北海道6000km

おっちゃん

文字の大きさ
上 下
8 / 12
第三章 美しすぎる海と湖

霧の摩周湖?

しおりを挟む
 摩周湖と言えば「霧の摩周湖」といわれるくらい、湖面が霧で覆われていることが多い湖なのは有名。私たちも霧の摩周湖を期待して向かった。しかし、空は晴天。これで霧が出ているのだろうか。摩周湖は高いところにあるので、きっと霧が出ているに違いないと信じて向かった。摩周湖が見渡せる展望所に着いて湖を見ると見事に水面のすべてが目える。つまり、霧は皆無。カムイシュ(小島)もはっきりと目える。摩周湖のカムイシュには以下のような逸話があるらしい。
 宗谷のコタン(アイヌの集落)同士がイヨマンテ(熊祭)の夜に争い、一方のコタンは敗れほとんどが殺されてしまう。敗れたコタンの老婆とその孫は命からがら逃げるが、逃げる道中で孫がはぐれてしまう。老婆は孫を探しながらさまようが見つからず、カムイトー(摩周湖)付近までたどり着く。老婆はカムイヌプリ(摩周岳)に一夜の休息を請い、許される。が、悲嘆にくれ疲労困憊した老婆はそこから動けず来る日も来る日もそこで孫を待ち続け、とうとうカムイシュ島になってしまった。いまでも、摩周湖に誰かが近付くと老婆は孫が現れたかと喜び、うれし涙を流す。この涙が雨であり霧であり吹雪なのである。(ウィキより)
 と言うことは、カムイシュは私たちが来たことを喜んでくれなかったと言うことなのだろう。しかし、カムイシュが見られたのはラッキーといえよう。
 その後、硫黄が山肌を覆う硫黄山や阿寒湖を見て回り、気づけばこの日もすでに3時過ぎている。今夜の宿をどうしようかと考えていたところ、突然「牧場に泊まって見ませんか」という看板が目に入った。「牧場だって」というと「行ってみたい」と紫野が言うので、早速その牧場に行って泊まれるか聞いてみるとOKだった。しかも、採乳体験もさせてくれるという。食材もすべて牧場で作った物だけだという。こんなラッキーなことはなかなかない。私たちの他にもたくさんの若者たちが来ていた。ほとんどが女子の二人旅だったので、紫野も仲間に入って楽しそうだった。それにしても紫野は賢い。半日一緒にいても私たちが親子でないことに気づかれない。周りは完全に私たちを親子だと信じこんでいるのだ。まあ、私にすればどっちでも良かったが。
 夕飯の支度を全員でして、片付けもみんなでやり、食事のあとはホールで自己紹介、その後ゲームをしたりして楽しく過ごした。もちろん私が最年長だったが、気持ちは20才なので何も問題なかった。そんな私を見て紫野は可笑しくて仕方がなかったようだ。
 翌朝はみんなで乳搾り、自分で採乳した牛乳を飲んだ。とても美味しい牛乳だった。朝食を済ませて牧場でみんなと別れた私たちは知床を目指した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

【完結】王太子妃の初恋

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。 王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。 しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。 そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。 ★ざまぁはありません。 全話予約投稿済。 携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。 報告ありがとうございます。

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」 そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。 彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・ 産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。 ---- 初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。 終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。 お読みいただきありがとうございます。

辺境騎士の夫婦の危機

世羅
恋愛
絶倫すぎる夫と愛らしい妻の話。

彼女の母は蜜の味

緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…

夫の浮気相手と一緒に暮らすなんて無理です!

火野村志紀
恋愛
トゥーラ侯爵家の当主と結婚して幸せな夫婦生活を送っていたリリティーヌ。 しかしそんな日々も夫のエリオットの浮気によって終わりを告げる。 浮気相手は平民のレナ。 エリオットはレナとは半年前から関係を持っていたらしく、それを知ったリリティーヌは即座に離婚を決める。 エリオットはリリティーヌを本気で愛していると言って拒否する。その真剣な表情に、心が揺らぎそうになるリリティーヌ。 ところが次の瞬間、エリオットから衝撃の発言が。 「レナをこの屋敷に住まわせたいと思うんだ。いいよね……?」 ば、馬鹿野郎!!

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

処理中です...