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合流

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「あ!ラッちゃぁん!」

僕達は二階の踊り場で合流していた。
キリト達は何を見つけたんだろう。

「姉さん、どうだった?」

ラッセさんが紫の瞳でお姉さんを見つめる。

「うん。人間の遺体があったわー。
檻の中に閉じ込められていたみたいー」

ラッセさんのお姉さんが遺体の写真を見せてくれた。それはもう人間の形をしていない。
軽く吐き気を覚えて、口の中が酸っぱくなった。

「ひでえな、こりゃあ」

アカツキさんが呟く。

「俺達もここでロゼ・コーポレーションが人体実験をしていたんじゃないかっていうことは日誌で分かったんだが…」

ラッセさんが言って、俯く。

「ここでウイルスが作られていたっていう証拠がないんだね?」

キリトの言葉に僕達は頷いた。

「ここがロゼ・コーポレーションなのは間違いないんだ」

「まだ焦らなくても大丈夫だよ。上手く行く方法を探そう!」

さて、どうしたものか。
僕達は唸った。

「あ!キラキラー!!」

突然ビャクヤが天井を見て叫ぶ。僕達もそれにつられて上を見た。

そこには大きな、蜘蛛の巣が張っている。
太陽光が蜘蛛の巣を照らして光っている。
それにしても大きな蜘蛛だなぁ。
色もピンクと黒のしましまだ。

「あれは…」

ラッセさんが急に端末を蜘蛛に向けて翳した。

「ラッちゃあん、もしかしてあの蜘蛛ってぇ」

ラッセさんは一人不敵に笑った。

「ラッセ、俺達にも分かるようにちゃんと説明しろ」

アカツキさんが言う。

「あぁ。あの蜘蛛は例のウイルスが影響して生まれる変異個体らしい。
当時あの蜘蛛をこのあたりで見付けた研究者がやたら騒いでいたからよく覚えてるよ。

爆破があったのは一昨年の秋だ。
まだ生きていたんだな。
これは、ここでウイルスが作られていたっていう証拠になりそうだ。

まだ確定するには弱いけど…」

「でも何もないよりはマシだよね?
俺達、刑務所送りは絶対にやだよ?」

「あ!」

今度声を上げたのはラッセさんのお姉さんだった。

「私ったらぁ、うっかりしてましたぁ。先程見付けた遺体を解剖してみればいいんですよぅ。そうすれば間違いないじゃないですかぁ!」

「それだ!
ラッセちゃん、どう?」

キリトがラッセさんに尋ねる。

「あぁ。俺はさっき実験器具を調べて、薬品の痕跡を手に入れた。
その薬品とその遺体の死亡原因に因果関係があればいける」

「よっしゃ、それなら行くか」

アカツキさんも嬉しそうだ。これで皆でスリシアに帰れるのかな。

「遺体の解剖なら姉さんができるから安心してくれ」

「任せてくださぁい!」

僕達は階段を上がって、4階に向かった。キリトが言うには隠された部屋に檻があったという。遺体はその中にあったらしい。
実験に使われた挙げ句、亡くなってしまったその人は無念だったに違いない。

「あれ…?」

我先にと檻があったという部屋に向かったキリトが声を上げた。

「キリト?」

「い…遺体がない…」

「えぇえ!!!」

ズズゥンと建物が揺れる。なんだ?

「皆!建物から出よう!」

キリトの言葉に皆従った。


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