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2章
2
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賢の手掛けた雑誌の表紙が話題になったのは、初夏の頃だった。賢のイラストが使われているとSNSで話題になり、それがとうとう朝のニュース番組に取り上げられたのである。
賢はもちろん、顔出しをしないことを明言している。取材を申し込まれたこともあったが、拓海は一貫として断っていた。雑誌が欲しいと愛護団体の方にもかなり問い合わせがあったらしく、改めて保護猫の活動に興味をもってもらえればとホームページの方で呼びかけているらしい。賢のイラストの力に拓海は驚いている。だが、それだけよく描けていたと断言出来る作品だった。
賢は普段と変わらず学校に通い、空いた時間にはイラストを描いている。もちろんSNSにもイラストを上げ続けていた。相変わらず画集にしないのかという問い合わせが来る。拓海は、限界を感じていた。
「拓海、大丈夫か?」
はーと大きく息を吐いた拓海に慎吾が心配そうに声を掛けてくれる。
「同人誌作ってみる?」
「え。それ、画集だよな?」
「そう。賢くんの使ってるキャンバスサイズなら出来そうだから」
「なるほどな。賢にも聞いたほうがいいな」
「賢くん、いいよって言ってくれるかな?単純に僕が断るの疲れただけなんだけど」
「拓海はよく頑張ったと思うぞ。SNSは色々あるからなぁ」
「人間がこんなに面倒臭いの久し振り」
「拓海はカウンセラーだから尚更だよな」
そうなのだった、と拓海は改めて思った。普段仕事でスクールカウンセラーとして学校に在中している時はこんな感情は湧いてこない。むしろ、もっと話をして分かり合いたいと思うくらいである。だが、ネットの世界では相手の姿は見えない。中には、好き放題に自分の意見を言ってくる者もいる。拓海はそれにすっかり疲弊してしまっていた。自分がこんなにネットというツールに不向きであったということに自分で驚いているくらいだ。
「とりあえずもう休めよ。コメントちゃんと読まなきゃってのは分かるけど、根詰めすぎると病気になるぞ」
俺みたいにと慎吾は笑った。彼は自律神経失調症に罹患している。だんだん症状は良くなってきているが辛くないわけではないだろう。拓海もそれを理解しているので頷いた。
「うん、そうさせてもらう。慎吾は寝ないの?」
「もうちょいな」
最近の慎吾は資格の勉強をしていた。疲れないかと心配になり、拓海は一度止めたが、勉強が楽しいとすっかりハマっているようだ。慎吾は看護師なので、自分の限界もよく分かっている。無理をしないと拓海と約束してくれていた。
「おやすみ、慎吾」
拓海は座っている慎吾に顔を寄せキスをした。
「拓海がキスしてくれた…嬉しい」
「慎吾、今度しようね」
「あぁ」
さりげなく情事の約束をし、拓海はベッドに潜り込んだのだった。
✢✢✢
「賢くんに聞きたいことがあるの」
次の日の夕方、賢は課題の手を止めて拓海を見つめていた。
「画集作ってみない?」
「もふくんでもいいの?」
「うん、賢くんの好きなものでいいんだよ」
賢は困ったように視線を泳がせている。
「お金は?」
「家で作るからかからないよ」
賢はそれを聞いてしばらく考えていた。
「ぼく描きたい」
「今までに描いたイラストでもいいんだよ」
賢がうーんと考え出した。
「絵の感じが変わっているの」
「え?」
賢の言葉に拓海は驚いていた。タブレットを渡され示される。
「これとこれ、違うの」
そう言われてみればそんな気もする。
「賢くんは新しく何枚描ける?」
「5枚くらい」
「もっと少なくていいんだよ」
賢がホッとしたような顔をした。同人誌というものは楽しんで作るに限る。
「綺麗に描くよ」
「うん、楽しみにしてるね」
課題を終わらせ、賢はさっそく原稿用紙のテンプレートをダウンロードしたらしい。それに沿ってイラストを描き始めた。サササとあっという間に正確な線を引いてしまうのだからすごい、と拓海は感心する。
「漫画は駄目?」
「いいよ。もちろん。そうだなぁ、全部で16Pくらいにする?」
「ん」
今回は所謂コピー本なるものを作ろうと拓海は調べて決めていた。印刷所に頼むという本格的なものもあるが、まずは初歩としてコピー本にしたのだ。コピー本なら拓海でも製本出来る。賢にも手伝ってもらえそうだ。拓海はSNS内にサービスとしてある通販サイトを利用しようと決めている。
「とりあえず10冊作ろうか?」
そう賢に提案すると頷かれる。
「買ってもらえるかな?」
賢に不安そうに言われて、拓海は力強く頷いた。
「とにかく、やってみようね!」
「ん!」
✢✢✢
「ん…つっ…は…慎吾」
拓海は慎吾の腕の中でもがいている。久し振りの情事はあまりに苦しく、快感に耐えきれなかった拓海は何度も慎吾の背中に爪を立てた。慎吾もまた苦しそうにしている。拓海が締め付けるから余計だろう。
「っ…ん…ン!」
2人で苦しみながらも強い快感を貪る。
「拓海、そろそろ…」
「ん、来て、慎吾」
慎吾が額に汗を滲ませて動く度に、拓海も喘ぐ。2人はほとんど同時に達していた。
「た…くみ。風呂…入るか」
息を乱しながら慎吾が言う。
「うん、入る」
今は真夜中だ。賢は眠っている。2人はお互いの手を握りキスをし合った。
「なんか、俺たち付き合いたてみたいだよな」
「何それ」
慎吾の言葉に拓海が思わず噴き出すと、慎吾が困ったように頬を搔いた。
「いや、賢がいるからなんだろうなって思ってさ」
「賢くんがキューピットってこと?」
「まあそうなるんだろうな。拓海はずっと可愛いし、賢は違う意味で可愛いし」
「賢くんも可愛いけど、慎吾も可愛いよ?」
「俺か?」
慎吾が自分を指差し、ないないと手を振った。
「俺はフツメンだからな」
「え、女性の看護師さんから人気だって聞いたけど」
慎吾が噴き出す。
「なんだそりゃ?!」
「嘘だよ、カマかけたのー」
拓海はそのまま風呂場に向かった。慎吾も慌てたように追いかけてくる。風呂場で第二ラウンドに突入したのは言うまでもなかった。
✢✢✢
「うーん、コピー本っていうか、プリンタ本というか…」
拓海はうーむ、と頭を抱えていた。本の値段がつけられずに困っている。材料費分だけ手元に入ればいいので、発送料やサイトの利用料の方が高いくらいだ。
「よし、とりあえず送料込みで650円かな」
スマートフォンの電卓アプリで何度か計算してみたが、どうやってもそれくらいになりそうである。切手代が急に値上がりしたのもあり、よりぎりぎりだった。
拓海は確認のためにもう一度電卓の画面を叩く。
「うん、やっぱぎりぎり」
「出来た!」
賢がタブレット片手に駆け寄ってくる。最近の賢は、同人誌用の原稿を着々と進めている。
「すごい。賢くん。ちょっと待っていて?」
「ん」
賢に過去に描いたものから特に気に入った作品を聞き、拓海はそれをプリンタで印刷してみた。
「うーん、色味がこうなるのか」
どうしても家庭用プリンタの限界というものがある。だが、賢は印刷された紙を見て嬉しそうにしている。
「綺麗」
「賢くんが納得してくれて良かった」
「本になるねぇ」
賢が嬉しそうに笑う。
「うん、あと、表紙かな?」
「表紙…もふくんでいい?」
賢が遠慮がちに尋ねてくる。
「もちろんいいよ。賢くんの本だもの」
賢は嬉しそうにはにかんだ。すぐさまタブレットを持ってきて作業を始めている。
「ただいま」
玄関から音がする。慎吾が帰ってきたのだ。賢は当然、すぐさま出迎えに行く。
「おかえりなさい!」
「お、賢。なんかいいことあったか?」
「もふくんだよ!」
賢の要領を得ない言葉に慎吾は戸惑ったようだ。困ったように拓海を見つめてきた。
「お帰り、慎吾。賢くん、同人誌の表紙を描いてるんだよ」
「おぉ、もふくんが表紙なのか」
よく分かったなと拓海は感心した。
「イラストをプリントアウトしてみたの」
拓海は印刷したイラストを慎吾に見せた。
「へぇ、実物になるとまた印象変わるな」
「そうなの。どうなるかなーって。ね、賢くん」
「ん」
賢がコクリと頷く。とりあえず、と拓海は作った料理をコンロで温め始めた。今日は定番のカレーライスだ。賢が毎回野菜の皮むきを手伝ってくれる。ルゥさえあれば誰でも簡単に出来るのもあり、よく出てくるメニューだ。賢が米を盛ってくれたのでそれにカレールゥを拓海がかけた。
「今日はカツがあるんだよ」
拓海は買っておいた惣菜を取り出した。スーパーで購入したトンカツである。普段は値段がいいなと買うのを躊躇うのだが、たまにならいいかと奮発したのだ。
「お、珍しいな」
「賢くんがすごく頑張ってるし、慎吾ももうすぐ試験なんでしょ?」
「そうなんだよな。勉強はしてるけど自信はない」
「なんでもトライだよ、慎吾」
拓海がぎゅっと拳を握ると、慎吾も頷いた。
「おう、弱気になるなんて俺らしくないよな」
「頑張って!」
久し振りのカツカレーに3人は美味しいとモリモリ食べたのだった。
✢✢✢
「賢くん。うさぎ描いて」
賢は昼休みの間、教室で絵を描いていることが多い。クラスメイトから何かを描いて欲しいと頼まれることもしばしばだ。
「うさぎさん」
賢は自分の通学カバンから図鑑を取り出した。うさぎのページを開き、細かい所を確認をしながら描く。限る慣れているのもあってかすぐに完成する。
「可愛い、すごいね!上手!」
「ありがとうございます」
賢はペコっと頭を下げた。賢はタブレットを取り出して、原稿を描き始める。
(ぼくが絵を描くと、皆喜んでくれる?)
ふと、賢の中にそんな気持ちが湧いてきたのだ。ようし、と力が籠もる。賢はチャイムが鳴るまでペンを走らせた。
「賢くん、お帰り」
家に帰ると、拓海が出迎えてくれた。賢は拓海の顔を見るとホッとする。
「ただいま、あのね」
「何かあった?」
賢はなんと言ったものか困ってしまった。自分はあまり人と上手く話せないのだ。
「うさぎさん描いたの」
なんとかそう一言紡ぐと、拓海はあぁと頷いた。
「お友達から頼まれたの?」
「ん」
拓海はいつも自分の気持ちを読み取ってくれる。
「賢くんの絵はすごいよね。人の気持ちを動かすんだから」
何を言っているか賢には分からなかったが、拓海が自分を褒めてくれていることは分かる。
「賢くん、おやつ食べようか?ココア飲むよね?」
「ココアのむ」
賢は通学カバンを自室に置き、制服から着替えた。居間に戻ると、拓海がビスケットとココアを用意してくれていた。ココアはもちろん冷たい。外気で火照った体にはたまらない逸品だ。
賢は座っておやつを食べ始めた。
「美味しい」
「良かった。今日の夕飯は餃子なんだけど、手伝ってくれる?」
「餃子包めるねぇ」
「賢くん、上手だもんね」
ふふ、と拓海が笑う。賢は拓海の笑顔が好きだ。もちろん慎吾の笑顔も。
「あのね、頑張る」
賢がそう言うと、拓海に優しく頭を撫でられた。
「賢くんのペースでね」
「ん」
おやつを食べ終わり、賢は学校の課題に取り掛かっている。来年から高等部になるので、仕事の体験実習が本格的に始まるのだ。賢は近くにある工場を選択していた。授業の実習などでいつも行く工場である。向こうも賢のことをよく分かってくれている。
賢は最後の問題を教科書を見直しながら解いた。
課題用のノートも広げ、算数ドリルを進めていく。最後に担任に問題の質問と近況を書き記し、賢はノートを閉じた。
「賢くん、お疲れ様。お茶飲む?」
「のむ」
賢は早速タブレットを用意している。今日もなにを描こうかとずっと楽しみにしていたのだ。ソフトを開き、ススと簡単にもふくんを描いてみる。賢は楽しくなり、原稿データを呼び出した。これが最後の原稿なのだ。
(だいじにかく)
前に拓海に「イラストを大事に描いていて偉いね」と褒められたことがあった。賢はその度にその言葉を思い出すようにしている。なんだか頑張れそうな気持ちになるからだ。拓海も自分の仕事をしているのか、PCに何やら打ち込んでいる。時計の秒針が振れる音が部屋の中に響いている。
「っ…」
賢はようやく息を吐いた。緊張状態が一気に緩むのを感じる。
「賢くん?」
賢は拓海に向かって笑った。
「出来たねえ」
✢✢✢
「出来たねえ」
賢のその言葉に、拓海は思わず立ち上がってしまった。
「見せてくれる?」
賢がタブレットを見せてくれた。それはもふくんが色々な服を着ている姿が並んでいる。もふくんは絵本内であちこち冒険に出掛けている。その度に衣装を変えて登場するのだ。
「可愛い!もふくんの衣装って色々あるし全部可愛いよね」
「可愛いねえ」
賢がニコニコ笑いながら頷いている。
「よし、夕飯食べたら印刷してみようか。餃子作ろう」
「ん!」
賢はタブレットを自室の机の上に置いた。
✢✢✢
「お、餃子かあ。嬉しいなぁ」
2人が餃子の皮に餡を包んでいると、慎吾が帰ってきた。
「おかえりなさい!」
「お帰り、慎吾。お風呂湧いてるよ」
「ただいま。お、じゃあ入ってくるか」
「賢くん、お皿配ってくれる?餃子焼くよ」
「はい」
賢が取り皿を運ぶのを確認して、拓海はフライパンをよく熱した。餃子は底面にくっつきやすいので気をつけなければならない。
底に焦げ目が付くのを待ち、水を入れた。ジュワアアアという音が響き渡る。これで蒸し焼きして、火が通るのを待てば完成である。
「おいしそう」
「すぐ出来るからね。ご飯盛れるかな?お願いしていい?」
「ん」
賢が炊飯器を開けて茶碗にご飯を盛り始める。はじめは炊飯器の湯気に驚いていた賢だが、慣れてきたらしい。盛り付けると、食卓に運んでいた。
「ありがとう、賢くん」
「お、いい匂いがするな」
慎吾が風呂からあがったらしい。タオルを手にやってきた。
「さ、最後の仕上げだよ」
拓海はフライパンより、一回り小さい皿を取り出した。底にフライ返しを差し込んでくっついていそうな部分を剥がす。皿をフライパンに被せるように置いて、くるっとフライパンをひっくり返すと羽根つきの餃子が現れた。
「美味そうだな!」
「おなかすいた」
「ご飯にしよ」
拓海たちは食べ始めた。最近の話題は賢の同人誌に関してである。
「え、ついに原稿終わったのか?」
「そうなんだ。ね、賢くん」
「終わった」
ふふ、と賢が笑う。
「俺も製本出来るか?」
「うん、もちろん出来るよ」
「良かったらなんだけど、俺の分も作ってもらえないか?」
「もちろん」
今日起こったちょっとしたことを話すこの時間が拓海は好きだった。賢も頷いたり笑ったりしてくれて、余計に嬉しくなる。
「ごちそう様でした」
夕飯の片付けをして、拓海たちはそろってプリンタの前にいる。
「インクも新しいの買ってきたし準備万端だよ。さ、やってみよう!」
拓海は賢のタブレットと同期しているデスクトップPCを立ち上げた。もちろん中のデータも共有している。印刷すること約1時間。全てのページを印刷することが出来た。
「じゃあ賢くんはページ順に紙を取っていこ。慎吾は不備がないか確認して。僕はホチキスで留めて製本テープを貼っていくね」
「よし、賢!やるぞ!」
「えいえいおー!」
3人でやる作業はあっと言う間だった。11冊の同人誌が出来上がった。慎吾は早速開いて見ている。
「すげえな、賢。漫画も描けるんだもんな」
「ありがとうございます」
拓海はSNSに通販が始まった旨を告知した。もちろん、通販サイトのURLリンクが貼ってある。
「ん?」
そんなことをしているうちに拓海のスマートフォンが鳴り出す。
「あ…売れた…」
「え?もうか?」
またメールが来る。そうこうしているうちに在庫は全てなくなってしまった。こうなると決まって、増刷はないのかという問い合わせが来る。拓海はしばらく検討させて欲しいと改めて告知したのだった。
✢
拓海は発送準備を行っている。賢に描いて貰ったもふくんのイラストをもとにシールを作ってみたのだ。なかなか可愛らしいものが出来た。今は匿名配送が当たり前になっている。丁寧に袋に入れ、シールで口を留めた。
それを更に緩衝材で包む。賢はそれを横から見つめている。
「賢くん、シール可愛く出来たね」
「可愛いねぇ」
どうやらもふくんが可愛いと賢は捉えたらしい。ニコニコしていた。
「よし、これで郵便局に行くか」
拓海たちのマンションから徒歩で約20分程離れた場所に郵便局はあった。拓海は荷物を抱えた。なかなかの重量だ。
「賢くん、郵便局行ったあとお菓子買わない?」
「買う!」
賢の目がキラキラしている。
「帽子被って。外は暑いからね」
「ん!」
こうして無事に発送作業は完了したのだった。
✢✢✢
「はー」
拓海は大きなため息をついた。
「どうした?拓海?またSNSか?」
慎吾に抱き寄せられて、拓海は彼にもたれかかった。
「個展の話が来てて…」
「え?それって古文の授業か?」
拓海は思わず噴き出してしまった。どうやら慎吾は古典と取り違えたらしい。
「賢くんのイラストをギャラリーに飾らないかって」
「それ、金かかるよな?」
「辺鄙な場所にあるからいいですよって」
「な…すごいな、賢は」
「本当に。賢くんに聞いたけどよく分かってなかったし、どうしようかなって」
「賢は今度の職場体験楽しみにしてるんだろ?」
「うん、早くお兄さんたちと実習したいって張り切ってるの」
「画家もいいけど、賢のしたいことをして欲しいよなぁ」
「兼業はやっぱり大変だよね」
「まぁそうなるよな」
うーん、と2人は考えたが、将来のことは誰にも分からない。もちろん不安がないわけではないが、なんとか乗り切ってきた経験が2人にはある。
「ギャラリーに飾ってもらったとして、その絵が売れたりするのか?」
「うん、そうなるみたいだね。賢くんには作品を作ってもらわないとだけど」
「賢は?」
「イルカが描きたいんだって。画材も必要だし」
「イルカかぁ!なら水族館に見に行くか!」
もう夏休みも目前だ。拓海は頷いた。
賢はもちろん、顔出しをしないことを明言している。取材を申し込まれたこともあったが、拓海は一貫として断っていた。雑誌が欲しいと愛護団体の方にもかなり問い合わせがあったらしく、改めて保護猫の活動に興味をもってもらえればとホームページの方で呼びかけているらしい。賢のイラストの力に拓海は驚いている。だが、それだけよく描けていたと断言出来る作品だった。
賢は普段と変わらず学校に通い、空いた時間にはイラストを描いている。もちろんSNSにもイラストを上げ続けていた。相変わらず画集にしないのかという問い合わせが来る。拓海は、限界を感じていた。
「拓海、大丈夫か?」
はーと大きく息を吐いた拓海に慎吾が心配そうに声を掛けてくれる。
「同人誌作ってみる?」
「え。それ、画集だよな?」
「そう。賢くんの使ってるキャンバスサイズなら出来そうだから」
「なるほどな。賢にも聞いたほうがいいな」
「賢くん、いいよって言ってくれるかな?単純に僕が断るの疲れただけなんだけど」
「拓海はよく頑張ったと思うぞ。SNSは色々あるからなぁ」
「人間がこんなに面倒臭いの久し振り」
「拓海はカウンセラーだから尚更だよな」
そうなのだった、と拓海は改めて思った。普段仕事でスクールカウンセラーとして学校に在中している時はこんな感情は湧いてこない。むしろ、もっと話をして分かり合いたいと思うくらいである。だが、ネットの世界では相手の姿は見えない。中には、好き放題に自分の意見を言ってくる者もいる。拓海はそれにすっかり疲弊してしまっていた。自分がこんなにネットというツールに不向きであったということに自分で驚いているくらいだ。
「とりあえずもう休めよ。コメントちゃんと読まなきゃってのは分かるけど、根詰めすぎると病気になるぞ」
俺みたいにと慎吾は笑った。彼は自律神経失調症に罹患している。だんだん症状は良くなってきているが辛くないわけではないだろう。拓海もそれを理解しているので頷いた。
「うん、そうさせてもらう。慎吾は寝ないの?」
「もうちょいな」
最近の慎吾は資格の勉強をしていた。疲れないかと心配になり、拓海は一度止めたが、勉強が楽しいとすっかりハマっているようだ。慎吾は看護師なので、自分の限界もよく分かっている。無理をしないと拓海と約束してくれていた。
「おやすみ、慎吾」
拓海は座っている慎吾に顔を寄せキスをした。
「拓海がキスしてくれた…嬉しい」
「慎吾、今度しようね」
「あぁ」
さりげなく情事の約束をし、拓海はベッドに潜り込んだのだった。
✢✢✢
「賢くんに聞きたいことがあるの」
次の日の夕方、賢は課題の手を止めて拓海を見つめていた。
「画集作ってみない?」
「もふくんでもいいの?」
「うん、賢くんの好きなものでいいんだよ」
賢は困ったように視線を泳がせている。
「お金は?」
「家で作るからかからないよ」
賢はそれを聞いてしばらく考えていた。
「ぼく描きたい」
「今までに描いたイラストでもいいんだよ」
賢がうーんと考え出した。
「絵の感じが変わっているの」
「え?」
賢の言葉に拓海は驚いていた。タブレットを渡され示される。
「これとこれ、違うの」
そう言われてみればそんな気もする。
「賢くんは新しく何枚描ける?」
「5枚くらい」
「もっと少なくていいんだよ」
賢がホッとしたような顔をした。同人誌というものは楽しんで作るに限る。
「綺麗に描くよ」
「うん、楽しみにしてるね」
課題を終わらせ、賢はさっそく原稿用紙のテンプレートをダウンロードしたらしい。それに沿ってイラストを描き始めた。サササとあっという間に正確な線を引いてしまうのだからすごい、と拓海は感心する。
「漫画は駄目?」
「いいよ。もちろん。そうだなぁ、全部で16Pくらいにする?」
「ん」
今回は所謂コピー本なるものを作ろうと拓海は調べて決めていた。印刷所に頼むという本格的なものもあるが、まずは初歩としてコピー本にしたのだ。コピー本なら拓海でも製本出来る。賢にも手伝ってもらえそうだ。拓海はSNS内にサービスとしてある通販サイトを利用しようと決めている。
「とりあえず10冊作ろうか?」
そう賢に提案すると頷かれる。
「買ってもらえるかな?」
賢に不安そうに言われて、拓海は力強く頷いた。
「とにかく、やってみようね!」
「ん!」
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「ん…つっ…は…慎吾」
拓海は慎吾の腕の中でもがいている。久し振りの情事はあまりに苦しく、快感に耐えきれなかった拓海は何度も慎吾の背中に爪を立てた。慎吾もまた苦しそうにしている。拓海が締め付けるから余計だろう。
「っ…ん…ン!」
2人で苦しみながらも強い快感を貪る。
「拓海、そろそろ…」
「ん、来て、慎吾」
慎吾が額に汗を滲ませて動く度に、拓海も喘ぐ。2人はほとんど同時に達していた。
「た…くみ。風呂…入るか」
息を乱しながら慎吾が言う。
「うん、入る」
今は真夜中だ。賢は眠っている。2人はお互いの手を握りキスをし合った。
「なんか、俺たち付き合いたてみたいだよな」
「何それ」
慎吾の言葉に拓海が思わず噴き出すと、慎吾が困ったように頬を搔いた。
「いや、賢がいるからなんだろうなって思ってさ」
「賢くんがキューピットってこと?」
「まあそうなるんだろうな。拓海はずっと可愛いし、賢は違う意味で可愛いし」
「賢くんも可愛いけど、慎吾も可愛いよ?」
「俺か?」
慎吾が自分を指差し、ないないと手を振った。
「俺はフツメンだからな」
「え、女性の看護師さんから人気だって聞いたけど」
慎吾が噴き出す。
「なんだそりゃ?!」
「嘘だよ、カマかけたのー」
拓海はそのまま風呂場に向かった。慎吾も慌てたように追いかけてくる。風呂場で第二ラウンドに突入したのは言うまでもなかった。
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「うーん、コピー本っていうか、プリンタ本というか…」
拓海はうーむ、と頭を抱えていた。本の値段がつけられずに困っている。材料費分だけ手元に入ればいいので、発送料やサイトの利用料の方が高いくらいだ。
「よし、とりあえず送料込みで650円かな」
スマートフォンの電卓アプリで何度か計算してみたが、どうやってもそれくらいになりそうである。切手代が急に値上がりしたのもあり、よりぎりぎりだった。
拓海は確認のためにもう一度電卓の画面を叩く。
「うん、やっぱぎりぎり」
「出来た!」
賢がタブレット片手に駆け寄ってくる。最近の賢は、同人誌用の原稿を着々と進めている。
「すごい。賢くん。ちょっと待っていて?」
「ん」
賢に過去に描いたものから特に気に入った作品を聞き、拓海はそれをプリンタで印刷してみた。
「うーん、色味がこうなるのか」
どうしても家庭用プリンタの限界というものがある。だが、賢は印刷された紙を見て嬉しそうにしている。
「綺麗」
「賢くんが納得してくれて良かった」
「本になるねぇ」
賢が嬉しそうに笑う。
「うん、あと、表紙かな?」
「表紙…もふくんでいい?」
賢が遠慮がちに尋ねてくる。
「もちろんいいよ。賢くんの本だもの」
賢は嬉しそうにはにかんだ。すぐさまタブレットを持ってきて作業を始めている。
「ただいま」
玄関から音がする。慎吾が帰ってきたのだ。賢は当然、すぐさま出迎えに行く。
「おかえりなさい!」
「お、賢。なんかいいことあったか?」
「もふくんだよ!」
賢の要領を得ない言葉に慎吾は戸惑ったようだ。困ったように拓海を見つめてきた。
「お帰り、慎吾。賢くん、同人誌の表紙を描いてるんだよ」
「おぉ、もふくんが表紙なのか」
よく分かったなと拓海は感心した。
「イラストをプリントアウトしてみたの」
拓海は印刷したイラストを慎吾に見せた。
「へぇ、実物になるとまた印象変わるな」
「そうなの。どうなるかなーって。ね、賢くん」
「ん」
賢がコクリと頷く。とりあえず、と拓海は作った料理をコンロで温め始めた。今日は定番のカレーライスだ。賢が毎回野菜の皮むきを手伝ってくれる。ルゥさえあれば誰でも簡単に出来るのもあり、よく出てくるメニューだ。賢が米を盛ってくれたのでそれにカレールゥを拓海がかけた。
「今日はカツがあるんだよ」
拓海は買っておいた惣菜を取り出した。スーパーで購入したトンカツである。普段は値段がいいなと買うのを躊躇うのだが、たまにならいいかと奮発したのだ。
「お、珍しいな」
「賢くんがすごく頑張ってるし、慎吾ももうすぐ試験なんでしょ?」
「そうなんだよな。勉強はしてるけど自信はない」
「なんでもトライだよ、慎吾」
拓海がぎゅっと拳を握ると、慎吾も頷いた。
「おう、弱気になるなんて俺らしくないよな」
「頑張って!」
久し振りのカツカレーに3人は美味しいとモリモリ食べたのだった。
✢✢✢
「賢くん。うさぎ描いて」
賢は昼休みの間、教室で絵を描いていることが多い。クラスメイトから何かを描いて欲しいと頼まれることもしばしばだ。
「うさぎさん」
賢は自分の通学カバンから図鑑を取り出した。うさぎのページを開き、細かい所を確認をしながら描く。限る慣れているのもあってかすぐに完成する。
「可愛い、すごいね!上手!」
「ありがとうございます」
賢はペコっと頭を下げた。賢はタブレットを取り出して、原稿を描き始める。
(ぼくが絵を描くと、皆喜んでくれる?)
ふと、賢の中にそんな気持ちが湧いてきたのだ。ようし、と力が籠もる。賢はチャイムが鳴るまでペンを走らせた。
「賢くん、お帰り」
家に帰ると、拓海が出迎えてくれた。賢は拓海の顔を見るとホッとする。
「ただいま、あのね」
「何かあった?」
賢はなんと言ったものか困ってしまった。自分はあまり人と上手く話せないのだ。
「うさぎさん描いたの」
なんとかそう一言紡ぐと、拓海はあぁと頷いた。
「お友達から頼まれたの?」
「ん」
拓海はいつも自分の気持ちを読み取ってくれる。
「賢くんの絵はすごいよね。人の気持ちを動かすんだから」
何を言っているか賢には分からなかったが、拓海が自分を褒めてくれていることは分かる。
「賢くん、おやつ食べようか?ココア飲むよね?」
「ココアのむ」
賢は通学カバンを自室に置き、制服から着替えた。居間に戻ると、拓海がビスケットとココアを用意してくれていた。ココアはもちろん冷たい。外気で火照った体にはたまらない逸品だ。
賢は座っておやつを食べ始めた。
「美味しい」
「良かった。今日の夕飯は餃子なんだけど、手伝ってくれる?」
「餃子包めるねぇ」
「賢くん、上手だもんね」
ふふ、と拓海が笑う。賢は拓海の笑顔が好きだ。もちろん慎吾の笑顔も。
「あのね、頑張る」
賢がそう言うと、拓海に優しく頭を撫でられた。
「賢くんのペースでね」
「ん」
おやつを食べ終わり、賢は学校の課題に取り掛かっている。来年から高等部になるので、仕事の体験実習が本格的に始まるのだ。賢は近くにある工場を選択していた。授業の実習などでいつも行く工場である。向こうも賢のことをよく分かってくれている。
賢は最後の問題を教科書を見直しながら解いた。
課題用のノートも広げ、算数ドリルを進めていく。最後に担任に問題の質問と近況を書き記し、賢はノートを閉じた。
「賢くん、お疲れ様。お茶飲む?」
「のむ」
賢は早速タブレットを用意している。今日もなにを描こうかとずっと楽しみにしていたのだ。ソフトを開き、ススと簡単にもふくんを描いてみる。賢は楽しくなり、原稿データを呼び出した。これが最後の原稿なのだ。
(だいじにかく)
前に拓海に「イラストを大事に描いていて偉いね」と褒められたことがあった。賢はその度にその言葉を思い出すようにしている。なんだか頑張れそうな気持ちになるからだ。拓海も自分の仕事をしているのか、PCに何やら打ち込んでいる。時計の秒針が振れる音が部屋の中に響いている。
「っ…」
賢はようやく息を吐いた。緊張状態が一気に緩むのを感じる。
「賢くん?」
賢は拓海に向かって笑った。
「出来たねえ」
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「出来たねえ」
賢のその言葉に、拓海は思わず立ち上がってしまった。
「見せてくれる?」
賢がタブレットを見せてくれた。それはもふくんが色々な服を着ている姿が並んでいる。もふくんは絵本内であちこち冒険に出掛けている。その度に衣装を変えて登場するのだ。
「可愛い!もふくんの衣装って色々あるし全部可愛いよね」
「可愛いねえ」
賢がニコニコ笑いながら頷いている。
「よし、夕飯食べたら印刷してみようか。餃子作ろう」
「ん!」
賢はタブレットを自室の机の上に置いた。
✢✢✢
「お、餃子かあ。嬉しいなぁ」
2人が餃子の皮に餡を包んでいると、慎吾が帰ってきた。
「おかえりなさい!」
「お帰り、慎吾。お風呂湧いてるよ」
「ただいま。お、じゃあ入ってくるか」
「賢くん、お皿配ってくれる?餃子焼くよ」
「はい」
賢が取り皿を運ぶのを確認して、拓海はフライパンをよく熱した。餃子は底面にくっつきやすいので気をつけなければならない。
底に焦げ目が付くのを待ち、水を入れた。ジュワアアアという音が響き渡る。これで蒸し焼きして、火が通るのを待てば完成である。
「おいしそう」
「すぐ出来るからね。ご飯盛れるかな?お願いしていい?」
「ん」
賢が炊飯器を開けて茶碗にご飯を盛り始める。はじめは炊飯器の湯気に驚いていた賢だが、慣れてきたらしい。盛り付けると、食卓に運んでいた。
「ありがとう、賢くん」
「お、いい匂いがするな」
慎吾が風呂からあがったらしい。タオルを手にやってきた。
「さ、最後の仕上げだよ」
拓海はフライパンより、一回り小さい皿を取り出した。底にフライ返しを差し込んでくっついていそうな部分を剥がす。皿をフライパンに被せるように置いて、くるっとフライパンをひっくり返すと羽根つきの餃子が現れた。
「美味そうだな!」
「おなかすいた」
「ご飯にしよ」
拓海たちは食べ始めた。最近の話題は賢の同人誌に関してである。
「え、ついに原稿終わったのか?」
「そうなんだ。ね、賢くん」
「終わった」
ふふ、と賢が笑う。
「俺も製本出来るか?」
「うん、もちろん出来るよ」
「良かったらなんだけど、俺の分も作ってもらえないか?」
「もちろん」
今日起こったちょっとしたことを話すこの時間が拓海は好きだった。賢も頷いたり笑ったりしてくれて、余計に嬉しくなる。
「ごちそう様でした」
夕飯の片付けをして、拓海たちはそろってプリンタの前にいる。
「インクも新しいの買ってきたし準備万端だよ。さ、やってみよう!」
拓海は賢のタブレットと同期しているデスクトップPCを立ち上げた。もちろん中のデータも共有している。印刷すること約1時間。全てのページを印刷することが出来た。
「じゃあ賢くんはページ順に紙を取っていこ。慎吾は不備がないか確認して。僕はホチキスで留めて製本テープを貼っていくね」
「よし、賢!やるぞ!」
「えいえいおー!」
3人でやる作業はあっと言う間だった。11冊の同人誌が出来上がった。慎吾は早速開いて見ている。
「すげえな、賢。漫画も描けるんだもんな」
「ありがとうございます」
拓海はSNSに通販が始まった旨を告知した。もちろん、通販サイトのURLリンクが貼ってある。
「ん?」
そんなことをしているうちに拓海のスマートフォンが鳴り出す。
「あ…売れた…」
「え?もうか?」
またメールが来る。そうこうしているうちに在庫は全てなくなってしまった。こうなると決まって、増刷はないのかという問い合わせが来る。拓海はしばらく検討させて欲しいと改めて告知したのだった。
✢
拓海は発送準備を行っている。賢に描いて貰ったもふくんのイラストをもとにシールを作ってみたのだ。なかなか可愛らしいものが出来た。今は匿名配送が当たり前になっている。丁寧に袋に入れ、シールで口を留めた。
それを更に緩衝材で包む。賢はそれを横から見つめている。
「賢くん、シール可愛く出来たね」
「可愛いねぇ」
どうやらもふくんが可愛いと賢は捉えたらしい。ニコニコしていた。
「よし、これで郵便局に行くか」
拓海たちのマンションから徒歩で約20分程離れた場所に郵便局はあった。拓海は荷物を抱えた。なかなかの重量だ。
「賢くん、郵便局行ったあとお菓子買わない?」
「買う!」
賢の目がキラキラしている。
「帽子被って。外は暑いからね」
「ん!」
こうして無事に発送作業は完了したのだった。
✢✢✢
「はー」
拓海は大きなため息をついた。
「どうした?拓海?またSNSか?」
慎吾に抱き寄せられて、拓海は彼にもたれかかった。
「個展の話が来てて…」
「え?それって古文の授業か?」
拓海は思わず噴き出してしまった。どうやら慎吾は古典と取り違えたらしい。
「賢くんのイラストをギャラリーに飾らないかって」
「それ、金かかるよな?」
「辺鄙な場所にあるからいいですよって」
「な…すごいな、賢は」
「本当に。賢くんに聞いたけどよく分かってなかったし、どうしようかなって」
「賢は今度の職場体験楽しみにしてるんだろ?」
「うん、早くお兄さんたちと実習したいって張り切ってるの」
「画家もいいけど、賢のしたいことをして欲しいよなぁ」
「兼業はやっぱり大変だよね」
「まぁそうなるよな」
うーん、と2人は考えたが、将来のことは誰にも分からない。もちろん不安がないわけではないが、なんとか乗り切ってきた経験が2人にはある。
「ギャラリーに飾ってもらったとして、その絵が売れたりするのか?」
「うん、そうなるみたいだね。賢くんには作品を作ってもらわないとだけど」
「賢は?」
「イルカが描きたいんだって。画材も必要だし」
「イルカかぁ!なら水族館に見に行くか!」
もう夏休みも目前だ。拓海は頷いた。
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