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「賢くん、カード、これに入れてみる?」
帰ってきたその日、拓海は透明のカードスリーブを賢に手渡した。以前、百円均一で買ったものだが、十分使える。賢がそれを受け取り、じっと見つめている。
「それでカードがきれいに保管できるよ」
「そうか、カードを入れるんだ!」
賢は早速、先程もらったカードをスリーブに入れている。
「わぁ、きらきらしたねぇ」
照明に反射して確かにキラキラして見える。賢はすごく喜んでいる。
「賢くん、明日はお年玉を使うの?」
賢は慎吾と拓海の二人から千円ずつお年玉をもらっていた。
賢が首を振る。
「貯金箱のお金使う」
そういえばと拓海は今更思い出していた。賢はコツコツお金を貯めていた。彼は自室から貯金箱を持ってきて中身をテーブルの上にすべてあけた。小銭ばかりだが、相当な枚数がある。
「すごい貯まったな、賢」
「カードのセットは2000円あれば買えるね」
拓海は先程調べた内容を改めて確認した。ファイルは百円均一に売っているものでいいだろう。
「買える?」
賢が尋ねてきたので拓海は頷いた。
「賢くん、必要なだけお財布に入れようか」
「ん」
賢が持ってきた財布はもちろんもふくんのイラストが描かれている。
「千円あった」
どうやら財布に金が残っていたらしい。
「賢はお金持ちだな」
「おかねもち…ふふ」
慎吾の言葉に笑って、賢は慎重に金を財布に入れた。
「カード、楽しみだねぇ」
「うん、そうだね。おっと、お風呂沸いてるから入ってきちゃって」
「賢、入ってこい」
「ん」
賢が着替えを持って浴室に入る。
「賢のやつ、書道の筆めちゃくちゃ気に入ったみたいだな」
「え、そうなの?」
慎吾が笑う。
「もう筆に名前書いててさ。嬉しいよな」
「賢くんは物を大事にするから偉いよね」
「あぁ、本当にな」
拓海は油を温め始めた。今日はとんかつだ。安くて厚い肉が手に入ったのだ。初詣の帰りにスーパーに寄ったのである。油が温まりとんかつを揚げていく。
「いい匂い」
そこに風呂からあがったらしい賢がタオル片手にやってきた。
「賢くん、キャベツ分けてもらっていい?」
「はい」
賢がいつもの皿に千切りキャベツを分けてくれている。拓海はその間にもとんかつを揚げていく。
「拓海、出たぞ」
慎吾も風呂から上がったようだ。拓海は二人に夕飯にしようと声を掛けた。
皆で手を合わせる。
「いただきます」
まだ元日なのでとんかつ以外にもおせちがある。賢は黒豆が気に入ったのかモリモリ食べている。
「美味しい?」
「美味しいねえ」
「ああ、美味いぞ、拓海」
結果的に賢も慎吾もご飯をお替りした。
「あ、ご飯もうおしまい。お腹いっぱいになった?」
「あー、よく食った」
「美味しかった」
二人が腹をさすっている。
「良かった。じゃ、僕もお風呂入ってくるね」
拓海も浴室へ向かった。
(明日のお昼はお店のラーメンでもいいな)
そんなことを思いながら髪の毛を洗った。
帰ってきたその日、拓海は透明のカードスリーブを賢に手渡した。以前、百円均一で買ったものだが、十分使える。賢がそれを受け取り、じっと見つめている。
「それでカードがきれいに保管できるよ」
「そうか、カードを入れるんだ!」
賢は早速、先程もらったカードをスリーブに入れている。
「わぁ、きらきらしたねぇ」
照明に反射して確かにキラキラして見える。賢はすごく喜んでいる。
「賢くん、明日はお年玉を使うの?」
賢は慎吾と拓海の二人から千円ずつお年玉をもらっていた。
賢が首を振る。
「貯金箱のお金使う」
そういえばと拓海は今更思い出していた。賢はコツコツお金を貯めていた。彼は自室から貯金箱を持ってきて中身をテーブルの上にすべてあけた。小銭ばかりだが、相当な枚数がある。
「すごい貯まったな、賢」
「カードのセットは2000円あれば買えるね」
拓海は先程調べた内容を改めて確認した。ファイルは百円均一に売っているものでいいだろう。
「買える?」
賢が尋ねてきたので拓海は頷いた。
「賢くん、必要なだけお財布に入れようか」
「ん」
賢が持ってきた財布はもちろんもふくんのイラストが描かれている。
「千円あった」
どうやら財布に金が残っていたらしい。
「賢はお金持ちだな」
「おかねもち…ふふ」
慎吾の言葉に笑って、賢は慎重に金を財布に入れた。
「カード、楽しみだねぇ」
「うん、そうだね。おっと、お風呂沸いてるから入ってきちゃって」
「賢、入ってこい」
「ん」
賢が着替えを持って浴室に入る。
「賢のやつ、書道の筆めちゃくちゃ気に入ったみたいだな」
「え、そうなの?」
慎吾が笑う。
「もう筆に名前書いててさ。嬉しいよな」
「賢くんは物を大事にするから偉いよね」
「あぁ、本当にな」
拓海は油を温め始めた。今日はとんかつだ。安くて厚い肉が手に入ったのだ。初詣の帰りにスーパーに寄ったのである。油が温まりとんかつを揚げていく。
「いい匂い」
そこに風呂からあがったらしい賢がタオル片手にやってきた。
「賢くん、キャベツ分けてもらっていい?」
「はい」
賢がいつもの皿に千切りキャベツを分けてくれている。拓海はその間にもとんかつを揚げていく。
「拓海、出たぞ」
慎吾も風呂から上がったようだ。拓海は二人に夕飯にしようと声を掛けた。
皆で手を合わせる。
「いただきます」
まだ元日なのでとんかつ以外にもおせちがある。賢は黒豆が気に入ったのかモリモリ食べている。
「美味しい?」
「美味しいねえ」
「ああ、美味いぞ、拓海」
結果的に賢も慎吾もご飯をお替りした。
「あ、ご飯もうおしまい。お腹いっぱいになった?」
「あー、よく食った」
「美味しかった」
二人が腹をさすっている。
「良かった。じゃ、僕もお風呂入ってくるね」
拓海も浴室へ向かった。
(明日のお昼はお店のラーメンでもいいな)
そんなことを思いながら髪の毛を洗った。
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