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一章〜逆上の天鎖編
1話 入学式前の再開
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日本国立七詠学園。孤立者と呼ばれる人間兵器を育成するために世界で初めて設立されたこの場所に、俺、七詩 現世も今日から通う事になった。
今まで一度も学校に通った事の無い俺がちゃんとやっていけるか、正直不安はある。今まで訳あって学校にも通わず親の仕事を手伝っていたから小学校もそれどころか中学すらも通わずに15年間過ごしてきた。
七詠学園は建前上国立の高等学校だから孤立者とは関係の無い普通の勉強だってもちろんしなくちゃいけない。
小、中学校は行ってないけど家庭教師を付けて貰っていたから勉強などで遅れる心配は無いと思う。まあ、そんな事よりも大事なのはやっぱり友達を作る事だよね!
小さな頃から仕事ばかりしてたからもちろん友達なんか出来るはずもなく……あ、でも親同士が仲のいい幼なじみの逆場 来華さんって言う子がいたけど正直言って良く覚えて無い。
気が強い子だったのは覚えてるけど……ああ、後はホットケーキを作るのが上手かった、気がする。でもどちらかと言えばその子のお母さんに会う方が俺は楽しみなんだよね。
両親の仕事仲間で俺も良く一緒に働かせてもらってたんだけど、四ヶ月前辺りから新しい仕事が忙しくなるとかで顔を見せなくなったんだ。なんでも七詠学園関連の仕事らしく今日も会えるかもしれない。
そんな事を考えながら歩いていると件の学園が目に入って来る。今日から俺もこの学園で学生としての生活を送るのか。青春を謳歌して行くんだと思うと感慨深いものがある。
「七詠学園、三年間よろしくお願いします!」
気合を入れる為に正門の前で頭を下げてしまったけど、誰もいないよね?入学式まではまだ時間があるし他の生徒も歩いていなかった、、はず。
頭上げても大丈夫かな……目の前に人がいたらどうしよう、入学初日から正門で頭を下げる痛いヤツなんて思われたくない。
ならいっそのこと頭を下げたまま歩くと言う手も、、いやいやそれこそ正真正銘痛いヤツじゃないか。
こんな事を今更考えても後の祭り。意を決して頭を上げてみる…………するとどうだろう、俺の目に入ったのは茶髪の長い髪をサイドテールにした、とんでもない美少女だった。
「現世……?」
えっ?なんで俺の名前を知ってるんだ?俺の知り合いにこんな美少女はいないはず。いたとしてもそれは年上の美女だ。俺と同年代でしかも美少女なんて心当たりは……
「どうしたの?」
血のように真っ赤な瞳で俺の顔を覗き込んでくる。パッチリとしたその目に偽りの色は無い、やはり俺と会った事が、茶色の髪に、赤い瞳の美少女……
赤い瞳?それに顔立ちと言い、やっぱりどこかあの人に似てる。あれ、もしかして……
「逆場 帰鏡さんって知ってます?」
「知ってるも何も私のお母さんじゃない?何言ってるの?寝ぼけてる?」
帰鏡さんの娘って事は要するに俺の幼なじみの来華さんだ。相手の方はどうやら俺を覚えている。そしてまずい事に俺はほとんどこの子の事を覚えて無い。
「現世ってば、どうしたの?だいぶ前に会ったキリだけど私の事忘れた?ってまさかね」
不味い……これは不味い。十五年間生きてきた中でもこれはトップクラスの窮地。これは間違いなく、死戦だ。
ここでの選択で俺の学園生活は二分される。考えてみて欲しい、幼なじみの顔すら覚えてない薄情ものなんて不名誉な称号を付けられた日には全て終わりだ。初めての学園生活を楽しく過ごせるかはここで決まるわけだね。
相手の方も覚えてなければ丸く治ったけど目の前の美少女はどうやらしっかりと俺のことを覚えているらしい。
ここでの会話一つ一つに慎重かつ正確な返答が求められる訳だ。
「どうしたの、黙り込んで?体調でも悪い?」
「いや、大丈夫大丈夫。それより来華さんはどうしてここに?まだ入学式には早いよね?」
「何その気持ち悪い喋り方……一年会わなかったくらいで他人行儀?」
「え?何を言って……」
一年?おかしい……だって俺たちが前に会ったのは少なくとも八年は前のはず。ああ、先程から感じていた違和感の正体はこれだ。俺とこの子の距離感の違い。
何か良くない感じがする、これは早めに帰鏡さんに相談した方が良いか。
今まで一度も学校に通った事の無い俺がちゃんとやっていけるか、正直不安はある。今まで訳あって学校にも通わず親の仕事を手伝っていたから小学校もそれどころか中学すらも通わずに15年間過ごしてきた。
七詠学園は建前上国立の高等学校だから孤立者とは関係の無い普通の勉強だってもちろんしなくちゃいけない。
小、中学校は行ってないけど家庭教師を付けて貰っていたから勉強などで遅れる心配は無いと思う。まあ、そんな事よりも大事なのはやっぱり友達を作る事だよね!
小さな頃から仕事ばかりしてたからもちろん友達なんか出来るはずもなく……あ、でも親同士が仲のいい幼なじみの逆場 来華さんって言う子がいたけど正直言って良く覚えて無い。
気が強い子だったのは覚えてるけど……ああ、後はホットケーキを作るのが上手かった、気がする。でもどちらかと言えばその子のお母さんに会う方が俺は楽しみなんだよね。
両親の仕事仲間で俺も良く一緒に働かせてもらってたんだけど、四ヶ月前辺りから新しい仕事が忙しくなるとかで顔を見せなくなったんだ。なんでも七詠学園関連の仕事らしく今日も会えるかもしれない。
そんな事を考えながら歩いていると件の学園が目に入って来る。今日から俺もこの学園で学生としての生活を送るのか。青春を謳歌して行くんだと思うと感慨深いものがある。
「七詠学園、三年間よろしくお願いします!」
気合を入れる為に正門の前で頭を下げてしまったけど、誰もいないよね?入学式まではまだ時間があるし他の生徒も歩いていなかった、、はず。
頭上げても大丈夫かな……目の前に人がいたらどうしよう、入学初日から正門で頭を下げる痛いヤツなんて思われたくない。
ならいっそのこと頭を下げたまま歩くと言う手も、、いやいやそれこそ正真正銘痛いヤツじゃないか。
こんな事を今更考えても後の祭り。意を決して頭を上げてみる…………するとどうだろう、俺の目に入ったのは茶髪の長い髪をサイドテールにした、とんでもない美少女だった。
「現世……?」
えっ?なんで俺の名前を知ってるんだ?俺の知り合いにこんな美少女はいないはず。いたとしてもそれは年上の美女だ。俺と同年代でしかも美少女なんて心当たりは……
「どうしたの?」
血のように真っ赤な瞳で俺の顔を覗き込んでくる。パッチリとしたその目に偽りの色は無い、やはり俺と会った事が、茶色の髪に、赤い瞳の美少女……
赤い瞳?それに顔立ちと言い、やっぱりどこかあの人に似てる。あれ、もしかして……
「逆場 帰鏡さんって知ってます?」
「知ってるも何も私のお母さんじゃない?何言ってるの?寝ぼけてる?」
帰鏡さんの娘って事は要するに俺の幼なじみの来華さんだ。相手の方はどうやら俺を覚えている。そしてまずい事に俺はほとんどこの子の事を覚えて無い。
「現世ってば、どうしたの?だいぶ前に会ったキリだけど私の事忘れた?ってまさかね」
不味い……これは不味い。十五年間生きてきた中でもこれはトップクラスの窮地。これは間違いなく、死戦だ。
ここでの選択で俺の学園生活は二分される。考えてみて欲しい、幼なじみの顔すら覚えてない薄情ものなんて不名誉な称号を付けられた日には全て終わりだ。初めての学園生活を楽しく過ごせるかはここで決まるわけだね。
相手の方も覚えてなければ丸く治ったけど目の前の美少女はどうやらしっかりと俺のことを覚えているらしい。
ここでの会話一つ一つに慎重かつ正確な返答が求められる訳だ。
「どうしたの、黙り込んで?体調でも悪い?」
「いや、大丈夫大丈夫。それより来華さんはどうしてここに?まだ入学式には早いよね?」
「何その気持ち悪い喋り方……一年会わなかったくらいで他人行儀?」
「え?何を言って……」
一年?おかしい……だって俺たちが前に会ったのは少なくとも八年は前のはず。ああ、先程から感じていた違和感の正体はこれだ。俺とこの子の距離感の違い。
何か良くない感じがする、これは早めに帰鏡さんに相談した方が良いか。
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