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二章・本格派スパイスカリー
行列
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次の日、僕は炎さんが作ってくれた朝ゴハンを当然のようにもりもり食べている。朝起きたらもういい匂いがして、僕はフラフラしながら食卓についたんだ。炎さんが鍋をふるいながらおはようって言ってくれた。嬉しい。ジュワァアってフライパンからいい音がしている。美味しそうな音だ。聞いているだけでお腹が空いてくる。
何を作っているのか聞いたら僕のお弁当らしい。申し訳ない。でも食べるのが楽しみだな。
僕はおかずをひょいひょい食べて途中に白米をガッとかきこんだ。炎さんもかなり腕のいい料理人だから、どの料理もとても美味しい。
脂の乗った焼き魚と炊きたてのツヤツヤの白米に、色とりどりのお漬物。具材がたっぷりの味噌汁も、もちろんある。
他にも肉じゃがや鶏の唐揚げまであって、一言で言えば「食事界の最強のメンツが揃った」って感じだ。朝からこんなに贅沢をしていいんだろうか。でもせっかく炎さんが作ってくれたんだし、食べなかったら食材だって悲しむよね。
僕はさっきからずっと一心不乱に食べている。唐揚げが大きいなぁ。齧り付くと甘い油が溢れてくる。
「わあ、唐揚げ美味いー」
「カルマは鶏肉好きだもんな」
「うん!お母さんが鶏肉はコスパ最強!って言ってたよ」
炎さんがそれに笑い出す。
「その通りだな。カルマ、今日も鉄人と勝負するんだろ?」
「う…うん。緊張するなあ」
「大丈夫じゃ」
ふわりと僕の肩に留まったのは姫君だった。
いつの間に外に出ていたんだろう?
「カルマや、お主は相当な緊張しいのようじゃな?だが、料理はなんのために作る?」
「え…えーと、人を喜ばせるため?」
「うむ。その通りじゃ。だが、それだけではないぞ」
「え?」
料理は人を喜ばせるために作るものだとずっと思っていた。でもそれだけじゃないの?
姫君はいつの間にか姿を消している。
僕はようやく満足してごちそうさまをした。
ふう、お腹いっぱい。
「カルマ、鉄人との対決は午後だったよな?
それまでフェスティバルを見て回ろうか。お前の緊張も解れるだろうし」
「ありがとう、炎さん」
お弁当を持って僕たちは出掛けた。今日もいい天気だ。風が吹いていて気持ちいい。
だんだんフェスティバルの屋台が見えてきた。ん?
「ありゃなんだ?」
炎さんも首を傾げている。一つの屋台からズラッと人が並んでいるのだ。その屋台からなんだかスパイシーないい匂いがする!この匂いは!僕は炎さんと顔を見合わせた。
「カレーだ!!」
いい匂いだなぁ。僕も一度くらい食べてみたいよ、本格的なスパイシーカレーを。
「カルマ、ちょっと待て」
行列に並ぼうとした僕の首根っこを、炎さんががしり、と掴んだ。
「どうしたの?」
「いや、確かこの店って…んー」
炎さんが考えている間に行列がどんどん前に進んでいく。僕は我慢しきれなくなって、炎さんの大きな手を握って引っ張った。
「炎さん、とりあえず食べてみよ?」
「あ、あぁ」
歯切れの悪い返事だったけど炎さんは付いてきてくれたのだった。
何を作っているのか聞いたら僕のお弁当らしい。申し訳ない。でも食べるのが楽しみだな。
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僕はさっきからずっと一心不乱に食べている。唐揚げが大きいなぁ。齧り付くと甘い油が溢れてくる。
「わあ、唐揚げ美味いー」
「カルマは鶏肉好きだもんな」
「うん!お母さんが鶏肉はコスパ最強!って言ってたよ」
炎さんがそれに笑い出す。
「その通りだな。カルマ、今日も鉄人と勝負するんだろ?」
「う…うん。緊張するなあ」
「大丈夫じゃ」
ふわりと僕の肩に留まったのは姫君だった。
いつの間に外に出ていたんだろう?
「カルマや、お主は相当な緊張しいのようじゃな?だが、料理はなんのために作る?」
「え…えーと、人を喜ばせるため?」
「うむ。その通りじゃ。だが、それだけではないぞ」
「え?」
料理は人を喜ばせるために作るものだとずっと思っていた。でもそれだけじゃないの?
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僕はようやく満足してごちそうさまをした。
ふう、お腹いっぱい。
「カルマ、鉄人との対決は午後だったよな?
それまでフェスティバルを見て回ろうか。お前の緊張も解れるだろうし」
「ありがとう、炎さん」
お弁当を持って僕たちは出掛けた。今日もいい天気だ。風が吹いていて気持ちいい。
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「どうしたの?」
「いや、確かこの店って…んー」
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