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七話·アーモ視察
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朝起きると、青空が見えた。クモリは伸びをして身体の動作を確認をする。今日も万全のようだ。隣のベッドではハレがまだ眠っている。クモリは兄を起こさないように静かにベッドを出て着替えた。今日はいよいよジュアの初公務がある。クモリは何よりジュアのことが心配だった。部屋から出て、ジュアの部屋に向かおうとすると、呼び止められた。この人の声をクモリが間違えるはずがないのである。
「姫、おはよ」
振り返りざまに笑って答えたら、ジュアがつまらなそうに頬を膨らませた。どうやら自分を驚かせたかったらしいと分かる。クモリは彼女の元に駆け寄った。
「よく眠れた?」
いつものように腕を取って脈を測る。ジュアはこくりと頷いた。どうやら、この城の寝具はジュアにぴったりだったらしい。
「姫、今日は公務だね」
「クモリは心配して来てくれたのでしょう?」
ジュアがそう言って微笑むと本当に美しい。クモリは改めて、この人に仕えたいと感じた。
「姫なら大丈夫だとは思うんだけど、そう、どっちかといえば俺自身が心配というか」
「クモリが?」
ジュアがきょとん、とする。
「だって絵画鑑賞なんてしたことないし、眠くならないか心配」
「大丈夫よ、クモリ」
ジュアが笑う。
「姫様、こんなところにいた」
メアが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「さあ、着替えましょう。クモリ、あんたもよ」
「あれ嫌い…」
メアに睨まれて渋々クモリは自分の部屋に戻った。ハレはもう起きている。
「おはよう、クモリ」
「兄ちゃん、おはよう。今日は隊服だってメアが」
「あぁ、そうだろうな。姫様をお守りする者がみすぼらしくては、オーテスカの名が廃る」
「確かに」
クモリは隊服に着替え始めた。これを着ると、パリッとした気持ちになる。兄であるハレの左胸には勲章が付いているが、クモリにはない。いつか自分も、とクモリは普段から訓練を怠らないのだ。勲章は騎士に取っての名誉だ。ハレはそれだけ死線をくぐり抜けている。すごいなあとクモリは思う。自分がそんな場所に行ったらあっさり殺されるのかもしれない。
まさに命の取り合いだ。
支度も完了して、ジュアと共にエクリプスの元に向かった。ジュアは長い髪の毛を編み込んで纏めている。レースの付いたレモン色のドレスが綺麗だった。
ジュアに可愛いねと言ったら、彼女は赤くなった。
「なんと美しい」
エクリプスがジュアを褒めまくっている。クモリからすれば当然だと思っているので、静かにしていた。
「では、参りましょう」
ジュアはメアと共に馬車に乗り込む。クモリも馬に乗りあたりを警戒した。城下町というだけあって、賑わっている。はじめは来ることを躊躇っていたジュアだったが、来てよかったと思っていてくれたらいいと、クモリは願っている。
ジュアが視察をする美術館が見えてきた。世界最高峰のセキュリティがあると有名な美術館だ。
周りを警備兵が槍を持って警戒している。
「エクリプス様、準備は整っております!」
兵士の一人が大きな声で言う。エクリプスは彼を労った。クモリはしっかりそういう部分もチェックする。下のものに配慮するのが上の務めである。自分さえ楽できればなんて、考えている部署は大抵うまく行っていない場合が多い。
「姫、参りましょうか」
ジュアを馬車から優しく降ろし、エクリプスは美術館に入った。クモリたちも後に続く。中にあった絵画は有名なものが多かった。クモリもよく知る怖いウワサが立っているという絵画ばかりがある。夜、瞳が動くだとかそういった類いのものだ。
ジュアの先程の笑みはそういうことだったのかと、クモリは歯を食いしばった。実はオカルトに関しては全く駄目なクモリである。ジュアは興味深そうに絵画を見つめてコメントしている。
それにクモリはホッとした。
「姫、おはよ」
振り返りざまに笑って答えたら、ジュアがつまらなそうに頬を膨らませた。どうやら自分を驚かせたかったらしいと分かる。クモリは彼女の元に駆け寄った。
「よく眠れた?」
いつものように腕を取って脈を測る。ジュアはこくりと頷いた。どうやら、この城の寝具はジュアにぴったりだったらしい。
「姫、今日は公務だね」
「クモリは心配して来てくれたのでしょう?」
ジュアがそう言って微笑むと本当に美しい。クモリは改めて、この人に仕えたいと感じた。
「姫なら大丈夫だとは思うんだけど、そう、どっちかといえば俺自身が心配というか」
「クモリが?」
ジュアがきょとん、とする。
「だって絵画鑑賞なんてしたことないし、眠くならないか心配」
「大丈夫よ、クモリ」
ジュアが笑う。
「姫様、こんなところにいた」
メアが慌てた様子で駆け寄ってくる。
「さあ、着替えましょう。クモリ、あんたもよ」
「あれ嫌い…」
メアに睨まれて渋々クモリは自分の部屋に戻った。ハレはもう起きている。
「おはよう、クモリ」
「兄ちゃん、おはよう。今日は隊服だってメアが」
「あぁ、そうだろうな。姫様をお守りする者がみすぼらしくては、オーテスカの名が廃る」
「確かに」
クモリは隊服に着替え始めた。これを着ると、パリッとした気持ちになる。兄であるハレの左胸には勲章が付いているが、クモリにはない。いつか自分も、とクモリは普段から訓練を怠らないのだ。勲章は騎士に取っての名誉だ。ハレはそれだけ死線をくぐり抜けている。すごいなあとクモリは思う。自分がそんな場所に行ったらあっさり殺されるのかもしれない。
まさに命の取り合いだ。
支度も完了して、ジュアと共にエクリプスの元に向かった。ジュアは長い髪の毛を編み込んで纏めている。レースの付いたレモン色のドレスが綺麗だった。
ジュアに可愛いねと言ったら、彼女は赤くなった。
「なんと美しい」
エクリプスがジュアを褒めまくっている。クモリからすれば当然だと思っているので、静かにしていた。
「では、参りましょう」
ジュアはメアと共に馬車に乗り込む。クモリも馬に乗りあたりを警戒した。城下町というだけあって、賑わっている。はじめは来ることを躊躇っていたジュアだったが、来てよかったと思っていてくれたらいいと、クモリは願っている。
ジュアが視察をする美術館が見えてきた。世界最高峰のセキュリティがあると有名な美術館だ。
周りを警備兵が槍を持って警戒している。
「エクリプス様、準備は整っております!」
兵士の一人が大きな声で言う。エクリプスは彼を労った。クモリはしっかりそういう部分もチェックする。下のものに配慮するのが上の務めである。自分さえ楽できればなんて、考えている部署は大抵うまく行っていない場合が多い。
「姫、参りましょうか」
ジュアを馬車から優しく降ろし、エクリプスは美術館に入った。クモリたちも後に続く。中にあった絵画は有名なものが多かった。クモリもよく知る怖いウワサが立っているという絵画ばかりがある。夜、瞳が動くだとかそういった類いのものだ。
ジュアの先程の笑みはそういうことだったのかと、クモリは歯を食いしばった。実はオカルトに関しては全く駄目なクモリである。ジュアは興味深そうに絵画を見つめてコメントしている。
それにクモリはホッとした。
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