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三章・具材ゴロゴロミートソーススパゲティ

勝負を制した者

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「さぁ!両者共に料理が完成したようです!!まずは鉄人から発表致します!」

ハムサムさんの料理は定番のサラミピザだ。真っ赤なトマトソースがいい色を出している。
上に散らしてあるのはバジルかな。
チーズがたっぷり乗っていてすごく美味しそう。審査員の人たちが幸せそうな顔で、ピザに齧り付いている。いいな、僕も食べてみたいから、後で作ってもらえないか、お願いしてみよう。
とろけたチーズがみょーんって伸びている。絶対美味しい。

「美味い!これは最高だ!」

うんうん、と他の審査員さんたちも頷いている。

「今回は四種のチーズを使わせて頂きました。定番のゴーダチーズから…」

お、ハムサムさんのチーズ講義が始まったぞ。チーズは熟成のさせ方で(しないものもあるらしい)随分味が変わるのだと教わった。すごく勉強になった。僕も次にピザを作る時は試してみよう。

「では次は挑戦者、カルマ選手の料理です!!今の所、ハムサム選手に優勢な気がしますが、どんな料理で挑んでくるのか!!」

僕が作ったのはさっきも言った通り、肉団子がたっぷり入ったミートソーススパゲティだ。

「な…これは…」

ハムサムさんが口を開けて固まっている。審査員の皆が一口スパゲティを頬張る。

「んむ…なんてジューシーな肉団子なんだ!」

「肉団子の形は不格好だけど一生懸命作った感じがいいわね!」

「では両者の料理の試食が終わりましたので、審査に入りましょう!!」

ドラムロールが流れる。そして、その音が止んだ。

「結果が出ました!!挑戦者二票!鉄人が五票!さすが鉄人、実力の…」

ふらふらとハムサムさんが僕の方にやってくる。

「カルマくん、私にもそのスパゲティを食べさせてくれないか?」

「はい!もちろんです」

「おおっと、鉄人、急にカルマ選手のスパゲティを食べ始めたぞ!!」

ハムサムさんが笑った。

「君のスパゲティは素晴らしいよ。私の負けだね」

「一体どういうことだー?鉄人!説明をお願いします!」

ハムサムさんにマイクが渡される。

「見ているか、好敵手ともよ!カルマくんは君の公開したレシピを自分なりにアレンジしてスパゲティを作ったんだ。
君の料理のベースがいかに素晴らしいか、君に伝えるために。
君が辛いのは十分承知している。だが、君は決して一人じゃないよ。覚えておいてくれ、マモリ!」

観衆がどよめいている。マモリさんの料理が美味しいことは僕たちが一番知っている。今は難しくても、きっとまた前を向いて歩けるよね。そして料理だってまた作れるようになる。

「カルマ選手!!君はなんて子なんだ!
審査員たちが感激のあまり震えているぞー!」

「この勝負はカルマくんの勝ちだ。
彼のレシピのアレンジ力は素晴らしい」

「鉄人が認めたなら間違いない!
勝者は春川カルマー!!!君は本当にすごい子だ!!」

こうしてフェスティバル最終日が無事に終わったのだった。
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