私の好きな彼は転生した古の竜でした!?〜でも彼はツンデレなイケメンでとても可愛かったです〜

クイーン・ドラゴン@アヤメ

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8話 その後

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私とレティ様はより一層仲良くなった。
周りには先日の演技が演技だと知られて、レティ様らしい、と周りから苦笑されたのはいい思い出だ。
ルナリアもたいがいお人よしだよね、と言われたものである。

ギルファはそれから相変わらずの無表情である。
レティ様のことは、なかったものとばかりに、無視している。
それよりも、ギルファは別のことに気を取られているようだった。
それは……

「おい、ギルファ!!俺と勝負しろ!!」
サーラス帝国の第三皇子のイブリス様だ。
「……断る。」
サーラス帝国はオルフェウスの時代から続く由緒正しい帝国だ。
オルフェウスの脅威から帝国を守り切った初代皇帝の作った軍隊を持つ超軍事国家である。
その軍事力は今も健在であり、大陸一、いや、世界一といっても過言ではない。
ただ、サーラス帝国の皇帝は賢帝と呼ばれる皇帝を多く輩出してきた。
愚帝と呼ばれる皇帝は、歴史上いなかったすごい帝国で、周りの国に戦争を吹っ掛けることはしない。
そのため、恐れられることなく国を発展させてきた。
そのサーラス帝国の皇子にギルファは、思うことがあるみたい……
イブリス様は、正妃の子で、三番目の皇子様だ。
イブリス様に皇帝になる気はなく、将軍の地位を目指しているらしい。
この情報は、ギルファから教えてもらった。
皇帝には、皇弟様が居られるらしいけど、完全な噂でしかなく、信憑性は低い。

そんなサーラス帝国にはオルフェウスの遺跡や文献が沢山あるのだと、父から教えてもらったことがある。
オルフェウス研究者が一度は行きたいと考える聖地なのだとか。
皇族方はオルフェウスについての知識を貪欲に欲しがっていると聞く。
だから、オルフェウスの鱗を持つギルファはイブリス様に付き纏われているのだ。
鱗が欲しいとも言っていた。

「なーんでだよ!俺との勝負に勝ったら、鱗をくれてやるって言ってただろ!?」
イブリス様はギャーギャーと大きな声で言った。
「気分じゃない。」
「なんだと!?」
こうして見ていると、なんて言うか……大人と子供の言い合いに見える。
イブリス様は皇子なの?と思うような気さくな方だ。
と、言うか……
「ギルファ、イブリス様が勝負に勝ったら、鱗あげちゃうの?」
私は思わず聴いた。
「ああ。鱗は手に入った。ならばもう、鱗に要はない。」
なんか矛盾したことを言い出した。
「どう言うことだよ!っと、悪りぃ。久しぶりだな、ルナリア。」
にかっと笑いながら、イブリス様は私に挨拶をしてくれる。
「ご機嫌よう、イブリス様。」
私は賓客第一位の礼をして答えた。
「イブリス、ルナに話しかけるな。」
少しギルファは不機嫌にイブリス様に言った。
「話しかけないと、話してくれないだろ?」
イブリス様は不満げだ。
「イブリス様が話しかけて下さらないと、挨拶も出来ないのよ、ギルファ。」
私もそうギルファに言う。
イブリス様はこの国の賓客だ。
そして、身分の高い者が身分の低い者に話しかけなければ、身分の低い者は身分の高い者に話しかけてはいけないのである。
イブリス様は現在、この国に訪れた高位身分の方では、一番身分が高い。
だから、平民の私達は話しかけるのも許されないのだ。
「やっぱり、アムネリスの一族の礼節は完璧だな。代々宮廷研究者だからか?」
「………私達の一族は、望んでいなかったらしいですが。今は研究費も出してもらえて、喜んでいますけど。」
「お前も、宮廷研究者になるのか?」
「いいえ、私はなりませんよ。宮廷研究者には兄がなるので。私は旅でもしようと思ってます。」
「残念だったな、イブリス。」
ギルファは、面白そうにイブリス様に言った。
私にはなにがなんだか分からない。
「お前、貴族でもねぇのに今ので分かったのかよ?」
「分かるさ。貴族には、昔縁があった。」
なんだか、分からない会話をしている。
「イブリス様は、ここに何かご用があったのでは?」
私が小首を傾げ、聞く。
「ああ、そうだった。おい、ギルファ!明日、訓練場で俺と戦え!俺が勝ったら、その鱗を渡せ!お前が勝ったら、いい剣をやる!」
イブリス様が啖呵きった。
「いい剣?」
ギルファの瞳がギラリと光る。
「おう!魔剣と呼ばれるオルフェウス時代の剣だ!」
「…………いいだろう。その言葉、忘れるな?」
ギルファは了承した。
明日が楽しみね。
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