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一章・素朴チャーハン
チャーハンの作り方
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僕は材料と設備、調理器具を確認した。うん、大丈夫そう。
「さー、挑戦者は鉄人にどんな料理で挑んでくるのか!!」
「チャーハンでお願いします!」
さっき炎さんに作ってあげたように作れば良いんだ。なんだか緊張なんて、もうとうに通り過ぎてしまっている。もしかしたら今ならちゃんと出来るかもしれない。
僕は改めてご飯と生卵、塩コショウ、鶏ガラスープの粉末を用意した。
シンプルだけど、だからこそチャーハンは一番料理人の力量が分かる料理だ。
いかにお米をパラパラにできるかが勝負。
熱した鍋に油を注ぐ。そこに溶き卵を入れる。溶き卵が固まらないようにかき混ぜながら白米を投入。
チャーハンはとにかくスピードが命だ。
鍋を振りながら塩コショウ、鶏ガラスープの粉末を適量。
鍋をあおって調味料がまんべんなく行き渡るようにする。
皿にそれぞれ盛り付けて、審査委員をしている父さんたちの前に置いた。
鉄人は、チャーシューや色々な具材がゴロゴロ入った美味しそうなチャーハンを作っている。
そうだよな。初めから僕が鉄人に勝てるはずがないんだよな。
「ではいよいよ、試食の時間です!」
司会者さんが言って審査委員の人たちが食べ始めた。
「ん、このチャーハン懐かしい味だ」
「このチャーシュー美味しい!」
僕の料理をこうして食べてもらえて嬉しい。
もちろん鉄人の方が見た目のインパクトは強い。見るからに豪華で美味しそうだ。
「では票を上げてもらいましょう!!」
僕は急に怖くなった。足が震えてきてしまう。でもなんとか堪えた。
「鉄人が三票!挑戦者が四票!なんと挑戦者の勝利!ここに来て大番狂わせだー!」
僕は信じられなかった。だってこんな僕が鉄人に勝ったんだよ。
「カルマ!やったな!!」
炎さんがまた僕を抱き上げてくれる。
「お前のチャーハンは料理人の原点だ。
飾りなんてあとから付けたらいいんだよ」
ステージから現場に戻ると炎さんと一緒にスタッフさんから怒られた。そりゃそうだよね。仕事を急に投げ出したわけだし。
それから僕は音声と照明のチェックと操作をした。
でもなんだか自信が付いたような気がする。
僕もやればできるんだ。
✣✣✣
「美味しい!!」
お手伝いも無事に終わって、お昼休みになった。僕は母さんが作ってくれたお弁当を食べている。弁当箱にはいなり寿司がぎしっと詰まっていた。
他にも、炎さんが一緒に食べようと屋台で色々買ってくれた。嬉しい。
「カルマ、沢山食え」
「じゃあニラ饅頭頂きます!」
箸で大きいニラ饅頭を掴んで一口。
じゅわ、と中から肉汁が溢れてきた。うんまい。さすが食文化世界一の国に並ぶ屋台だ。レベルが高い。
「美味いか?カルマ」
僕は頷きながらもう一口頬張った。
炎さんが笑いながら僕の頭を撫でる。
「誰も盗ったりしないからゆっくり食え」
「だって美味しいから」
こきゅ、と水筒のお茶を飲んだらやっとホッとした。
「カルマの食いっぷりは見ていて気持ちいいな。
焼きそばもあるぞ」
焼きそばのパックに手を伸ばそうとしたら急に空から鳥が下りてきて、僕の肩に留まった。足には鋭い爪が生えている。僕はびっくりして鳥を見つめた。なんだろう、この鳥は。すごくカラフルだ。七色の翼。
「君は?」
鳥が光り輝き始める。そして僕の胸の中にすう、と吸い込まれるように入っていった。
なんだか体の中心が少し熱くなった気がする。
「今のはまさか…」
炎さんが思わずといったように立ち上がる。
「カルマ!!」
走ってきたのは父さんだった。
「さー、挑戦者は鉄人にどんな料理で挑んでくるのか!!」
「チャーハンでお願いします!」
さっき炎さんに作ってあげたように作れば良いんだ。なんだか緊張なんて、もうとうに通り過ぎてしまっている。もしかしたら今ならちゃんと出来るかもしれない。
僕は改めてご飯と生卵、塩コショウ、鶏ガラスープの粉末を用意した。
シンプルだけど、だからこそチャーハンは一番料理人の力量が分かる料理だ。
いかにお米をパラパラにできるかが勝負。
熱した鍋に油を注ぐ。そこに溶き卵を入れる。溶き卵が固まらないようにかき混ぜながら白米を投入。
チャーハンはとにかくスピードが命だ。
鍋を振りながら塩コショウ、鶏ガラスープの粉末を適量。
鍋をあおって調味料がまんべんなく行き渡るようにする。
皿にそれぞれ盛り付けて、審査委員をしている父さんたちの前に置いた。
鉄人は、チャーシューや色々な具材がゴロゴロ入った美味しそうなチャーハンを作っている。
そうだよな。初めから僕が鉄人に勝てるはずがないんだよな。
「ではいよいよ、試食の時間です!」
司会者さんが言って審査委員の人たちが食べ始めた。
「ん、このチャーハン懐かしい味だ」
「このチャーシュー美味しい!」
僕の料理をこうして食べてもらえて嬉しい。
もちろん鉄人の方が見た目のインパクトは強い。見るからに豪華で美味しそうだ。
「では票を上げてもらいましょう!!」
僕は急に怖くなった。足が震えてきてしまう。でもなんとか堪えた。
「鉄人が三票!挑戦者が四票!なんと挑戦者の勝利!ここに来て大番狂わせだー!」
僕は信じられなかった。だってこんな僕が鉄人に勝ったんだよ。
「カルマ!やったな!!」
炎さんがまた僕を抱き上げてくれる。
「お前のチャーハンは料理人の原点だ。
飾りなんてあとから付けたらいいんだよ」
ステージから現場に戻ると炎さんと一緒にスタッフさんから怒られた。そりゃそうだよね。仕事を急に投げ出したわけだし。
それから僕は音声と照明のチェックと操作をした。
でもなんだか自信が付いたような気がする。
僕もやればできるんだ。
✣✣✣
「美味しい!!」
お手伝いも無事に終わって、お昼休みになった。僕は母さんが作ってくれたお弁当を食べている。弁当箱にはいなり寿司がぎしっと詰まっていた。
他にも、炎さんが一緒に食べようと屋台で色々買ってくれた。嬉しい。
「カルマ、沢山食え」
「じゃあニラ饅頭頂きます!」
箸で大きいニラ饅頭を掴んで一口。
じゅわ、と中から肉汁が溢れてきた。うんまい。さすが食文化世界一の国に並ぶ屋台だ。レベルが高い。
「美味いか?カルマ」
僕は頷きながらもう一口頬張った。
炎さんが笑いながら僕の頭を撫でる。
「誰も盗ったりしないからゆっくり食え」
「だって美味しいから」
こきゅ、と水筒のお茶を飲んだらやっとホッとした。
「カルマの食いっぷりは見ていて気持ちいいな。
焼きそばもあるぞ」
焼きそばのパックに手を伸ばそうとしたら急に空から鳥が下りてきて、僕の肩に留まった。足には鋭い爪が生えている。僕はびっくりして鳥を見つめた。なんだろう、この鳥は。すごくカラフルだ。七色の翼。
「君は?」
鳥が光り輝き始める。そして僕の胸の中にすう、と吸い込まれるように入っていった。
なんだか体の中心が少し熱くなった気がする。
「今のはまさか…」
炎さんが思わずといったように立ち上がる。
「カルマ!!」
走ってきたのは父さんだった。
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