俺のステータス『軟弱 虚弱 脆弱 惰弱 貧弱 ※時折頑強』

一能性

その後俺達は、朝日が昇るまで他愛ない話を続けた。
「ライビット、今日も付き合ってくれるか？」
寝起きだったライビット達だが、嫌な顔一つせず首を縦に振った。
ツイは未だに草木の上で気持ちよさそうに寝ている。余裕だな。
ライビット達と俺は早速戦闘態勢に入る。
メアトが心配そうに見つめている。
落ち着いて、よく見ろ……。
敵は昨日同様に何匹かが同時に攻撃を仕掛け、何匹かが裏に潜み攻撃のタイミングを図っている。
確かに焦らず考えれば良く見えるな……。
六匹同時の多方面攻撃。
こんなの避けられるのか？……いや、よく見てみよう。
前方から猪突猛進してくる二匹、その後ろ張り付く様にもう一匹が屈んで向ってくる。
前二匹は真っ直ぐ突っ込んでくるだけか？手足を動かす素振りは全く見せない。
……前は囮で本命は後ろの屈んだ一匹か？
だったら動かれる前に先に前方にいる二匹を叩こう。
「木の棒、装備」

『木の棒を装備しました』

これでリーチが少し長くなった。敵の虚を突くのも一種の攻撃だ。
俺は木の棒を振り上げた。刹那、ライビット二匹はそれに気づく。しかし急に体を止めることは出来ない。二匹の頭に木の棒が二発入る。
「きゃぅっ」
ライビットの重心が崩れ、後ろの一匹に二匹の背中が襲い掛かる。
そのままドミノ倒しの様に三匹は倒れる。
その虚動に他のライビット達は困惑を隠せない。一度体制を整えるようで自然へと身を隠し、その中で、一匹は慌てふためいて逃げることを一瞬怠った。
俺はそれを見逃さない。
すぐさま距離を縮める、と、ライビットは単純に腹部へと頭突きを狙う。
「おっと」
流石に読みやすい、俺はひらりと身をかわして、ライビットの頭突きを回避する。ライビットはそのまま木の幹に激突した。
この子たちはいくつかのプランを行って戦ってるのか？虚を突いたら逃げ出す……。臨機応変さが無いってことか。だとしたらそれを読んで、攻撃に生かせれば……。
結構単調だな。
いや、でも驕るな。俺は強いわけじゃない。焦るな……。心を静めて……。