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第四章 王子様の秘計
王子様の秘計①
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その5日後、魔棟――魔術師が詰める王宮と同じ敷地内にある建物――内の専用部屋で、レオニー・ダルトンは、近衛騎士がもたらした先触れに戸惑いを覚えていた。今から2時間後にベルナンド第二王子が来るというのだ。「先日のお礼に」とのことだが、その場にいなかった第二王子が来ると言うことは、何か話があってのことだろう。それが気になり、落ち着けない。
ひとまず、アナイスに支度をさせる。王子の服装を聞いておけば良かったと思いながら、取り出したのは、買ったばかりのリボン。アナイス憧れの騎士様オーギュストの案内で行った雑貨店で選んだもので、濃いピンクの光沢のある生地に透け感のある生地を重ね、両端にずらりと白のレースを縫い付けた小さな女の子が好みそうなデザイン。オーギュストのチョイスだ。
(あの日は、大変だったなあ……)
思い起こす度に虚無感に見舞われる。唯一の救いは、オーギュストが、前向きな発言をしてくれたこと。
その日、騎士様とお出かけすることに緊張してカチコチに固まっていたアナイスも、馬車に揺られている内に解けていき、騎士様おすすめの雑貨店では、目を輝かせてリボンを選んだ。だが、次に立ち寄った王都で若い女性に人気のカフェでは、三人が中に入った途端、歓声が沸き、満席の店内からオーギュストとレオニーに熱い視線が注がれたことで完全に萎縮し、惨事を引き起こした。どんな惨事かというと――衆人環視の中、アナイスが紅茶をこぼし慌てたところに、オーギュストが「クリームが付いてる」と言って、アナイスの口元に付いた白いクリームを指で拭い、そのまま自分の口に入れて「ん、美味い」などというものだから、店内にいた女性客の間から「きゃあ」と黄色い歓声が飛び、いたたまれなくなったアナイスは立ち上がった拍子にティーポットを倒し、床にしたたり落ちる紅茶を手で堰き止めようとしてしゃがんだ拍子にテーブルであごを打ち、その勢いで舌を噛んで、うずくまったところでバランスを崩して額をテーブルに打ち付け、ショックのあまり声も出せずにガタガタ震えているところをレオニーに救出された――というものだ。
店内が騒然とする中、平気な顔でアナイスを担ぎ、会計を済ませて店を出たものの、レオニーの背中は、じっとりと嫌な汗で濡れていた。時期尚早だったか……。へこむレオニーにオーギュストは、ニカッと笑って「また行きましょうね、お散歩」と言った。店内にいた女性客――とりわけ若い人たち――から、場に不慣れな妹を気遣う元気で優しいお兄さんに見られ、その中には「お兄さん頑張って」とばかりに小さく手を振ったり拳を握りしめたりと応援姿勢をみせてくれた人もいたことに、すっかり気を良くしていた。さすが騎士様、鋼のメンタル。子連れ要人警護を得意とするだけあって、耳目集まる場所での子供の粗相に打ちひしがれる保護者と周囲への対応、強い。
客観的に見れば、笑えるエピソードだが、レオニーは、どれだけ肝を冷やしたか。騎士様、本当にまた一緒に行ってくれるかな……そんなことを考えながらアナイスの支度に意識を戻す。目にとまったのは、丸襟が付いた前開きの白いブラウスと両脇に大きなひらひらが付いたピンク色のエプロンドレス。リボンは胸元に飾り、髪は何も飾りをつけず低い位置でまとめる。足下は、白いレースがのぞくショートソックスに藤紫色のルームシューズ。これでどうだ?
思った通り、アナイスは大喜びし、鏡の前でくるくる回る。その姿に、初めて会ったときのアナイスの姿が重なった。
「馴染みの道具屋から頼まれたんだが――娘が描いた絵を見て欲しいって。一緒に来てくれないか」
知人の魔術師に頼まれ、共に向かった先は、表向きは鍋や釜などの生活道具を売る商店。だが、その2階では、密かに魔核――魔物が消滅したあとに現れる石のようなもの――や魔道具の取引がされている。初老の店主に案内され、2階に上がる。荷物の置き場も兼ねた埃っぽい廊下を進んだ一番奥の薄日が差し込む室内に、アナイスはいた。
手入れの行き届いていないゴワゴワの髪に虚ろな目。サイズの合わない簡素な服。肌は掻き跡だらけで、一目で親から放置されていることが分かった。よくよく聞いてみると店主もよく知らない相手から預かったらしく、「この子が日がな一日、描いている絵が魔道具のようだから、魔道具屋で使えるようなら置いてやってくれないか、うちでは面倒見きれないので」と言い残し、姿を消したとのことだった。何だかうさん臭い話だとは思ったが、見せられた絵には見たことのない魔法陣が描かれていて、それを本人が何も見ずに描いたということに興味を引かれ、レオニーがアナイスを試験的に預かることにした。それが二年前の冬。レオニーは、「この子を預かる」と言ったときの店主のホクホクとした顔を見て何か裏がありそうだとは思ったが、その後、何か言ってくることはなく、店もいつの間にかなくなっていた。店主はもしかしてアナイスの血縁者で、アナイスの行く末を案じ、藁にもすがる思いで知人の魔術師に連絡を取ったのではないかと思うが、定かではない。
一緒に暮らしてみると、アナイスは、目を合わさない・喋らない・動かない・身づくろいはしない・片付けない・食べない……の、ないない尽くしで、自分の手に負えないと早々に悟ったレオニーは、イルミナを呼んで彼女の身なりと生活習慣を整えてもらった。
さすがは王族貴族の子息子女を教育する芸術学院の学院長。イルミナは、閉鎖的な性格のアナイスにも対応し、アナイスの描く魔法陣の絵を、とにかく褒めて育てた。「アナイスは、芸術家だわ~。作品に向き合う姿勢が素晴らしい」とは、イルミナの弁。作品は全く褒めていないが、これでアナイスは機嫌良く描くのだから、大した指導力だ。
アナイスは、たまたま目にした魔法陣を記憶し、それを元に自分でデザインするようになったらしい。当初は、思いつくまま好きなように描いていたが、円の中に描かれる文様や記号には役割があり、それらの組み合わせによって発動させる魔法が違うということを知ると、古来よりある文様や記号を目覚ましいスピードで覚え、組み合わせて使うようになった。それでも、アナイスしか思いつかない魔法もあり、その場合は、アナイスが考案した新しい文様に、レオニーがアナイスから聞き取った魔法の内容を紐付けて完成させた。
二人で完成させた魔法陣を初めて作動させる時には緊張もするが、上手くいった時の達成感がたまらない。「振れ振れ桜」のように、喜んでくれる相手がいれば、尚更だ。アナイスにも多少の魔力はあるが、コミュニケーション力が低く自己の感情をコントロールすることもままならないので、暴走しないようにレオニーが封印している。自制心が養われ、人間力が上がったら解禁し、自分の考案した魔法陣を使って魔術を発動させる訓練もしていきたいとは思うが、それはいつになるか分からない。それでも、着実に力をつけてきている感はある。
今は、こちらのメンタルもボロボロだが、気力が戻ったら、またアナイスを街に連れて行ってみよう……。
そんなことを考えながら、王子を出迎える準備がちゃんと整っているか部屋の中をチェックしていると、「トントントントン」とドアを叩く音がした。ベルナンド第二王子の到着である。
護衛騎士に囲まれて部屋に入ってきたベルナンド王子は、フリルの付いた白シャツに銀糸で刺繍が施された淡い水色のベスト、シャドウストライプが入った淡いグレーのロングパンツといった出で立ちで、風に乗って現れた精霊のように儚げな容姿にもかかわらず存在感があり、逆風にも負けない心の強さを感じる。
アナイスは、予め教えられたとおりに王子に挨拶をしようとしたが、「いや、いい」と王子に止められ、それならば、と、テーブルを挟んで向き合ったソファーの上座に王子を案内すると、たたっと、小走りにお茶の支度を整えに行く。やがて、ティーセットをワゴンに乗せてしずしずと現れたアナイスは、ティーカップに紅茶を注いだり、毒味をしたり、王子を扇で仰いでみたりと甲斐甲斐しく世話を焼く。その姿を目の当たりにしたレオニーは、これは夢かと何度も目をこすり、ベルナンドも、不思議な生き物を見るような目でアナイスを観察している。
そんな二人に気を止めることなく立ち働くアナイスに、王子は、自分の隣の席をポンポンと叩いて座るように勧めた。
ひとまず、アナイスに支度をさせる。王子の服装を聞いておけば良かったと思いながら、取り出したのは、買ったばかりのリボン。アナイス憧れの騎士様オーギュストの案内で行った雑貨店で選んだもので、濃いピンクの光沢のある生地に透け感のある生地を重ね、両端にずらりと白のレースを縫い付けた小さな女の子が好みそうなデザイン。オーギュストのチョイスだ。
(あの日は、大変だったなあ……)
思い起こす度に虚無感に見舞われる。唯一の救いは、オーギュストが、前向きな発言をしてくれたこと。
その日、騎士様とお出かけすることに緊張してカチコチに固まっていたアナイスも、馬車に揺られている内に解けていき、騎士様おすすめの雑貨店では、目を輝かせてリボンを選んだ。だが、次に立ち寄った王都で若い女性に人気のカフェでは、三人が中に入った途端、歓声が沸き、満席の店内からオーギュストとレオニーに熱い視線が注がれたことで完全に萎縮し、惨事を引き起こした。どんな惨事かというと――衆人環視の中、アナイスが紅茶をこぼし慌てたところに、オーギュストが「クリームが付いてる」と言って、アナイスの口元に付いた白いクリームを指で拭い、そのまま自分の口に入れて「ん、美味い」などというものだから、店内にいた女性客の間から「きゃあ」と黄色い歓声が飛び、いたたまれなくなったアナイスは立ち上がった拍子にティーポットを倒し、床にしたたり落ちる紅茶を手で堰き止めようとしてしゃがんだ拍子にテーブルであごを打ち、その勢いで舌を噛んで、うずくまったところでバランスを崩して額をテーブルに打ち付け、ショックのあまり声も出せずにガタガタ震えているところをレオニーに救出された――というものだ。
店内が騒然とする中、平気な顔でアナイスを担ぎ、会計を済ませて店を出たものの、レオニーの背中は、じっとりと嫌な汗で濡れていた。時期尚早だったか……。へこむレオニーにオーギュストは、ニカッと笑って「また行きましょうね、お散歩」と言った。店内にいた女性客――とりわけ若い人たち――から、場に不慣れな妹を気遣う元気で優しいお兄さんに見られ、その中には「お兄さん頑張って」とばかりに小さく手を振ったり拳を握りしめたりと応援姿勢をみせてくれた人もいたことに、すっかり気を良くしていた。さすが騎士様、鋼のメンタル。子連れ要人警護を得意とするだけあって、耳目集まる場所での子供の粗相に打ちひしがれる保護者と周囲への対応、強い。
客観的に見れば、笑えるエピソードだが、レオニーは、どれだけ肝を冷やしたか。騎士様、本当にまた一緒に行ってくれるかな……そんなことを考えながらアナイスの支度に意識を戻す。目にとまったのは、丸襟が付いた前開きの白いブラウスと両脇に大きなひらひらが付いたピンク色のエプロンドレス。リボンは胸元に飾り、髪は何も飾りをつけず低い位置でまとめる。足下は、白いレースがのぞくショートソックスに藤紫色のルームシューズ。これでどうだ?
思った通り、アナイスは大喜びし、鏡の前でくるくる回る。その姿に、初めて会ったときのアナイスの姿が重なった。
「馴染みの道具屋から頼まれたんだが――娘が描いた絵を見て欲しいって。一緒に来てくれないか」
知人の魔術師に頼まれ、共に向かった先は、表向きは鍋や釜などの生活道具を売る商店。だが、その2階では、密かに魔核――魔物が消滅したあとに現れる石のようなもの――や魔道具の取引がされている。初老の店主に案内され、2階に上がる。荷物の置き場も兼ねた埃っぽい廊下を進んだ一番奥の薄日が差し込む室内に、アナイスはいた。
手入れの行き届いていないゴワゴワの髪に虚ろな目。サイズの合わない簡素な服。肌は掻き跡だらけで、一目で親から放置されていることが分かった。よくよく聞いてみると店主もよく知らない相手から預かったらしく、「この子が日がな一日、描いている絵が魔道具のようだから、魔道具屋で使えるようなら置いてやってくれないか、うちでは面倒見きれないので」と言い残し、姿を消したとのことだった。何だかうさん臭い話だとは思ったが、見せられた絵には見たことのない魔法陣が描かれていて、それを本人が何も見ずに描いたということに興味を引かれ、レオニーがアナイスを試験的に預かることにした。それが二年前の冬。レオニーは、「この子を預かる」と言ったときの店主のホクホクとした顔を見て何か裏がありそうだとは思ったが、その後、何か言ってくることはなく、店もいつの間にかなくなっていた。店主はもしかしてアナイスの血縁者で、アナイスの行く末を案じ、藁にもすがる思いで知人の魔術師に連絡を取ったのではないかと思うが、定かではない。
一緒に暮らしてみると、アナイスは、目を合わさない・喋らない・動かない・身づくろいはしない・片付けない・食べない……の、ないない尽くしで、自分の手に負えないと早々に悟ったレオニーは、イルミナを呼んで彼女の身なりと生活習慣を整えてもらった。
さすがは王族貴族の子息子女を教育する芸術学院の学院長。イルミナは、閉鎖的な性格のアナイスにも対応し、アナイスの描く魔法陣の絵を、とにかく褒めて育てた。「アナイスは、芸術家だわ~。作品に向き合う姿勢が素晴らしい」とは、イルミナの弁。作品は全く褒めていないが、これでアナイスは機嫌良く描くのだから、大した指導力だ。
アナイスは、たまたま目にした魔法陣を記憶し、それを元に自分でデザインするようになったらしい。当初は、思いつくまま好きなように描いていたが、円の中に描かれる文様や記号には役割があり、それらの組み合わせによって発動させる魔法が違うということを知ると、古来よりある文様や記号を目覚ましいスピードで覚え、組み合わせて使うようになった。それでも、アナイスしか思いつかない魔法もあり、その場合は、アナイスが考案した新しい文様に、レオニーがアナイスから聞き取った魔法の内容を紐付けて完成させた。
二人で完成させた魔法陣を初めて作動させる時には緊張もするが、上手くいった時の達成感がたまらない。「振れ振れ桜」のように、喜んでくれる相手がいれば、尚更だ。アナイスにも多少の魔力はあるが、コミュニケーション力が低く自己の感情をコントロールすることもままならないので、暴走しないようにレオニーが封印している。自制心が養われ、人間力が上がったら解禁し、自分の考案した魔法陣を使って魔術を発動させる訓練もしていきたいとは思うが、それはいつになるか分からない。それでも、着実に力をつけてきている感はある。
今は、こちらのメンタルもボロボロだが、気力が戻ったら、またアナイスを街に連れて行ってみよう……。
そんなことを考えながら、王子を出迎える準備がちゃんと整っているか部屋の中をチェックしていると、「トントントントン」とドアを叩く音がした。ベルナンド第二王子の到着である。
護衛騎士に囲まれて部屋に入ってきたベルナンド王子は、フリルの付いた白シャツに銀糸で刺繍が施された淡い水色のベスト、シャドウストライプが入った淡いグレーのロングパンツといった出で立ちで、風に乗って現れた精霊のように儚げな容姿にもかかわらず存在感があり、逆風にも負けない心の強さを感じる。
アナイスは、予め教えられたとおりに王子に挨拶をしようとしたが、「いや、いい」と王子に止められ、それならば、と、テーブルを挟んで向き合ったソファーの上座に王子を案内すると、たたっと、小走りにお茶の支度を整えに行く。やがて、ティーセットをワゴンに乗せてしずしずと現れたアナイスは、ティーカップに紅茶を注いだり、毒味をしたり、王子を扇で仰いでみたりと甲斐甲斐しく世話を焼く。その姿を目の当たりにしたレオニーは、これは夢かと何度も目をこすり、ベルナンドも、不思議な生き物を見るような目でアナイスを観察している。
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