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第二話「サチの結婚式」

お迎え

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次の日の早朝。レイラはラウと共にトウマ、イヴの二人をアメリアの家に迎えに行った。

「れいらー!!!」

イヴがレイラに駆け寄って飛び付いてくる。

「イヴ?どうしたんだ?」

彼女は泣いていた。トウマも小走りでやってくる。

「イヴ、昨日からずっと泣いていて」

彼は困惑しているようだ。

「イヴ、昨日の夜、なかなか眠れなかったんだよ」

レイラはイヴを抱き上げた。
イヴがしがみついて来る。
こんなこと初めてで、レイラは心配になった。
イヴの頭を撫でながらレイラは優しく尋ねる。

「イヴ、どうしたんだ?」

「れいらが迎えに来てくれないって思った!わぁーん!!」

レイラは泣いている彼女を優しく抱きしめて言った。

「そんなことあるわけない。
イヴが俺達は大好きなんだから」

「うん」

お互い物理的に離れたことによって、いろいろ考える夜になった。
レイラは改めてイヴを抱き直した。

「レイラさん」

アメリアが駆け寄ってくる。
レイラは頭を下げた。

「姉さん…いいえ。イヴさんを不安にさせてしまったみたいでこめんなさい。
昨日迎えに来てもらえばよかったですよね」

レイラは首を振った。

「イヴなら大丈夫です、な?イヴ」

イヴの顔を覗き込むと、イヴが頷く。涙の痕は残っているが、もう泣いていなかった。レイラが来たことで安心したらしい。レイラはそれが嬉しかった。

「アメリアは悪くないよ」

イヴがはっきり言う。アメリアはにっこり笑った。

「レイラさん、これ」

アメリアが大きな紙袋を差し出してくる。
今、イヴはラウが抱っこしていた。
レイラがそれを受け取ると温かい。

「うちのパンです。良ければみなさんで召し上がってくださいね」

「こんなに沢山…ありがとうございます」

「イヴさん、また来てね。トウマくんも」

そう言って彼女は走って行ってしまった。

「らう、あたしアメリアを傷付けたかな」

イヴが心配そうに言う。
ラウがそんなイヴの頭を撫でる。

「イヴさん、あなたは優しいですね。そしてアメリアさんも」

「うん、アメリアは小さな頃から優しい子だったよ」

イヴが笑ってくれて、レイラ達はほっとした。

「イヴ、帰ったら朝ご飯食べような」

「うん!」

まだまだイヴについて、自分たちが知らないことは沢山ありそうだ。

(それでもイヴは俺達の大事な子だ)

レイラは当然、子供を産むことはできない。そこに幼いイヴが来てくれたことで、ラウやトウマと本当の家族のようになれた気がする。
だからこそ、イヴにはとても感謝している。

宿に戻ると、サチやカヤ、レイラの両親も揃っていた。
こんなに賑やかなのは久しぶりで、レイラは心が温かくなった。
明日はいよいよ、サチの結婚式だ。
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