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「ただいま」
どうやら千尋が帰ってきたようだ。
「千尋!お帰り!」
「お帰りなさい、千尋さん」
「お帰り、千尋さん」
皆に出迎えられて千尋は一瞬目を丸くしたが、ふっと微笑んだ。
「いいな、こうゆうのも」
「僕、カレーを作ったの。後ね、あきくんたちが色々買ってきてくれた!」
テーブルの上には様々なおかずが湯気を立てている。唐揚げなんかのメインのおかずから酢の物やサラダ、きんぴらごぼうなどが並んでいる。
「急にお邪魔しちゃってすみません」
「いや、逆に気を遣わせちまったな。俺もドーナツ買ってきた。後でみんなで食べよう」
「それ最近開店して話題になってるお店の…」
千晶が当然食いつく。人気スイーツブロガーの目は誤魔化せないのだ。
「あぁ、やっぱり有名なんだな。石田が買っていったほうがいいって言ってたから」
「石田さんナイス…」
加那太は思わず呟いていた。
いただきますをしてみんな食べ始める。
「カレー美味しいです。かなさん、足りますか?」
「大丈夫。みんなこそ足りる?」
大盛りのカレーライスをもりもり食べながら加那太はみなを案じた。
「かなさんがお腹いっぱいなら俺たちも多分お腹いっぱいです」
千晶がくすくす笑っている。
「え?そうなの?」
加那太は知らなかったと呟いた。生配信までもう一時間を切っている。いち早く食べ終えた加那太はPCなどの機材チェックを始めた。加那太の使うPCはもちろん、この間買ったゲーミングPCである。スペックも言うことなしだ。コントローラーの準備もしておいた。軽く確認したが、ドリフトなどの不具合も出ていない。精密な動きを求められるFPS視点のゲームには正確な動きをするコントローラーの使用が第一条件である。
千晶もまた準備を始めた。
千晶は携帯ゲーム機から通信をするらしい。
お互いに準備が整ったところで、二人はSNSで告知した。もちろん既に配信を待機している者もいる。その数500人。
モデレーターに千尋が入った。
アンチコメントなどの削除を担当する。
「じゃあ始めようか?」
加那太は配信を開始したのだった。
✢✢✢
「聞こえてますか?」
加那太の問いかけにコメント欄が一気に流れる。どうやら聞こえているらしい。
「あきです、今日はかなさんと一緒にやらせて頂きます」
またどどどっとコメント欄が流れた。
加那太は必死にコメントを目で追い、答えられるものには答えている。
「そう、あきくんは人気ブロガーさん。概要欄にブログのリンクが貼ってあるから気になる子は行ってみてね」
千晶のブログ宣伝も欠かさない。
「今日はコロシアム制でチャンピオンを穫るよ!
僕たちが何回穫れるか予想してコメント欄に書いてね!それじゃあ始めるよー!」
加那太と千晶の操るキャラクターが現れてマップ上に降り立つ。二人はそこから素早かった。
アイテムボックスから役に立ちそうなアイテムを次々回収し、敵を満遍なく倒す。
隙のないその動きを見て、「もしかしてチートですか?」と質問が来るくらいだ。それはいわゆる改造を指す。もちろんそれはルール違反だ。
「チートじゃないんだなぁこれが。ひたすらやり込んでたらこうなっただけで」
「俺たちって、ある意味詰んでますよね」
千晶の冷静なツッコミに加那太は思わず笑ってしまった。それから生配信は滞りなく終わりを告げたのだった。
どうやら千尋が帰ってきたようだ。
「千尋!お帰り!」
「お帰りなさい、千尋さん」
「お帰り、千尋さん」
皆に出迎えられて千尋は一瞬目を丸くしたが、ふっと微笑んだ。
「いいな、こうゆうのも」
「僕、カレーを作ったの。後ね、あきくんたちが色々買ってきてくれた!」
テーブルの上には様々なおかずが湯気を立てている。唐揚げなんかのメインのおかずから酢の物やサラダ、きんぴらごぼうなどが並んでいる。
「急にお邪魔しちゃってすみません」
「いや、逆に気を遣わせちまったな。俺もドーナツ買ってきた。後でみんなで食べよう」
「それ最近開店して話題になってるお店の…」
千晶が当然食いつく。人気スイーツブロガーの目は誤魔化せないのだ。
「あぁ、やっぱり有名なんだな。石田が買っていったほうがいいって言ってたから」
「石田さんナイス…」
加那太は思わず呟いていた。
いただきますをしてみんな食べ始める。
「カレー美味しいです。かなさん、足りますか?」
「大丈夫。みんなこそ足りる?」
大盛りのカレーライスをもりもり食べながら加那太はみなを案じた。
「かなさんがお腹いっぱいなら俺たちも多分お腹いっぱいです」
千晶がくすくす笑っている。
「え?そうなの?」
加那太は知らなかったと呟いた。生配信までもう一時間を切っている。いち早く食べ終えた加那太はPCなどの機材チェックを始めた。加那太の使うPCはもちろん、この間買ったゲーミングPCである。スペックも言うことなしだ。コントローラーの準備もしておいた。軽く確認したが、ドリフトなどの不具合も出ていない。精密な動きを求められるFPS視点のゲームには正確な動きをするコントローラーの使用が第一条件である。
千晶もまた準備を始めた。
千晶は携帯ゲーム機から通信をするらしい。
お互いに準備が整ったところで、二人はSNSで告知した。もちろん既に配信を待機している者もいる。その数500人。
モデレーターに千尋が入った。
アンチコメントなどの削除を担当する。
「じゃあ始めようか?」
加那太は配信を開始したのだった。
✢✢✢
「聞こえてますか?」
加那太の問いかけにコメント欄が一気に流れる。どうやら聞こえているらしい。
「あきです、今日はかなさんと一緒にやらせて頂きます」
またどどどっとコメント欄が流れた。
加那太は必死にコメントを目で追い、答えられるものには答えている。
「そう、あきくんは人気ブロガーさん。概要欄にブログのリンクが貼ってあるから気になる子は行ってみてね」
千晶のブログ宣伝も欠かさない。
「今日はコロシアム制でチャンピオンを穫るよ!
僕たちが何回穫れるか予想してコメント欄に書いてね!それじゃあ始めるよー!」
加那太と千晶の操るキャラクターが現れてマップ上に降り立つ。二人はそこから素早かった。
アイテムボックスから役に立ちそうなアイテムを次々回収し、敵を満遍なく倒す。
隙のないその動きを見て、「もしかしてチートですか?」と質問が来るくらいだ。それはいわゆる改造を指す。もちろんそれはルール違反だ。
「チートじゃないんだなぁこれが。ひたすらやり込んでたらこうなっただけで」
「俺たちって、ある意味詰んでますよね」
千晶の冷静なツッコミに加那太は思わず笑ってしまった。それから生配信は滞りなく終わりを告げたのだった。
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