俺のステータス『軟弱 虚弱 脆弱 惰弱 貧弱 ※時折頑強』

気抜け

シオは私達を助けるために勇気を振り絞ってくれました。私も一歩踏み出せば何か変われるでしょうか。
メアトの目には拳を放つ長の姿が映る。
間に合ってください……！！
メアトは一生懸命に足を動かした。
「シオ！！」
そして叫ぶ。
「メアト！？」
間に合いました！！
俺と長の間に割って入り手を広げ「やめて！！」と必死にまた叫んだ。
「むっ！！」
長は咄嗟に拳の力を緩めるが、ほぼゼロ距離にある拳の衝突を防ぐまでは至らない。
「……私は、変わりたいんです！！」
覚悟を決めたメアトは怯むことなく長を見る。
駄目だ！体が動かない！

『隠しクエスト：メアトの覚悟を達成しました。装備が可能になります。希片翼のメアトを装備しますか？』

「え？あ。……はい？」
突飛に出現したモニター画面に映されたそう言った文言に俺は素っ頓狂な声で返事をしてしまった。
モニター画面に呆気を取られまだ理解が追い付いていない。
「あっ」
もう一度気の抜けた声を出してしまった。それは一瞬の気の緩みによるもので、それが命取りになる事だという事は言わずもがなだろう。
敵の攻撃の選択肢も、回避する術も何もかも全て放棄した俺が考えて動く事は出来なかった。
「ってあれ？」
緩んだ気が戻らないまま、疑問が沸いた。
目の前にいたメアトが姿を消していたのだ。
何故？と考え、まあ、攻撃が当たるのが俺で良かった、と楽観的になる。
長の拳は伸びて俺の顔面を貫く寸前。
本当にこれがメアトに当たらなくて良かった……。