんでしょう!流石に手を繋ぐことから始めましょうよ!飛躍しすぎました。脳味噌取り変えて来ます!
吐いた妄言をブンブンと手で取り消し、一旦、落ち着ついて……話の続きを……。
「……否定は出来んな」
「シオを守るための行為でしたもんね?」
「まあ、そうだな。だが、それは我の我儘だと戦いの後思い返すと気づいた。奴の気持ちを汲み取ろうともせず我の価値観だけを押し付けた結果だ」
「でもそんな優しくて自分を思う気持ちをシオは喜んでいました」
「結果がこれでは、全くの無意味だ。我の行いのせいで……」
随分と落ち込んでいる様子の長さん、体育座りして顔を膝にうずくめるの可愛いですね。
「どちらも気持ちをぶつけただけですから。……まあ、こうならず済む他のやり方があったかもしれませんね」
「もう何を言っても遅いがな」
「本当にそうですか?」
「何?」
「シオは死んでません。また明日起きて必ず二階層へ向かいますよ」
「無謀な奴だ……」
「でも人を助けたい一心で自分の身を投げ出すことを躊躇わない人はどこにもいませんよ。優しい人です……」
「そう、だな」
「もう一度止めますか?」
「いいや、もう奴の気持ちを踏みにじりたくない。私の押し売りで奴の幸せを奪うのは違うしな」
「ありがとうございます。でも、長さんの気持ちは守りたいという一心なのでしょう?」
「まあ、敵わぬ願いだが名、私の心が一つ潰れるくらい、あいつの幸せと比べたら、な」
「それは違うのでは?」
「……む?」
「誰かのために自分の心を傷つける必要はないと思うんですよ」
メアトさんは随分と自分の気持ちを出せる様になりましたね。自分の身を投げ出した時にふっ切れたのでしょうね。
「だが、な」
「先程も言いましたが、他のやり方があると思いませんか?シオが死ぬ覚悟を決めて幸せを求めているなら私達がそれを止める術はありませんよ」
「なら」
「でも、そんな彼を死なせない為に私達だって出来ることがあるでしょう?尽力を尽くせば、彼を守れば死なせる事はない訳でしょう?誰かの気持ちを踏みにじってはいけません、でも自分の気持ちも考えもある、なら私たちは彼を尊重してサポートすること、それが一番だと思いませんか?」
「ああ」
「私はシオを守りたい、死なないために、笑顔になってくれるために、私はシオを死なせない様に絶対守ります。私の命に代えても……」
「そこまで言える覚悟は我にはない。だが、我が意思は……、心は……奴を死なせたくないと言っている」
シオさんの優しさと気持ちが彼女らをこう言わせるのでしょうね。
ふふふ、これからどうなるのでしょう、ねえ、シオさん?貴方の心意気に誰しもが付いていきますよ。でもそれに伴い責任というものが出て来る筈です。頑張りましょうね、シオさん。
おっ、シオさんの寝顔が先程よりもどこか安らかになった気がしました。
昼間の戦闘を終え、夜を迎えましたがシオさんが目を覚ますことはありませんでした。クエストのタイムリミットが気になる所ですね。
ライビットさん達が地面に緑の若々しい草を敷き、その上にシオさんを寝かせ、ちょっと良く分からない薬草を飲ませていました。心配しながらも数匹毎に代わり番こでお世話をする姿は見ていると気が安らぐものですね。
まあ、気が気でないのは確かです。良くわからない薬怖すぎでしょ。治るみたいなんですけどね。
そして直ぐ近くで様子を見れるようにと、人型に戻ったメアトさんと長さんが体育座りをして、何かを言葉を交わしていた。こちらはこちらでシュールな絵面で癒されますね。
ちょっと傍見見立てて会話を聞いてみましょうか。
「……そうか、某氏が、奴の装備であった」
「はい、メアトと言います」
「我の傍に来てどうしたのだ?あれ程痛めつけた我を殺しに来たか?」
ピンピンしている様に見えますが、長さんのHPは残り40パーセント程迄削られています。
自分も結構なダメージを負っている筈でしょうに。
「いえいえ、そんなことはあり得ませんよ。シオが感謝してると、嬉しそうに言っていました。シオを幸せにする人を私は仇で返すことは出来ません」
「やはり奴と同じで甘いな」
「ふふ、長さんもあまり変わらないのでは?」
柔らかい笑顔を見せられるようになりましたね、メアトさん……。キョドる事もありませんし、武器になると共に心も成長したんでしょうかね。なんか、我が子の様に嬉しい。私と……、シオさんの、ってバカァッ!私は何を言ってるんでしょう!流石に手を繋ぐことから始めましょうよ!飛躍しすぎました。脳味噌取り変えて来ます!
吐いた妄言をブンブンと手で取り消し、一旦、落ち着ついて……話の続きを……。
「……否定は出来んな」
「シオを守るための行為でしたもんね?」
「まあ、そうだな。だが、それは我の我儘だと戦いの後思い返すと気づいた。奴の気持ちを汲み取ろうともせず我の価値観だけを押し付けた結果だ」
「でもそんな優しくて自分を思う気持ちをシオは喜んでいました」
「結果がこれでは、全くの無意味だ。我の行いのせいで……」
随分と落ち込んでいる様子の長さん、体育座りして顔を膝にうずくめるの可愛いですね。
「どちらも気持ちをぶつけただけですから。……まあ、こうならず済む他のやり方があったかもしれませんね」
「もう何を言っても遅いがな」
「本当にそうですか?」
「何?」
「シオは死んでません。また明日起きて必ず二階層へ向かいますよ」
「無謀な奴だ……」
「でも人を助けたい一心で自分の身を投げ出すことを躊躇わない人はどこにもいませんよ。優しい人です……」
「そう、だな」
「もう一度止めますか?」
「いいや、もう奴の気持ちを踏みにじりたくない。私の押し売りで奴の幸せを奪うのは違うしな」
「ありがとうございます。でも、長さんの気持ちは守りたいという一心なのでしょう?」
「まあ、敵わぬ願いだが名、私の心が一つ潰れるくらい、あいつの幸せと比べたら、な」
「それは違うのでは?」
「……む?」
「誰かのために自分の心を傷つける必要はないと思うんですよ」
メアトさんは随分と自分の気持ちを出せる様になりましたね。自分の身を投げ出した時にふっ切れたのでしょうね。
「だが、な」
「先程も言いましたが、他のやり方があると思いませんか?シオが死ぬ覚悟を決めて幸せを求めているなら私達がそれを止める術はありませんよ」
「なら」
「でも、そんな彼を死なせない為に私達だって出来ることがあるでしょう?尽力を尽くせば、彼を守れば死なせる事はない訳でしょう?誰かの気持ちを踏みにじってはいけません、でも自分の気持ちも考えもある、なら私たちは彼を尊重してサポートすること、それが一番だと思いませんか?」
「ああ」
「私はシオを守りたい、死なないために、笑顔になってくれるために、私はシオを死なせない様に絶対守ります。私の命に代えても……」
「そこまで言える覚悟は我にはない。だが、我が意思は……、心は……奴を死なせたくないと言っている」
シオさんの優しさと気持ちが彼女らをこう言わせるのでしょうね。
ふふふ、これからどうなるのでしょう、ねえ、シオさん?貴方の心意気に誰しもが付いていきますよ。でもそれに伴い責任というものが出て来る筈です。頑張りましょうね、シオさん。
おっ、シオさんの寝顔が先程よりもどこか安らかになった気がしました。
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