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何が起きていた?
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僕達はフォゼットの都心に戻ってきている。ここはフォゼットギルドの会議室だ。
目の前には国際警察の人たちが座っている。
そのうちの一人が口を開いた。
「で、何かわかったのかね?
場合によってはフォゼットの政府に制裁を加える必要がある」
やっぱりそんな大事になっちゃってるんだ。
ラッセさんが立ち上がって、リモコンを操作した。
巨大なモニターが天井から現れて照明が暗くなる。
モニターに映し出されたのは、檻の中にいた人との戦闘シーンだった。あの戦いは激しかった。見ていて恐ろしかった。っていうか録画していたんだな。
「言っておくが、こいつは元々は人間だ。
ロゼ・コーポレーションが作り出したウイルスによって体が変容してしまっている。その裏付けも出来ている。資料を見て欲しい」
「これじゃあ化物じゃないか」
警察の人達は驚きを隠せないようだ。
無理もないよな。
僕だって見ていなければ信じないと思う。
「ロゼ・コーポレーションに勤めていた人間はどうしてるんだ?」
核心を突いてくるな。
「ウイルスは研究所の内外で一気に広まったらしいからな。大体が爆薬でおじゃんだよ。
生き残りは探せばいるのかもしれないけど、手がかりが無さ過ぎる」
「フォゼットはロゼ・コーポレーションになにをさせるつもりだったんだ?」
ラッセさんは足を組み直して嘲笑った。
「上に聞いてみな。きっとろくでもないことを考えていたんだと思うぜ?」
「君はここのセキュリティを任されていると聞いた。ウイルスについて関与して無かったのかね?」
「俺は街の皆がスムーズに生活できるようにしていただけだ。
本当に何も知らなかった。俺はロゼ・コーポレーションがこの街にあることすら知らなかった。
そんな会社は認知していないと言うようにと言われていただけだからな」
ラッセさん、相当悔しいだろうな。
彼女はプライドを持って仕事をしているから特にだろう。
「君達の話は分かった。今回の件でフォゼットは我々の観察下に置かれる。
ラッセ、君達にも協力してもらう。
いいね?」
「当たり前だ。ここは俺達の国だ」
「頑張りますぅ!」
「そして、君達は今を持って解放する。尽力感謝する」
警察の人達にそう言われて、僕達はホッとした。ようやくスリシアに帰れるんだ!
✣✣✣
明日、僕達はスリシアに帰る。ホテルに泊まるのもこれが最後かぁ。
「あ…」
僕はあることに気が付いた。
キリトがこちらを見る。
「ムギ?どうした?」
「大変だよ、キリト!
病院の診察明日だもん」
「ちょっと待ってろ。診察時間遅くできないか聞いてくるから!」
キリトがバタバタと部屋を出て行った。
「ムギ…コール先生?」
ビャクヤがこちらを見上げてくる。
「そうだよ、明日会ったらいっぱいお話できるから」
「先生、ちゅーしゃするって。
ビャクヤが小さいって言ってた」
コール先生はもうビャクヤに注射のこと、言っていたのか。
ビャクヤは確かに小さい。
僕はビャクヤを膝の上に抱き上げた。
「注射怖くない?」
「怖いー。でもコール先生スキー」
「そっか」
その後、キリトが戻ってきて予約時間を夕方にずらしてもらったと言ってくれた。よかった。
早朝にここを出発することを決めて、僕達は早めにベッドに入った。
「ねえムギ、俺達って最初、どうやって出会ったんだっけ?」
それは転生前の記憶のことだろうか。
「愛斗は死のうとしていた僕を止めてくれたんだよ」
「え!そうだっけ?」
「うん。愛斗、その時すごく泣いてくれて僕は嬉しかったよ。愛斗がいたから僕は今ここにいる」
「それは俺も同じだよ」
愛斗はいつも僕を守ってくれるんだね。
「ありがとう、愛斗」
「ううん、むぎ。ずっと一緒にいような」
僕は目を閉じた。もう怖い夢に怯えなくていいんだね。
目の前には国際警察の人たちが座っている。
そのうちの一人が口を開いた。
「で、何かわかったのかね?
場合によってはフォゼットの政府に制裁を加える必要がある」
やっぱりそんな大事になっちゃってるんだ。
ラッセさんが立ち上がって、リモコンを操作した。
巨大なモニターが天井から現れて照明が暗くなる。
モニターに映し出されたのは、檻の中にいた人との戦闘シーンだった。あの戦いは激しかった。見ていて恐ろしかった。っていうか録画していたんだな。
「言っておくが、こいつは元々は人間だ。
ロゼ・コーポレーションが作り出したウイルスによって体が変容してしまっている。その裏付けも出来ている。資料を見て欲しい」
「これじゃあ化物じゃないか」
警察の人達は驚きを隠せないようだ。
無理もないよな。
僕だって見ていなければ信じないと思う。
「ロゼ・コーポレーションに勤めていた人間はどうしてるんだ?」
核心を突いてくるな。
「ウイルスは研究所の内外で一気に広まったらしいからな。大体が爆薬でおじゃんだよ。
生き残りは探せばいるのかもしれないけど、手がかりが無さ過ぎる」
「フォゼットはロゼ・コーポレーションになにをさせるつもりだったんだ?」
ラッセさんは足を組み直して嘲笑った。
「上に聞いてみな。きっとろくでもないことを考えていたんだと思うぜ?」
「君はここのセキュリティを任されていると聞いた。ウイルスについて関与して無かったのかね?」
「俺は街の皆がスムーズに生活できるようにしていただけだ。
本当に何も知らなかった。俺はロゼ・コーポレーションがこの街にあることすら知らなかった。
そんな会社は認知していないと言うようにと言われていただけだからな」
ラッセさん、相当悔しいだろうな。
彼女はプライドを持って仕事をしているから特にだろう。
「君達の話は分かった。今回の件でフォゼットは我々の観察下に置かれる。
ラッセ、君達にも協力してもらう。
いいね?」
「当たり前だ。ここは俺達の国だ」
「頑張りますぅ!」
「そして、君達は今を持って解放する。尽力感謝する」
警察の人達にそう言われて、僕達はホッとした。ようやくスリシアに帰れるんだ!
✣✣✣
明日、僕達はスリシアに帰る。ホテルに泊まるのもこれが最後かぁ。
「あ…」
僕はあることに気が付いた。
キリトがこちらを見る。
「ムギ?どうした?」
「大変だよ、キリト!
病院の診察明日だもん」
「ちょっと待ってろ。診察時間遅くできないか聞いてくるから!」
キリトがバタバタと部屋を出て行った。
「ムギ…コール先生?」
ビャクヤがこちらを見上げてくる。
「そうだよ、明日会ったらいっぱいお話できるから」
「先生、ちゅーしゃするって。
ビャクヤが小さいって言ってた」
コール先生はもうビャクヤに注射のこと、言っていたのか。
ビャクヤは確かに小さい。
僕はビャクヤを膝の上に抱き上げた。
「注射怖くない?」
「怖いー。でもコール先生スキー」
「そっか」
その後、キリトが戻ってきて予約時間を夕方にずらしてもらったと言ってくれた。よかった。
早朝にここを出発することを決めて、僕達は早めにベッドに入った。
「ねえムギ、俺達って最初、どうやって出会ったんだっけ?」
それは転生前の記憶のことだろうか。
「愛斗は死のうとしていた僕を止めてくれたんだよ」
「え!そうだっけ?」
「うん。愛斗、その時すごく泣いてくれて僕は嬉しかったよ。愛斗がいたから僕は今ここにいる」
「それは俺も同じだよ」
愛斗はいつも僕を守ってくれるんだね。
「ありがとう、愛斗」
「ううん、むぎ。ずっと一緒にいような」
僕は目を閉じた。もう怖い夢に怯えなくていいんだね。
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