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三章・具材ゴロゴロミートソーススパゲティ

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「さー!今日も大人気企画!!The・鉄人が始まりましたー!!」

僕は炎さんと一緒に舞台袖にいる。
そうだ、この企画そんな名前だったな。

「今日の鉄人はー!イタリア料理を知り尽くした料理人!ハムサムだー!」

「む…ハムサムか」

炎さんが呟いている。僕も彼の名前を知っていた。ハムサムさんもイタリア料理をメインに作る料理人だ。
マモリさんの好敵手でもある。相当な実力者だ。

「そしてこちらからはー!」

「頑張れよ、カルマ」

「ん」

炎さんに背中を叩いてもらった。なんだかパワーをもらったようで心強い。

「期待の新星!!春川カルマー!」 

僕がステージに上がると歓声が上がる。
だんだんこの雰囲気にも慣れてきて、周りを見渡すゆとりが出てきたな。
ハムサムさんが長い綺麗な金髪を後ろで結っている。その仕草もまたカッコよくて、黄色い歓声が上がっている。

お互い準備が整った。

「それでは本日のお題はイタリア料理です!!一体どんな料理を作るのか、注目ですね!
というわけで、フードバトル!スタート!!!」

僕は材料を棚から取った。イタリア料理と言えば、やっぱりトマトは欠かせない。
トマトを取ろうとしたら、ハムサムさんの手が先に伸びてきた。白い手だなぁ。指も細くて長い。

「カルマくん、マモリのことお礼を言います。でもこの勝負、勝たせて頂きますよ」

「僕も負ける気はありません!」

ハムサムさんが優雅に笑う。彼はピーマンや玉ねぎなんかを持っていった。僕も必要な野菜を取る。

自分の調理台で玉ねぎをみじん切りにした。挽肉と混ぜる。
よし、種が出来た。

「おぉっと、ハムサム選手が作っているのはピザ生地の様ですね!」

美味しいピザの生地を作るには相当な訓練が必要だ。今は業の伝達が昔より発展してきてるけど、本人の素質が必要なのは変わりない。基本的に料理にセンスは必須だ。

「一方カルマ選手は…えーと、肉団子?ですか?」

「はい。僕が作るメニューには欠かせないので!」

「これは楽しみだー!!」

この3日間、司会者さんがこうして場を繋げてくれるのに随分助けられている。
ただ料理をしているだけじゃ、こんなに面白くならないもんな。
僕はひたすら肉団子を作った。
不格好だけど、今の僕に出来る全力だ。
そう、僕は肉団子がたっぷりのミートソーススパゲティを作ろうとしている。

きっと美味しい。だって、ずっと大切にされてきたレシピを基にしてるんだから。

「おぉっと、ハムサム選手!ピザ生地を焼き窯に投入したー!一方で、カルマ選手の方はソース作りに突入したようだ!具材がゴロゴロしていて美味しそうです!」

楽しい。やっぱり料理ってすごく楽しい。
でも楽しいだけじゃ駄目だ。ちゃんとイメージしよう。僕の作っている料理の理想の姿を。

「カルマくん…楽しいですね」

「僕も!楽しいです」

ハムサムさんはピザの焼き上がりを待つ間、もう一品作るみたいだ。やっぱり鉄人と呼ばれる料理人はすごい。
でも大事なのは品数じゃない。
味だ。僕は負けない。
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