私の好きな彼は転生した古の竜でした!?〜でも彼はツンデレなイケメンでとても可愛かったです〜

クイーン・ドラゴン@アヤメ

文字の大きさ
上 下
2 / 14

1話 古の竜

しおりを挟む
「……凄く疲れたわ。なんで、学園なんて行かなきゃいけないのかしら。」私、ルナリア・アムネリスは、小さく呟いた。
私が通っているこの学園、王立セルシア学園。
名前通り、1000年近くの歴史を持つ王国、セルシア王国が設立・運営している学園で、世にも珍しい義務教育の学園だ。
学園での授業料や教科書代、寮の費用など、すべてを負担してくれる。
そのため、国内外から学園に入学しようと、試験に挑んでくる。
ただ、試験の問題は難しく、落ちる者も多いのが現状だ。
そういう私は、自力で試験に合格し、入学した1人なのだけど。
そして、もう1人自力で試験に合格し、入学した知人がいる。
幼馴染であり、かつてこの世界を支配した古の竜、オルフェウスの鱗を継承した青年とも呼べる男の子、ギルファ・オルザードだ。
ギルファは、長く美しい銀糸の髪を持つ紅い瞳の整った顔立ちをしている。
ギルファは、よわい10歳で、剣術の最高峰に達し、オルフェウスの鱗を継承した。
オルフェウスの鱗を継承した者は、いずれ古の竜オルフェウスにあやかった強い力を手に入れることで有名だった。
現に、オルフェウスの鱗を継承して、6年。私と同じ16歳であるギルファは、6年前に比べて強大な力を手に入れたといっていい。
だが、その影響で彼の周りには、人がいない。
学園の女子達は、あまりの格好良さに黄色い歓声をよくあげるけど。
畏れ多くて、近づけないらしい。
らしい、というのは私が彼に近づく例だといっていいからだ。
他にもギルファをライバル視している男の子もいる。
そして私は、オルフェウスの伝承を伝える一族に生まれた。
かつて、オルフェウスは古の時代の1番争いの多い時期に生まれたという伝承があり、生きていくためには、力を手に入れ、襲いかかって来る者達を殺さなければならない時代だったという。
オルフェウスはやがて狂い始め、殺しを楽しむようになっていったらしい。
そして、オルフェウスは古の時代の者達に打たれて死んでいってたというのだ。
ただ、オルフェウスを殺すために世界が団結し、オルフェウスを打つと、世界が平和になったらしい。
その件に関して、世界の研究者達は、オルフェウスに、平和にする意図があった派と平和にする意図がなかった派に分かれている。
ちなみに、ギルファは意図があったと確信したように言っている。
世界は断然、意図していなかったと考える者の方が多い。
最近の学園の授業は、古の竜オルフェウスの授業ばかりだ。
そんなに、授業でしなくても、この世界に住んでる者は、オルフェウスの伝承と共に育つので、知らないことの方が少ないと思ったりする。
そう思う私も今年で最終学年の3年生。
しばらくして、卒業だ。
この学園ともおさらばする。
私は、卒業後、オルフェウスの伝承の真実を求めて世界各地を旅しようと思っている。
ギルファには、言っていない。
旅に出る直前に言おうと思ってる。
最初は、国内のオルフェウスの伝承の遺跡から調べ、隣国から徐々に調べていく予定だ。
私の夢は、オルフェウスの謎をすべて明らかにすること。
そのためならば命を懸けてもいい。
ふぅ、と息を吐く。
そして、授業の終わりを告げる鐘の音がした。
この授業が終わると、昼食の時間になるため、わらわらと人が席を立って、売店もしくは食堂に向かう人が教室を出て行く。
私は、家も近く、家から通っている為、お弁当を持って来ている。
もちろん、ギルファもだ。
教室から、ぼうっと外を眺める。
外には、友達とおしゃべりしながら、楽しそうに昼食を食べる学園の生徒たちがいた。
「……食べないのか?」ギルファは、人が居なくなった教室で外を眺めていた私に、近づいて来て、首を傾げながら聞いた。
「……食べるわよ。ただ、ちょっと考えごとしていたの。」私は、そうギルファに答えてお弁当を取り出した。
「一緒に食べるの?」私は、ギルファに聞くと、ギルファは何も言わずに近くの椅子を私の机に持って来て腰掛けた。
「ああ、1人だし。お前と一緒に食いたいわけじゃねぇからな。」
「はいはい。」
私は、ギルファの言葉に照れ隠しを感じて笑みを浮かべた。
「ルナ。」ギルファは私の愛称を呼ぶ。
「……ん、どうしたの?」私は、口の中に入っていた食べ物を咀嚼して嚥下すると、ギルファに何事かを聞く。
「お前は、オルフェウスの伝承のこと、どう思う?」ギルファはそう私に、聞いてくる。
「どうって言われてもねぇ。……謎の、塊かな。」私の答えに、ギルファは目をパチクリさせる。
「だって、そうでしょう?オルフェウスの伝承は、他にないくらい有名な伝承だけど、世界を恐怖に陥れ、世界の住人に打たれたという真実しかの残っていないわ。いつどこで生まれて、誰と過ごして、なぜ破壊を、殺しを楽しむようになって、なぜ世界を恐怖に陥れたのか、何にもわかってないわ。本当に竜だったのか、それさえもわからないんだもの。」私は、そうギルファに言った。
私の考えを聞いたギルファは、今にも泣き出しそうに顔を歪めていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

〖完結〗もうあなたを愛する事はありません。

藍川みいな
恋愛
愛していた旦那様が、妹と口付けをしていました…。 「……旦那様、何をしているのですか?」 その光景を見ている事が出来ず、部屋の中へと入り問いかけていた。 そして妹は、 「あら、お姉様は何か勘違いをなさってますよ? 私とは口づけしかしていません。お義兄様は他の方とはもっと凄いことをなさっています。」と… 旦那様には愛人がいて、その愛人には子供が出来たようです。しかも、旦那様は愛人の子を私達2人の子として育てようとおっしゃいました。 信じていた旦那様に裏切られ、もう旦那様を信じる事が出来なくなった私は、離縁を決意し、実家に帰ります。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全8話で完結になります。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?

蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」 ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。 リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。 「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」 結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。 愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。 これからは自分の幸せのために生きると決意した。 そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。 「迎えに来たよ、リディス」 交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。 裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。 ※完結まで書いた短編集消化のための投稿。 小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...