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きりと瑠紅 (きりと☆るく)

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電車に乗って

電車に乗って① 女性専用車両=男子禁制車両

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 瑠紅は、職場まで電車通勤をしている。ターミナル駅を経由するので、一日に瑠紅の目に映る人の数は膨大である。
 瑠紅が目指す改札口のある方向からは、毎回、半端ない数の人が広がって歩いてくる。それを、互いに速度や方向を調節しながら、あうんの呼吸で、上手く行き交う。一度、瑠紅の直前を歩いていた人が、いきなり身をかわし、前から来た人(手に飲み物を持っていた)と正面衝突しそうになってびっくりしたことがあるが、そんなことは、ごく希で、毎日のように利用している者同士は、大抵、何事もなく行き来できる。
 難儀なのは、不慣れな外国人旅行者だ。わちゃわちゃ喋りながら歩く外国人グループに前を塞がれ、渋々、彼らの連れのように歩調を合わせて歩く羽目になったり、今、改札機はほとんどICカード専用で、何でもOKの改札機はわずかなのに、その一台を塞ぐ形で何やら揉めていて、磁気定期券しかもたない瑠紅は他の改札機は通れないため、彼らの決着がつくまで待たざるを得なかったり。そんな時、いつも、何か気の利いたことを言えたらなと思う。
 瑠紅は、外国人からすれば分かりやすい日本人らしく、観光地で良く話しかけられる。道を聞かれたり、お土産物屋で「これは何か」と聞かれたり。そんな時、「おーばーぜあ」とか「スイーツ!」とかで乗り切ってしまうため、一向に外国語が上達しない。ちなみに、今日も電車に乗り込もうとしたら、「これ、××行きますかぁ?」とスマホを手にしたイントネーションちょっと違うよ的な人に話しかけられた。いや、このタイミングで聞く?と思いながら、「行きません」「おおー行かない?」「逆」と短いやりとりをしたが、いやいや、何故、私を選んで聞くのかな、外国人?
 で、電車に乗ったら乗ったで、そこには、また、沢山の人がいる。瑠紅は、基本、女性専用車両を選び、座る。電車が混んできた時に、男性と体が触れあうのが嫌だし、匂いや体温が嫌な時もあるので。ただ、発車間際など他の車両に乗る時もあり、その時は、ハンディファンで涼むついでに、両隣の男性の匂いがこっちに来ないよう、さりげなく動かして吹き飛ばすという秘技を使っている。
 女性専用車両は、基本、一本の電車に一両しかないため、そこで座席を確保するには、瞬発力が必要だ。電車がホームに滑り込んできたら、素早く空き座席をチェック。ドアが開くと同時に目当ての座席に移動する。自分が一番前に並んでいれば、かなりの確率で確保できるが、そうでない場合は、この人がこっちに行ったら私はこっちに行こう的な作戦を予め練り、その人の動きを読んで動く。ただ、既に乗っている人が座ってしまう時もあるので、その時は、次の駅で降りそうな人の前に立つ。狙い目は、学生かな。
 しかしまあ、最近の女子学生って、おばさんっぽいよね。清楚なお嬢様風の子なんていやしない……って、これ、女性専用車両だからか?皆さん、ホント、無防備で。熱心にアイメイクしている人もいれば、大股開いて、こっくりこっくり舟をこいでいる人もいる。朝帰りなのか、長椅子に寝転がって爆睡している人もいて――、ミニスカートの中、丸見え。いやいやいや。どこまで運ばれていったか知らんが、大丈夫だったか?
 なので、時々、女性専用車両に迷い込む男性がいるのだが、「すぐ降りるからいいや」とか思わずに、とっとと移動して欲しい。そこにいるのは、男性がいないという前提で過ごしている人たちばかりなので、男性が入ってくると、「キャー変態!」的な気持ちになる。「あ~、ごめん~」と言って、車両移動したおっちゃん、あなたが、正解!女性専用車両=男子禁制車両。瑠紅の感覚的には、そこは、女湯。だから、おっちゃんよ、世の男性諸君に伝えて欲しい。間違って、そこに乗ってしまったら、妙な意地を張らずに移動するべし、と。
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