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回想②
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その週の土曜日。俺の家族と瑠馬先生の家族が集まった。(乙先生も心配して駆け付けてくれた)
瑠馬先生は、あれからすぐに会の準備をしてくれたらしい。
行ってみると綺麗な会場だった。
そこで食事を楽しみながら皆で話すというのが主旨だった。
でも瑠馬先生はガチガチに緊張していて、それどころじゃなかった。
「あの、僕は伊藤瑠馬っていいます。今日はその…えーと」
「これから、拓哉を頼みます」
瑠馬先生が口ごもっている間に、俺の父さんがそう言って母さんと共に頭を下げた。
俺もそれには驚いた。
「拓哉からあなたの話はよく聞いています。あなたなら拓哉を大事にしてくれるでしょう」
「は、はい。大事にしましゅ」
瑠馬先生、思い切り噛んでるな。
俺は思わず笑ってしまった。
皆も笑い出す。
こんな感じで会は無事に終了した。
「あぁあ…ちゃんと言えなかったよ」
会の後、たまたま瑠馬先生とトイレで二人きりになった。瑠馬先生がジャブジャブ手を洗っている。
俺もその隣の洗面台で手を洗った。
「大丈夫ですよ。
父さんも母さんも分かったと思いますし」
「講演会ならちゃんと出来るのになー。
たっくんのご両親が優しくて良かったよー」
「瑠馬先生のご両親も優しかったですよ」
「それならよかったよ!」
この日、母さんが赤飯を炊いてくれていた。
ちょっと恥ずかしかったな。
先生の実家には後日行くことになった。
ーーー回想・終わりーー
「たっくん、そろそろ休憩にしよう」
旅行初日、俺達は早朝に出発している。
でも今は夏休み、しかももうすぐお盆だ。
生憎、帰省ラッシュに巻き込まれてしまった。
渋滞がしばらく続いて、ようやくサービスエリアに車を停めることが出来たのである。
「あぁ、コーヒーが体に沁み渡るよ」
コーヒーを飲みながら先生が言う。運転疲れるよな。
俺もココアを飲んでいた。
甘くて美味しい。
「少し、ここで休憩しましょうか」
「そうだね。レストランもあるようだし、早めのお昼にしようか」
時計を見るともう11時を回っている。
こうして瑠馬先生と一緒にいられることがすごく嬉しい。
そんなこんなで、G県に辿り着いたのは夕方過ぎだった。
瑠馬先生は、あれからすぐに会の準備をしてくれたらしい。
行ってみると綺麗な会場だった。
そこで食事を楽しみながら皆で話すというのが主旨だった。
でも瑠馬先生はガチガチに緊張していて、それどころじゃなかった。
「あの、僕は伊藤瑠馬っていいます。今日はその…えーと」
「これから、拓哉を頼みます」
瑠馬先生が口ごもっている間に、俺の父さんがそう言って母さんと共に頭を下げた。
俺もそれには驚いた。
「拓哉からあなたの話はよく聞いています。あなたなら拓哉を大事にしてくれるでしょう」
「は、はい。大事にしましゅ」
瑠馬先生、思い切り噛んでるな。
俺は思わず笑ってしまった。
皆も笑い出す。
こんな感じで会は無事に終了した。
「あぁあ…ちゃんと言えなかったよ」
会の後、たまたま瑠馬先生とトイレで二人きりになった。瑠馬先生がジャブジャブ手を洗っている。
俺もその隣の洗面台で手を洗った。
「大丈夫ですよ。
父さんも母さんも分かったと思いますし」
「講演会ならちゃんと出来るのになー。
たっくんのご両親が優しくて良かったよー」
「瑠馬先生のご両親も優しかったですよ」
「それならよかったよ!」
この日、母さんが赤飯を炊いてくれていた。
ちょっと恥ずかしかったな。
先生の実家には後日行くことになった。
ーーー回想・終わりーー
「たっくん、そろそろ休憩にしよう」
旅行初日、俺達は早朝に出発している。
でも今は夏休み、しかももうすぐお盆だ。
生憎、帰省ラッシュに巻き込まれてしまった。
渋滞がしばらく続いて、ようやくサービスエリアに車を停めることが出来たのである。
「あぁ、コーヒーが体に沁み渡るよ」
コーヒーを飲みながら先生が言う。運転疲れるよな。
俺もココアを飲んでいた。
甘くて美味しい。
「少し、ここで休憩しましょうか」
「そうだね。レストランもあるようだし、早めのお昼にしようか」
時計を見るともう11時を回っている。
こうして瑠馬先生と一緒にいられることがすごく嬉しい。
そんなこんなで、G県に辿り着いたのは夕方過ぎだった。
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