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カナタ
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カナタは小学生の頃からずっと変わっていない。
それはいい意味でだ。
あいつは、一緒にいるとなんだかホッとする。
そんな奴だ。
一言で言うなら温かいんだと思う。
俺とカナタは小学生になったときに初めて出会った。
あの時カナタはすごく泣き虫で、俺のあとをなんだかんだついて回っていた。
そんなカナタが初めは鬱陶しかった俺も、だんだん素直なカナタを可愛いと思う様になった。
確かにカナタは、あまり男らしいとは言えない。今では身長も伸びたけど、あの時は女の子に間違えられることも多かった。
カナタにはそれがとても悔しかったらしい。
よく泣いていた。
そんなカナタの愚痴を俺は毎回聞いてやっていた。
男らしくなりたい、でもそんなの僕じゃない。それがカナタの言い分だった。
カナタの自信がない部分はこれが原因かもしれない。
俺はそんなカナタを励ましたり、頭を撫でてやったりした。
そうするとカナタも少し笑ってくれたからだ。
(可愛いな)
いつの間にか毎回そう思うようになっていた。
口に出さないように気をつけてはいたけれど。
ある日うっかり、「お前は可愛いな」と言ってしまった。
カナタはびっくりしたような顔をしてこう言った。
「どうせ僕は男らしくない」
確か、そんなニュアンスのことを言っていた。カナタはしばらく俺と口を聞いてくれなくて、本当に寂しかった。
どうして仲直りできたのかは今になって思えばよく覚えていない。
思い出そうとしても、なりゆきでまた元通りになったとしか記憶がないんだ。
「倉沢ー!早くー!」
隣でカナタが騒いでいる。
俺は慌てて返事をした。
今カナタの家でゲームをしている。
カナタはお世辞にもゲームが上手いとは言えない。
しかも買うゲームといえば大体複雑な操作の要るものばかりだ。
カナタは俺を見てゲームオーバーになったとかなんとか言っている。
あぁもう。
お前って、本当放っておけないよなあ。
カナタの頭を掴んで優しく揺さぶる。
俺はもうお前を諦めきれないよ。
このまま俺のものにしてしまいたい。
どうしたらそうできるんだろう?
つづく
それはいい意味でだ。
あいつは、一緒にいるとなんだかホッとする。
そんな奴だ。
一言で言うなら温かいんだと思う。
俺とカナタは小学生になったときに初めて出会った。
あの時カナタはすごく泣き虫で、俺のあとをなんだかんだついて回っていた。
そんなカナタが初めは鬱陶しかった俺も、だんだん素直なカナタを可愛いと思う様になった。
確かにカナタは、あまり男らしいとは言えない。今では身長も伸びたけど、あの時は女の子に間違えられることも多かった。
カナタにはそれがとても悔しかったらしい。
よく泣いていた。
そんなカナタの愚痴を俺は毎回聞いてやっていた。
男らしくなりたい、でもそんなの僕じゃない。それがカナタの言い分だった。
カナタの自信がない部分はこれが原因かもしれない。
俺はそんなカナタを励ましたり、頭を撫でてやったりした。
そうするとカナタも少し笑ってくれたからだ。
(可愛いな)
いつの間にか毎回そう思うようになっていた。
口に出さないように気をつけてはいたけれど。
ある日うっかり、「お前は可愛いな」と言ってしまった。
カナタはびっくりしたような顔をしてこう言った。
「どうせ僕は男らしくない」
確か、そんなニュアンスのことを言っていた。カナタはしばらく俺と口を聞いてくれなくて、本当に寂しかった。
どうして仲直りできたのかは今になって思えばよく覚えていない。
思い出そうとしても、なりゆきでまた元通りになったとしか記憶がないんだ。
「倉沢ー!早くー!」
隣でカナタが騒いでいる。
俺は慌てて返事をした。
今カナタの家でゲームをしている。
カナタはお世辞にもゲームが上手いとは言えない。
しかも買うゲームといえば大体複雑な操作の要るものばかりだ。
カナタは俺を見てゲームオーバーになったとかなんとか言っている。
あぁもう。
お前って、本当放っておけないよなあ。
カナタの頭を掴んで優しく揺さぶる。
俺はもうお前を諦めきれないよ。
このまま俺のものにしてしまいたい。
どうしたらそうできるんだろう?
つづく
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