29 / 36
思い繋がり
しおりを挟む
「何か疑問でもあるんですか?メアトさん」
「な、なんで、そこまで、シオを、何も言わず見守れるん、ですか……」
「心中ズッタズタですけどね」
あはは、と大きく笑うツイに対してメアトは眉をひそめた。
「シオさんは学んだんですよ」
「え?」
驚くメアトの姿を一瞥した後、ツイは言葉を続けた。
「じ、自分が、死ぬことが、怖いはず、なのに……。わ、私だったら逃げちゃう……」
「シオさんは死ぬよりも後悔をする方が怖いんですよ」
「こう、かい、ですか?」
「はい。だから私は見守る事しか出来ないんですよ。何も出来ないから」
「何故そこまでして戦うのだ」
長はメアトの気持ちを代弁したかのように同じ疑問を本人にぶつけた。
「……何もしないで、死ぬよりも、自分のしたいことをして、死にたいんだよ」
「自分の身を犠牲にしてまで、か?」
今にも倒れそうな俺の目の前で長は真剣な眼差しで疑問を投げかける。
「ああ、それが俺の幸せだから。結局自己満足だ……。人が俺のせいで死んだら悲しい。助けられたら嬉しい。だから、俺は人を助けたい。後悔をしないためにな」
「いかれてるな」
「何とでも言え。でも、俺の意思だけは、馬鹿にするな……」
「誰かが悲しむぞ」
「……誰が?」
俺は無表情のままそう答えた。
「私は、か、悲しいです……」
「メアトさん?」
二人の会話を聞いてメアトは率直な気持ちを言葉にぽつりと乗せた。
「シオさんの覚悟ですね。誰かを見捨てたくないという。自分を犠牲にしてでも」
わ、私のせいでシオが、死んだら、私は、きっと後悔するよね……。
「誰かがシオさんを支えていただけたらいいのですが……。私ではその役割は難しいですからね」
あはは、と今度のツイは悲しく笑った。
わ、私はどうすれば……。
「シオさんを守ってくれる人を募集って掲示板にでも書き込みましょうかね」
シオを守る……。
「ツ、ツイ。私にも出来るでしょうか?」
「?」
「わ、私、シオが、死んだら、とっても、悲しいです。そ、それで、死なないために、私がち、力を貸して上げられれば、って……」
「あっ……。ふふふ、良い考えですね。誰かの為に、それが繋がり、なんでしょうかね?」
私に、出来ること……。兎さんの攻撃を私に向けて、隙を作ること……。う、うまくいくかは、わかりません。でも、ここで、やらなきゃ、きっと自分は苦しい思いを、します!!
「い、行ってきます」
「応援してますよ!!」
こうやって人は思い、心で繋がっていくのですね。
メアトが一目散にシオの元へと走り行くのを少し羨ましそうにツイは見ていた。
「な、なんで、そこまで、シオを、何も言わず見守れるん、ですか……」
「心中ズッタズタですけどね」
あはは、と大きく笑うツイに対してメアトは眉をひそめた。
「シオさんは学んだんですよ」
「え?」
驚くメアトの姿を一瞥した後、ツイは言葉を続けた。
「じ、自分が、死ぬことが、怖いはず、なのに……。わ、私だったら逃げちゃう……」
「シオさんは死ぬよりも後悔をする方が怖いんですよ」
「こう、かい、ですか?」
「はい。だから私は見守る事しか出来ないんですよ。何も出来ないから」
「何故そこまでして戦うのだ」
長はメアトの気持ちを代弁したかのように同じ疑問を本人にぶつけた。
「……何もしないで、死ぬよりも、自分のしたいことをして、死にたいんだよ」
「自分の身を犠牲にしてまで、か?」
今にも倒れそうな俺の目の前で長は真剣な眼差しで疑問を投げかける。
「ああ、それが俺の幸せだから。結局自己満足だ……。人が俺のせいで死んだら悲しい。助けられたら嬉しい。だから、俺は人を助けたい。後悔をしないためにな」
「いかれてるな」
「何とでも言え。でも、俺の意思だけは、馬鹿にするな……」
「誰かが悲しむぞ」
「……誰が?」
俺は無表情のままそう答えた。
「私は、か、悲しいです……」
「メアトさん?」
二人の会話を聞いてメアトは率直な気持ちを言葉にぽつりと乗せた。
「シオさんの覚悟ですね。誰かを見捨てたくないという。自分を犠牲にしてでも」
わ、私のせいでシオが、死んだら、私は、きっと後悔するよね……。
「誰かがシオさんを支えていただけたらいいのですが……。私ではその役割は難しいですからね」
あはは、と今度のツイは悲しく笑った。
わ、私はどうすれば……。
「シオさんを守ってくれる人を募集って掲示板にでも書き込みましょうかね」
シオを守る……。
「ツ、ツイ。私にも出来るでしょうか?」
「?」
「わ、私、シオが、死んだら、とっても、悲しいです。そ、それで、死なないために、私がち、力を貸して上げられれば、って……」
「あっ……。ふふふ、良い考えですね。誰かの為に、それが繋がり、なんでしょうかね?」
私に、出来ること……。兎さんの攻撃を私に向けて、隙を作ること……。う、うまくいくかは、わかりません。でも、ここで、やらなきゃ、きっと自分は苦しい思いを、します!!
「い、行ってきます」
「応援してますよ!!」
こうやって人は思い、心で繋がっていくのですね。
メアトが一目散にシオの元へと走り行くのを少し羨ましそうにツイは見ていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました
竹桜
ファンタジー
いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。
だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。
そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。
これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。


幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる