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2話 竜剣のリーシャル
しおりを挟む俺は、火竜を連れて冒険者ギルドへと向かっていた。
幸いと言っていいか、不幸と言っていいかはわからないが、受けていた依頼はもう終わっていたからだ。
「ねぇ、兄さん。本当に僕のこと、覚えてないの?」そう火竜は聞いてくるから、
「ああ。覚えてないどころか、俺は竜じゃないからな。完全な人違いだ。」と俺は言った。
「そんなこと、言わないで。」火竜はそう悲しそうに言って、腕を俺の腕に巻き付けてくる。
「やめてくれないか?」俺は非情に言った。
「うぅ………わかった。」火竜は渋々腕を俺から離した。
そうこうしているうちに、冒険者ギルドへと近づき、冒険者ギルドへと入った。
俺が入ると、冒険者ギルドがざわめきに包まれた。
俺は、それに気にせずに火竜に向き合った。
「討伐証明部位の提出が終わったら、お前は冒険者ギルドで冒険者登録しろよ。それが出来ないなら、お前は俺から離れることだ。いいな?」俺がそう言うと、火竜は少し悩んだ後大きく頷いた。
討伐証明部位の提出が終わると、受付嬢のカウンターまで出向いた。
「リーシャル様、今日はどんな御用件でしょう?」受付嬢は、俺に向かってそう言う。
「ああ、俺の連れを冒険者登録させたくてな。できるか?」俺はそう聞く。
「ええ。大丈夫です。では、こちらにお名前をお願いします。文字がお書きになることが出来ないのでしたら、代筆を致しますが。」受付嬢は、俺に言う。
「フレイアス。そう書いて。」火竜は、受付嬢に言った。
受付嬢は、代筆で"フレイアス"と名前を書くと、冒険者カードを火竜に渡した。
「ですが、リーシャル様がお連れ様を連れてくるのは意外でした。リーシャル様は、"竜剣のリーシャル"や"孤高竜"の異名を持つお方なので、てっきりこれからもソロの冒険者を貫くのかと思っていたのですが。」受付嬢の言葉に俺は苦笑した。
竜剣のリーシャルは、俺が近くに住む竜に認められ、竜の鱗を貰い受けて、その鱗で作った剣、竜剣が由来である。
孤高竜は、俺の冷酷さ、眼差しが竜に似ているので、そう名付けられたそうだ。冒険をソロで行っているのも由来の一つである。
「「「竜剣のリーシャルに、パーティーメンバーが出来たぞ!!」」」
周りの冒険者がそう叫んだ。
俺はウンザリして、隣で瞳を輝かせる火竜を見たのだった。
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