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土曜日になり、拓海たちは家電量販店に来ている。賢に扱えそうなタブレットを拓海と慎吾は調べに調べた。結果、少しサイズが大きめの機種を見つけたのだ。値段も手頃で、絵を描く分にはスペックも十分なようである。拓海は予め店に注文をしておいた。賢はタブレットと言われても、勉強に使うものと思っているらしく、少し不安気な顔をしている。サービスカウンターに向かうと、椅子に座るよう言われた。使い方を説明してくれるらしい。絵を描くためのデザインソフトのインストールもそこでお願いしていた。賢を真ん中に座らせ、慎吾と拓海も席に着く。店員は電源の入れ方やワイファイの使い方など基本的な操作から、ソフトのインストールの仕方、アンインストールの仕方も教えてくれた。
「賢くん、これでお絵描き出来るんだよ」
賢はじっとスタッフの手元を見つめていたが、何をしているのか分からなかったらしい。
「もふくん描けるの?」
と驚いたように聞いてきた。
「うん、もふくんも描けるし、ライオンさんも描けるよ」
「すごい…」
賢はしばらくポカンとしながらスタッフの説明を聞いていた。
「こちらのペンがあったほうが描きやすいと思います。あと手袋をおすすめしますよ」
「あ、じゃあそれもください」
「ありがとうございます」
結果的に一万と少しかかったが、本格的な液晶タブレットのことを思えば、この数倍はかかる。
家に帰ってくるなり賢はタブレットを触り始めた。デザインソフトの起動と閉じ方を確認している。
「あ、これ写真撮れるねぇ」
「なにか撮りたいものがあった?」
「図鑑」
賢はページを広げて写真を撮っている。どうするのかと拓海は見守っていた。デザインソフトを開き、写真を呼び出す。
「あ、写し書きができるねえ」
「え、それ、トレースだよね?賢くんすごい」
「賢はデジタルネイティブだもんな」
賢はすすす、と線を引いてあっという間に1枚の作品を作り上げてしまった。
「なんか、このまま置いておくのもったいなくないか?」
慎吾の提案に拓海も頷く。
「賢くんは絵を誰かに見せたことはある?」
「先生とお友達」
「SNSを少しやってみない?」
賢は首を傾げている。
「賢くんのイラストを皆に見てもらえるよ」
「すごいねぇ」
ニコニコしながら賢が言う。
「身バレだけは気を付けないとな。今は簡単に特定できるみたいだし」
「だね。とりあえずペンネームは…」
「もふくん」
賢がはっきりそう言ったので、拓海は言われた通りの名前で登録してみた。先程のイラストをタブレットから投下してみる。反応がすぐにきて、拓海たちは驚いたのだった。
「賢くん、これでお絵描き出来るんだよ」
賢はじっとスタッフの手元を見つめていたが、何をしているのか分からなかったらしい。
「もふくん描けるの?」
と驚いたように聞いてきた。
「うん、もふくんも描けるし、ライオンさんも描けるよ」
「すごい…」
賢はしばらくポカンとしながらスタッフの説明を聞いていた。
「こちらのペンがあったほうが描きやすいと思います。あと手袋をおすすめしますよ」
「あ、じゃあそれもください」
「ありがとうございます」
結果的に一万と少しかかったが、本格的な液晶タブレットのことを思えば、この数倍はかかる。
家に帰ってくるなり賢はタブレットを触り始めた。デザインソフトの起動と閉じ方を確認している。
「あ、これ写真撮れるねぇ」
「なにか撮りたいものがあった?」
「図鑑」
賢はページを広げて写真を撮っている。どうするのかと拓海は見守っていた。デザインソフトを開き、写真を呼び出す。
「あ、写し書きができるねえ」
「え、それ、トレースだよね?賢くんすごい」
「賢はデジタルネイティブだもんな」
賢はすすす、と線を引いてあっという間に1枚の作品を作り上げてしまった。
「なんか、このまま置いておくのもったいなくないか?」
慎吾の提案に拓海も頷く。
「賢くんは絵を誰かに見せたことはある?」
「先生とお友達」
「SNSを少しやってみない?」
賢は首を傾げている。
「賢くんのイラストを皆に見てもらえるよ」
「すごいねぇ」
ニコニコしながら賢が言う。
「身バレだけは気を付けないとな。今は簡単に特定できるみたいだし」
「だね。とりあえずペンネームは…」
「もふくん」
賢がはっきりそう言ったので、拓海は言われた通りの名前で登録してみた。先程のイラストをタブレットから投下してみる。反応がすぐにきて、拓海たちは驚いたのだった。
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