俺のステータス『軟弱 虚弱 脆弱 惰弱 貧弱 ※時折頑強』

ぐりーなー

文字の大きさ
上 下
15 / 36

圧倒的に違う物

しおりを挟む
そう心地よく変態を表したのは巨大なライビットだった。
俺よりもはるかに高くデカい。小さいライビット同様にライダースジャケットを羽織り、サングラス、黒光る鞭を大事に両手で持っていた。
キモイ。
率直な感想だった。
「何用だ。腰つきの良い男よ」
言葉までキモけりゃどうしようもないな。あれ?言葉?……喋ってる!!
え!?と俺は驚き固まっている隙に一匹の小ライビットが大ライビットに耳打ちをしていた。
「……ふんふん、おお。なんと!この巨尻君が我が子たちを……。それはお礼をしなければな」
大ライビットは巨大な体躯を折り曲げ随分といかついお辞儀をした。
「いや……。本当にありがとう。私はここから動くことは出来ない。そのせいで最近子を失う事が多いのでな……。私から謝礼としてあげられるものは何もないが……、どうだろう?私の体が謝礼という事で」
「……チェンジで」
「私はここ一階層の門番、ライビットの長だ。よろしく頼む」
よろしくされても困るんだけどな。ってもう一階層の門番出てきちゃったの?
「ずっと必死で走ってましたもんね。気づきませんよね」
「お前はずっと笑ってたけどな」
「ま、まあ。つい……」
「つい……ねえ」
「で、でも良い機会では!?」
「ん?何が?」
「一階層の門番さんを倒せば経験値、二階層に登れば、一階層踏破という事で結構経験値を稼げると思いますよ?」
「つまりこいつを倒せと?」
「はい!!!!!」
「……それは確かだな」
「でしょう?」
早く強く、もっと強くなるためにステータスを上げなきゃ……、ミュンタルを救うなんて出来ないし。ここでこいつを倒さなきゃ夢のまた夢だ。
ダメージは覚悟。何処かに一縷の希望があるはずだ。
……見逃すな。
「その目、やはりやる気か……」
す、すごい威圧感だ。
ライビットの雰囲気は一瞬にして固くなる。とてもじゃないが近寄れない。
「一つ問おう」
「何?」
「貴殿は人だ。人がここに立ち入ることはほぼあり得ない。モンスターを助けるなど尚更だ。だが貴殿はここに来た。何か訳があるのだろう?」
「ああ、強くならなきゃいけない訳がある」
「……なるほどな、そうか。その心意気素晴らしい。……だが、少し間違っているのではないか?」
「?」
「努力の方向性を間違えるなよ。さて戦うか?」
「もちろんだ……」
「では行くぞ」
「あっ……」

「……え?」

気付くと俺は凄まじい速度で空を飛んでいた。正直何が起きたかさっぱりだった。
い、息が……苦しい。鳩尾が……。
理解が追い付き始めると痛みや恐怖心が一気に湧き上がってきた。
だが最終的に分かったことと言えばライビットの異常な強さ。

「シオさん上!」

!?

「がはっ!」

圧倒的な強さだった。
猛スピードで俺の体は背面から地面へと落下した。
どれだけダメージを与えられても大丈夫だと、戦えると思ってた。
でもそれはただの奢りだった。力が入らず体を動かす事すら出来ない。
一瞬でその力の差を見せつけられ、残っているのは三分の一HPと絶望だけだった。
くっ……。
のそりのそりとライビットの長は俺の元へ寄ってくる。

「自分を傷つけることをよしとするな……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜
ファンタジー
 いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。  だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。  そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。  これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...