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可能性
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「……きろ」
……暗闇で誰かが俺を呼んでいる。
「起きろ……でないと」
でないと?
「このライビットちゃんがキスしちゃうぞ?」
「起きます起きます。はい、起きました」
「ちぇっ、つまんないのう……」
目を開けるとわんさかいる変な兎たちが俺を囲んでいた。
あれ?生きてる……。それとも今から食べられる?
「生きていることが不思議か?」
「まあ、そりゃ……」
「自分でけしかけたから、という事か?」
「うん」
「で、どうする?また戦うか?」
「いやいや、一生勝てないよ」
「じゃあ、勝てるまで修行してこい」
「え?」
「何か不満か?」
「いや、不満っていうか変な話じゃないか?」
「何が変なものか。貴殿は我が子を守った最高の人間だ。そして良い覚悟を持っている」
「……さっき否定されたような」
「それは死を隣り合わせにした努力を行ったからだ」
「?」
「我は貴殿の成長を望んでいるんだよ。行動を起こせる人物がこの世には必要だ。モンスターも何も平行に見れるものが必要だ」
「でも俺は負けた。力も何もない俺にはそんな大それたこと出来るはずがないんだよ」
「今は、な。だからこその修行なんだろう?……それとも私にここで食い殺され、悔いることもなく死んでいくか?」
悔い…。
「ふっ。否定しないな。貴殿には出来ることが山ほどある。それを見つけ出し、全てを理解してこい」
俺に出来ること……。
「さ、行け」
俺は黙って一つ頷き、その場を離れる。
「修行には我が子らも使っていいからな!!」
離れる俺にライビットの長は言葉を連ねる。
「最後に、『努力の方向性を間違えるな。自らを驕るなよ』」
と、言って俺は走り去ってきたわけだが、何をどう修行すればいいかなどさっぱりわからなかった。
さらに、頭にはライビットの言葉が何度も何度もグルグル回る。
「お!修行するんですかシオさん!」
「急に現れたな。このドぐされ外道が」
「その言葉久しぶりに聞きましたわ!で!修行するんですよね!?」
「う、うん、まあ何も考えてないけど。ライビットの長が言ったことは引っかかるし、指示に従ったほうが良いって、なんか感覚的だけど」
「うんうん!いいことでは?」
「なんかすごい嬉しだな」
「そりゃ修行と聞いたら私!みたいなところありますからね!!」
「どんな連想したらツイに辿り着くんだよ。仮定が気になるわ」
「修行内容は私にお任せあれ!!ですよ?」
「本当に大丈夫か?死なない?」
「死にませんよ!!ちょっと生死の狭間を垣間見るだけです!!」
「ほぼ死亡やんけ、初心者にやる修行にしてくんない?」
「いやいや何を甘い!……ミュンタル様を助けるんでしょう。これくらい出来なくて何の覚悟を決めたんですか」
「……強くなれるんだな」
「勿論です!!」
「乗った!!」
「来ました私の時代!死なないように気を付けてくださいね」
「いや、死んだら元も子もないんだってば」
そして修行が始まったわけだが。
絶対指導者間違ってるよ。道場で白帯の奴が白帯の奴教えてるみたいだもん。ってかただの拷問だろこれ。
「ハイ!ちんたらしないもっと機敏に動く!!」
ツイ曰く持久力と反射神経を上げる特訓らしいが、躊躇いもないし、やはり人を一人殺しに来ている。
何度も生死の間を彷徨い、確かに持久力も、反射神経も少しは上がったが、格段には上がらない。
もともと体が骨と皮しかないんだ。才能もない。人として存在を保つので精一杯なんだよ。
これじゃあ時間がかかり過ぎるんだ。
俺は一度体の力を抜き地べたに座り込んだ。
「少し休憩しますかね?」
「ああ……」
何時間ぶっ通しだよ。追っかけながら死ぬって。ダサい死に方しちゃうって。
「なあ、ツイ」
俺は木に腰掛け、横にチョコンと座る煩い女に声を掛けた。
「なんでしょうか!!!!!」
鼓膜破りたいのかな?
「これじゃあ強くなるのに一年かかるよ?」
「ですね!才能ないですもんね!」
「ドストレート!でも本当の事だからなぁ。こんなんじゃミュンタルを助けれない」
「シオさん」
「ん?」
「楽しめてますか?」
「え?」
「この世界、修行、楽しめてますか?」
「いや、全然」
「マジ?」
「なんで不思議そうなんだよ。死にかけて楽しい奴は変態しかいないだろ」
「じゃあ変態になってくださいよ!」
「変態ってなるもんなの!?」
「なれますよ!!……シオさん、ちょっとついてきてもらっていいですか?」
「ん?どこ行くんだ?」
「楽しいところです」
「ゲーセン!?」
「いや、今ゲームの中……」
「でも何でそんなに楽しいにこだわるんだよ」
「私はこの世界のナビゲーターです。プレイヤーを楽しませるのが私の仕事です。それに私はシオさんに全てを貰えています。私も恩返しをしたいんですよ」
「俺、何もしてないんだけどな」
「してるんですよ。存在してるだけで誰かに影響を与えてるんです!さ!辛気臭い話はなしにして、私の手を取ってください!!」
「うん」
俺はツイの手を握って棒立ちをする。
『拠点aへ移動』
モニターは即座に起動。
そして俺たちは一瞬のうちに移動した。
一度瞬きをすると全くの別世界に飛ばされていた。
「なんだ?ここ」
目に入ってくるのはネオンに光る文字と商店。人はがやがやと賑わう。盛んな商店街の様だった。
「ここはプレイヤー専用のサーバーです」
「?違うサーバー?」
「です」
「プレイヤー専用ってことはこの人たちは」
「今現在他世界でプレイをしている人たちです」
「マジかよ……」
と言っても話しかけるとかは絶対できないんだけど。
「このサーバーには所要三千人です」
「ここは何なんだ?」
「装備の売買、アイテムの保管や補充、ミニゲーム、色々なことが出来るプレイヤーの憩いの場ですね」
「武器とかアイテムを買えるのか!!」
「はい!ミニゲームとかもありますからね!!」
「それはテンションも上がるなー」
「最初はどこへ行きます?」
「うーん、そうだな」
取り敢えず道に沿って歩き出し気になった店に入ることに、したのだ、が……。
「ひ、人多すぎだろ」
どこへ行っても人、人、であり流石に酔った。結局店には一つも入れず、店と店の間の狭い路地に腰を下ろした。
「ありゃりゃー……人苦手だったんですね」
「大勢はなー。気持ち悪くなっちゃうんだよ」
「次は時間帯を見計らってきましょうか」
「そうだな……でもありがとな」
「お役に立てて嬉しいですよ」
……
「?ツイなんか喋った?」
「いえ?」
――。
「ほらまた」
「??何も言ってませんが……。幻聴ですか?老人ホーム入ります?」
「いや、年的な物だったらやばすぎる」
――――。
何かが何かを言っている。
「ちょ、シオさん?どこへ……」
耳を澄まして、声の主を辿っていく。
もっとこっちだ……。
路地をいくつも抜けて、もっともっと薄暗く不気味な方へ。
「ここだ……」
「あうっ」
俺は急に立ち止まりツイは頭を俺の背中にぶつけた。
「きゅ、急に止まらないでくださいよー……って、なんですかここ」
「いや、俺が知るかよ」
路地を抜けたら急に開けた真っ暗闇の土地。そしてそこに一つ佇む一つの古びた『サマ』と書かれた店。
「入ってみます?」
「う、うん……」
少し恐怖を感じる。一歩一歩ゆっくり歩を進め、店の扉に手を掛ける。少し外れかけたドアをうまく開いて中へと入る。
「いらっしゃい。おやぁ?初めてのお客さんだね?誰からの紹介だい?」
と、こう言っては悪いが、薄気味悪い皺だらけのおばあさんが武器を磨きながらそう挨拶をする。
「ど、どうも」
「紹介先を言いな?」
紹介?
「紹介って何ですか?」
「おや!本気で言ってるのかい!?」
「?」
「けっけっけっけっ。あんたは何かを持っているんだねぇ。で、ここが何かは分かるかい?」
「武器、屋?」
「まあ、半分正解だね。私の店出来ることは呪いの装備の売買だね」
「のろい?」
「何となくわかるだろう?自分の大切な何かを代償に大きな力を手に入れられる武器の事さ。っは、力を欲する人間の欲望の愚かさと言ったらないねぇ」
「な、なんでそんなものを……」
「分からないかい?……金になるんだよこの商売は」
「……」
「っけっけっけ。私の説明は以上だよ。いくらでも装備を見てきな。買うも買わんもあんたの自由さ」
――――。
!!
「また何かが!」
俺は奥へ奥へと店の中を進んでいく。
「シオさーん。ここ怖いですよー」
「じゃあ、店の前にでも待ってりゃいいから」
「ナンパされちゃいますよー」
「自意識過剰かよ。ってか誰からも見えないから安心して外出てろ」
「あれ?冷たい?」
ツイは俺の言う事には従わずぴたりと背中にくっついてついてくる。
何なんだこいつは。
そしてどれだけ長いこと歩いたろう。
五分、か十分か。それ以上か。
外見とは裏腹に途轍もない程だだっ広い敷地内だ。
「ここだ」
そして俺は一つの扉の前に立ち止まる。
「ム!あんたそこは!!!!」
ばあさんの声を横に俺は扉を開ける。
「ごほっ……」
息を吸うだけで簡単に咳き込む。
……人が住めた空気じゃないな。
「アンタ、こいつを見つけるとは、ね」
「この、子は……」
しかしその部屋の片隅には体操座りをしている子供がいた。
「クソガキ、挨拶しな」
「わ、私の所へ、よ、ようこそ、おいでなさいまし、た……」
少女はフラフラの痩せこけた体で細々とあいさつをした。
「この子……は……」
俺はもう一度おばあさんに問いかけた。
「呪いの装備だね。一切使いようのない、ね」
……暗闇で誰かが俺を呼んでいる。
「起きろ……でないと」
でないと?
「このライビットちゃんがキスしちゃうぞ?」
「起きます起きます。はい、起きました」
「ちぇっ、つまんないのう……」
目を開けるとわんさかいる変な兎たちが俺を囲んでいた。
あれ?生きてる……。それとも今から食べられる?
「生きていることが不思議か?」
「まあ、そりゃ……」
「自分でけしかけたから、という事か?」
「うん」
「で、どうする?また戦うか?」
「いやいや、一生勝てないよ」
「じゃあ、勝てるまで修行してこい」
「え?」
「何か不満か?」
「いや、不満っていうか変な話じゃないか?」
「何が変なものか。貴殿は我が子を守った最高の人間だ。そして良い覚悟を持っている」
「……さっき否定されたような」
「それは死を隣り合わせにした努力を行ったからだ」
「?」
「我は貴殿の成長を望んでいるんだよ。行動を起こせる人物がこの世には必要だ。モンスターも何も平行に見れるものが必要だ」
「でも俺は負けた。力も何もない俺にはそんな大それたこと出来るはずがないんだよ」
「今は、な。だからこその修行なんだろう?……それとも私にここで食い殺され、悔いることもなく死んでいくか?」
悔い…。
「ふっ。否定しないな。貴殿には出来ることが山ほどある。それを見つけ出し、全てを理解してこい」
俺に出来ること……。
「さ、行け」
俺は黙って一つ頷き、その場を離れる。
「修行には我が子らも使っていいからな!!」
離れる俺にライビットの長は言葉を連ねる。
「最後に、『努力の方向性を間違えるな。自らを驕るなよ』」
と、言って俺は走り去ってきたわけだが、何をどう修行すればいいかなどさっぱりわからなかった。
さらに、頭にはライビットの言葉が何度も何度もグルグル回る。
「お!修行するんですかシオさん!」
「急に現れたな。このドぐされ外道が」
「その言葉久しぶりに聞きましたわ!で!修行するんですよね!?」
「う、うん、まあ何も考えてないけど。ライビットの長が言ったことは引っかかるし、指示に従ったほうが良いって、なんか感覚的だけど」
「うんうん!いいことでは?」
「なんかすごい嬉しだな」
「そりゃ修行と聞いたら私!みたいなところありますからね!!」
「どんな連想したらツイに辿り着くんだよ。仮定が気になるわ」
「修行内容は私にお任せあれ!!ですよ?」
「本当に大丈夫か?死なない?」
「死にませんよ!!ちょっと生死の狭間を垣間見るだけです!!」
「ほぼ死亡やんけ、初心者にやる修行にしてくんない?」
「いやいや何を甘い!……ミュンタル様を助けるんでしょう。これくらい出来なくて何の覚悟を決めたんですか」
「……強くなれるんだな」
「勿論です!!」
「乗った!!」
「来ました私の時代!死なないように気を付けてくださいね」
「いや、死んだら元も子もないんだってば」
そして修行が始まったわけだが。
絶対指導者間違ってるよ。道場で白帯の奴が白帯の奴教えてるみたいだもん。ってかただの拷問だろこれ。
「ハイ!ちんたらしないもっと機敏に動く!!」
ツイ曰く持久力と反射神経を上げる特訓らしいが、躊躇いもないし、やはり人を一人殺しに来ている。
何度も生死の間を彷徨い、確かに持久力も、反射神経も少しは上がったが、格段には上がらない。
もともと体が骨と皮しかないんだ。才能もない。人として存在を保つので精一杯なんだよ。
これじゃあ時間がかかり過ぎるんだ。
俺は一度体の力を抜き地べたに座り込んだ。
「少し休憩しますかね?」
「ああ……」
何時間ぶっ通しだよ。追っかけながら死ぬって。ダサい死に方しちゃうって。
「なあ、ツイ」
俺は木に腰掛け、横にチョコンと座る煩い女に声を掛けた。
「なんでしょうか!!!!!」
鼓膜破りたいのかな?
「これじゃあ強くなるのに一年かかるよ?」
「ですね!才能ないですもんね!」
「ドストレート!でも本当の事だからなぁ。こんなんじゃミュンタルを助けれない」
「シオさん」
「ん?」
「楽しめてますか?」
「え?」
「この世界、修行、楽しめてますか?」
「いや、全然」
「マジ?」
「なんで不思議そうなんだよ。死にかけて楽しい奴は変態しかいないだろ」
「じゃあ変態になってくださいよ!」
「変態ってなるもんなの!?」
「なれますよ!!……シオさん、ちょっとついてきてもらっていいですか?」
「ん?どこ行くんだ?」
「楽しいところです」
「ゲーセン!?」
「いや、今ゲームの中……」
「でも何でそんなに楽しいにこだわるんだよ」
「私はこの世界のナビゲーターです。プレイヤーを楽しませるのが私の仕事です。それに私はシオさんに全てを貰えています。私も恩返しをしたいんですよ」
「俺、何もしてないんだけどな」
「してるんですよ。存在してるだけで誰かに影響を与えてるんです!さ!辛気臭い話はなしにして、私の手を取ってください!!」
「うん」
俺はツイの手を握って棒立ちをする。
『拠点aへ移動』
モニターは即座に起動。
そして俺たちは一瞬のうちに移動した。
一度瞬きをすると全くの別世界に飛ばされていた。
「なんだ?ここ」
目に入ってくるのはネオンに光る文字と商店。人はがやがやと賑わう。盛んな商店街の様だった。
「ここはプレイヤー専用のサーバーです」
「?違うサーバー?」
「です」
「プレイヤー専用ってことはこの人たちは」
「今現在他世界でプレイをしている人たちです」
「マジかよ……」
と言っても話しかけるとかは絶対できないんだけど。
「このサーバーには所要三千人です」
「ここは何なんだ?」
「装備の売買、アイテムの保管や補充、ミニゲーム、色々なことが出来るプレイヤーの憩いの場ですね」
「武器とかアイテムを買えるのか!!」
「はい!ミニゲームとかもありますからね!!」
「それはテンションも上がるなー」
「最初はどこへ行きます?」
「うーん、そうだな」
取り敢えず道に沿って歩き出し気になった店に入ることに、したのだ、が……。
「ひ、人多すぎだろ」
どこへ行っても人、人、であり流石に酔った。結局店には一つも入れず、店と店の間の狭い路地に腰を下ろした。
「ありゃりゃー……人苦手だったんですね」
「大勢はなー。気持ち悪くなっちゃうんだよ」
「次は時間帯を見計らってきましょうか」
「そうだな……でもありがとな」
「お役に立てて嬉しいですよ」
……
「?ツイなんか喋った?」
「いえ?」
――。
「ほらまた」
「??何も言ってませんが……。幻聴ですか?老人ホーム入ります?」
「いや、年的な物だったらやばすぎる」
――――。
何かが何かを言っている。
「ちょ、シオさん?どこへ……」
耳を澄まして、声の主を辿っていく。
もっとこっちだ……。
路地をいくつも抜けて、もっともっと薄暗く不気味な方へ。
「ここだ……」
「あうっ」
俺は急に立ち止まりツイは頭を俺の背中にぶつけた。
「きゅ、急に止まらないでくださいよー……って、なんですかここ」
「いや、俺が知るかよ」
路地を抜けたら急に開けた真っ暗闇の土地。そしてそこに一つ佇む一つの古びた『サマ』と書かれた店。
「入ってみます?」
「う、うん……」
少し恐怖を感じる。一歩一歩ゆっくり歩を進め、店の扉に手を掛ける。少し外れかけたドアをうまく開いて中へと入る。
「いらっしゃい。おやぁ?初めてのお客さんだね?誰からの紹介だい?」
と、こう言っては悪いが、薄気味悪い皺だらけのおばあさんが武器を磨きながらそう挨拶をする。
「ど、どうも」
「紹介先を言いな?」
紹介?
「紹介って何ですか?」
「おや!本気で言ってるのかい!?」
「?」
「けっけっけっけっ。あんたは何かを持っているんだねぇ。で、ここが何かは分かるかい?」
「武器、屋?」
「まあ、半分正解だね。私の店出来ることは呪いの装備の売買だね」
「のろい?」
「何となくわかるだろう?自分の大切な何かを代償に大きな力を手に入れられる武器の事さ。っは、力を欲する人間の欲望の愚かさと言ったらないねぇ」
「な、なんでそんなものを……」
「分からないかい?……金になるんだよこの商売は」
「……」
「っけっけっけ。私の説明は以上だよ。いくらでも装備を見てきな。買うも買わんもあんたの自由さ」
――――。
!!
「また何かが!」
俺は奥へ奥へと店の中を進んでいく。
「シオさーん。ここ怖いですよー」
「じゃあ、店の前にでも待ってりゃいいから」
「ナンパされちゃいますよー」
「自意識過剰かよ。ってか誰からも見えないから安心して外出てろ」
「あれ?冷たい?」
ツイは俺の言う事には従わずぴたりと背中にくっついてついてくる。
何なんだこいつは。
そしてどれだけ長いこと歩いたろう。
五分、か十分か。それ以上か。
外見とは裏腹に途轍もない程だだっ広い敷地内だ。
「ここだ」
そして俺は一つの扉の前に立ち止まる。
「ム!あんたそこは!!!!」
ばあさんの声を横に俺は扉を開ける。
「ごほっ……」
息を吸うだけで簡単に咳き込む。
……人が住めた空気じゃないな。
「アンタ、こいつを見つけるとは、ね」
「この、子は……」
しかしその部屋の片隅には体操座りをしている子供がいた。
「クソガキ、挨拶しな」
「わ、私の所へ、よ、ようこそ、おいでなさいまし、た……」
少女はフラフラの痩せこけた体で細々とあいさつをした。
「この子……は……」
俺はもう一度おばあさんに問いかけた。
「呪いの装備だね。一切使いようのない、ね」
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