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結婚式
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「いつか、起きて!おはよう!」
早朝、眠っていたところにどすっと何かが乗っかってきた。
クーだ。結構重たい。
僕はまだ眠かったけど、それを許してくれるクーではないことは十分承知だ。
「クー?どうしたの?こんなに早く?」
布団をどけるとクーが大きな赤い目をきらきらさせながら言う。
「いつかのドレスができたんだよ」
「え?」
あのダンジョン騒ぎからもう四年が経過していた。
僕は16歳になっている。クーも9歳になった。
あれから世界中にダンジョンは現れて、いつのまにかダンジョンハンターという職業が流通するようになった。(今までも存在したが、オンライン上だけのものだった)
僕達も随分ダンジョンを破壊した。いろいろ調べてみたけれど、迷宮の歌姫の正体もわからずじまいである。
「早く起きてよ!いつか!」
「ん、わかった」
起き上がるとクーに腕を引っ張られる。
クーの身長はぐんと伸びて、僕の肩くらいになっている。
でもまだまだ甘えん坊でよく僕に抱き付いてくる。
「見て!いつか!」
クーに連れていかれたのは食堂だった。
そこには綺麗なドレスが置かれていた。
「わあ」
思わず声を上げると、クーが自慢そうに胸を張った。
「ね、すごいでしょ?」
「うん」
「逸花ちゃん、おはよう」
おばあちゃんが料理を運んできたのでそれを受け取った。
「おばあさま、このドレス」
「そうよ、逸花ちゃんの結婚式のドレスなの。おばあちゃんたち、一生懸命縫ったのよ」
「ありがとう」
そう、僕は結婚が決まっていた。
世界で見ると早い結婚だけど、泰では普通だ。
「おはよう、逸花」
そっとトキが声をかけてくれる。
「おはよう、トキ」
僕はこの人と、トキとようやく結婚する。
そう思うとすごく嬉しかった。
「いつか、らぶらぶだね」
クーが茶化すように言ってくる。
結婚式は三日後だ。国民のみんなもとても喜んでくれた。
結婚した後も僕は泰で暮らすことになっているから今と変わりはない。
これからもダンジョンの破壊をしつつ、詳しく調べていこうと思っている。
料理が次々と運ばれてくるので、それをテーブルに並べる。
「おはよう、逸花」
お父さんが眼鏡をはずしながらやってきた。
新聞を読んでいたんだろう。
「お父様、おはようございます」
「ちょっと調べてほしいんだけど」
「なんでしょうか?」
「泰じゃないんだ。ドラムのことだけど」
お父さんはちらりとトキを見て言う。
「最近、ドラムに出現するダンジョンがおかしいらしい。そこに行って帰ってきていない人がいるみたいだ」
それはただごとじゃない。
「俺もそれは気になっていました」
「そうだよね」
「とりあえずご飯にしましょうか」
おばあちゃんとお母さんもやってきた。みんなで手を合わせて食べ始める。
今日のご飯は卵や野菜のたっぷり入ったおかゆだった。
他にも、柔らかくなるまでじっくり煮た骨付きの鶏肉や、色とりどりのサラダなどがある。
今日もすごく美味しい。隣に座ったクーも美味しそうにおかゆを頬張っている。
「おばあちゃん!美味しい!おかわりしていい?」
クーがおかわりをお願いしている。
「もちろんよ」
「私も」
僕もお腹が空いている。
「はいはい」
それからお腹いっぱいご飯を食べたあと、僕達はお父さんの書斎にいた。
書斎の中も随分変わった。
古い資料はそのままだけど、薄型の端末に三台もモニターがくっついているような最新機器が置かれている。
お父さんが見せてくれたのは詳細な地図だった。
赤く丸で囲ってある。それは確かにドラムだった。
「ドラムの城のそばだ」
トキが呟く。
「そうなんだ、主要都市だから魔物がいるわけにはいかない。魔物を狩るためにこぞって凄腕のハンターが乗り込んだらしい」
「でもみんな帰ってこないんですね」
お父さんが頷く。
「結婚式が迫っているのに申し訳ない。でも君たちに行ってもらいたいんだ」
「わかりました」
僕達は頷いた。
「クーも行っていいでしょ?」
珍しく静かにしていたクーがぴょこぴょこ跳ねながら言う。
この四年でクーはドラゴンとしての力を確実に開花させていた。
「クーがいないと困るよ」
「本当?」
クーが目をキラキラさせる。ああもう。僕はクーの頭を撫でた。
「クーのこと置いていくわけないでしょ」
「うん!」
「逸花、準備できたら行こう」
「はい」
「わあ、海キレー!」
「逸花、よく掴まってろ」
「はい」
僕、トキ、クーの三人は飛行型バイクに乗っていた。
最近は移動手段もだいぶ発展している。
トキはドラムのお父様にお金をだいぶ前借して、このバイクを買ったらしい。
僕やクーもよくこれに乗せてもらっている。
「ドラムまでもうすぐだ」
トキがアクセルを踏み込むとすごいスピードでバイクが進む。
風が気持ちよかった。
「あ、ドラムだー!」
クーが叫ぶ。確かにドラムの大陸が見えている。
でも様子がおかしかった。なにか視界が歪んでいる感覚。
トキも同じことを思ったらしい。バイクの速度を緩める。
「逸花、調べられるか?」
「はい」
僕はスキル【反射鏡】を発動した。
反射鏡もいつの間にかレベルアップしている。
「防壁が国を覆っています」
トキはそうっとバイクをそばに近づけた。
そして防壁を叩く。
こんこんと固い音がする。
勢いのまま突っ込んでいたらただじゃすまないだろう。
周りには船の残骸が海に浮いていた。おそらくぶつかって大破したんだろう。
人の姿は見えないから救助されたのだと信じたい。
「開いている場所がないか調べよう」
「はい」
トキがバイクを国に沿って進める。ドラムを周るだけで夜になってしまう。
「ねえねえ、いつか?」
「なあに?クー?」
「これ壊せないの?」
「どうかな」
クーの力は強い。でもこの防壁が壊せるかはわからない。
「クー、まず様子を見る。もし入れそうになければお前に頼む」
「あいあいさー」
トキがこうして冷静に指示を出してくれて本当にありがたい。
それから僕達は一日をかけてドラムの防壁を調べた。
早朝、眠っていたところにどすっと何かが乗っかってきた。
クーだ。結構重たい。
僕はまだ眠かったけど、それを許してくれるクーではないことは十分承知だ。
「クー?どうしたの?こんなに早く?」
布団をどけるとクーが大きな赤い目をきらきらさせながら言う。
「いつかのドレスができたんだよ」
「え?」
あのダンジョン騒ぎからもう四年が経過していた。
僕は16歳になっている。クーも9歳になった。
あれから世界中にダンジョンは現れて、いつのまにかダンジョンハンターという職業が流通するようになった。(今までも存在したが、オンライン上だけのものだった)
僕達も随分ダンジョンを破壊した。いろいろ調べてみたけれど、迷宮の歌姫の正体もわからずじまいである。
「早く起きてよ!いつか!」
「ん、わかった」
起き上がるとクーに腕を引っ張られる。
クーの身長はぐんと伸びて、僕の肩くらいになっている。
でもまだまだ甘えん坊でよく僕に抱き付いてくる。
「見て!いつか!」
クーに連れていかれたのは食堂だった。
そこには綺麗なドレスが置かれていた。
「わあ」
思わず声を上げると、クーが自慢そうに胸を張った。
「ね、すごいでしょ?」
「うん」
「逸花ちゃん、おはよう」
おばあちゃんが料理を運んできたのでそれを受け取った。
「おばあさま、このドレス」
「そうよ、逸花ちゃんの結婚式のドレスなの。おばあちゃんたち、一生懸命縫ったのよ」
「ありがとう」
そう、僕は結婚が決まっていた。
世界で見ると早い結婚だけど、泰では普通だ。
「おはよう、逸花」
そっとトキが声をかけてくれる。
「おはよう、トキ」
僕はこの人と、トキとようやく結婚する。
そう思うとすごく嬉しかった。
「いつか、らぶらぶだね」
クーが茶化すように言ってくる。
結婚式は三日後だ。国民のみんなもとても喜んでくれた。
結婚した後も僕は泰で暮らすことになっているから今と変わりはない。
これからもダンジョンの破壊をしつつ、詳しく調べていこうと思っている。
料理が次々と運ばれてくるので、それをテーブルに並べる。
「おはよう、逸花」
お父さんが眼鏡をはずしながらやってきた。
新聞を読んでいたんだろう。
「お父様、おはようございます」
「ちょっと調べてほしいんだけど」
「なんでしょうか?」
「泰じゃないんだ。ドラムのことだけど」
お父さんはちらりとトキを見て言う。
「最近、ドラムに出現するダンジョンがおかしいらしい。そこに行って帰ってきていない人がいるみたいだ」
それはただごとじゃない。
「俺もそれは気になっていました」
「そうだよね」
「とりあえずご飯にしましょうか」
おばあちゃんとお母さんもやってきた。みんなで手を合わせて食べ始める。
今日のご飯は卵や野菜のたっぷり入ったおかゆだった。
他にも、柔らかくなるまでじっくり煮た骨付きの鶏肉や、色とりどりのサラダなどがある。
今日もすごく美味しい。隣に座ったクーも美味しそうにおかゆを頬張っている。
「おばあちゃん!美味しい!おかわりしていい?」
クーがおかわりをお願いしている。
「もちろんよ」
「私も」
僕もお腹が空いている。
「はいはい」
それからお腹いっぱいご飯を食べたあと、僕達はお父さんの書斎にいた。
書斎の中も随分変わった。
古い資料はそのままだけど、薄型の端末に三台もモニターがくっついているような最新機器が置かれている。
お父さんが見せてくれたのは詳細な地図だった。
赤く丸で囲ってある。それは確かにドラムだった。
「ドラムの城のそばだ」
トキが呟く。
「そうなんだ、主要都市だから魔物がいるわけにはいかない。魔物を狩るためにこぞって凄腕のハンターが乗り込んだらしい」
「でもみんな帰ってこないんですね」
お父さんが頷く。
「結婚式が迫っているのに申し訳ない。でも君たちに行ってもらいたいんだ」
「わかりました」
僕達は頷いた。
「クーも行っていいでしょ?」
珍しく静かにしていたクーがぴょこぴょこ跳ねながら言う。
この四年でクーはドラゴンとしての力を確実に開花させていた。
「クーがいないと困るよ」
「本当?」
クーが目をキラキラさせる。ああもう。僕はクーの頭を撫でた。
「クーのこと置いていくわけないでしょ」
「うん!」
「逸花、準備できたら行こう」
「はい」
「わあ、海キレー!」
「逸花、よく掴まってろ」
「はい」
僕、トキ、クーの三人は飛行型バイクに乗っていた。
最近は移動手段もだいぶ発展している。
トキはドラムのお父様にお金をだいぶ前借して、このバイクを買ったらしい。
僕やクーもよくこれに乗せてもらっている。
「ドラムまでもうすぐだ」
トキがアクセルを踏み込むとすごいスピードでバイクが進む。
風が気持ちよかった。
「あ、ドラムだー!」
クーが叫ぶ。確かにドラムの大陸が見えている。
でも様子がおかしかった。なにか視界が歪んでいる感覚。
トキも同じことを思ったらしい。バイクの速度を緩める。
「逸花、調べられるか?」
「はい」
僕はスキル【反射鏡】を発動した。
反射鏡もいつの間にかレベルアップしている。
「防壁が国を覆っています」
トキはそうっとバイクをそばに近づけた。
そして防壁を叩く。
こんこんと固い音がする。
勢いのまま突っ込んでいたらただじゃすまないだろう。
周りには船の残骸が海に浮いていた。おそらくぶつかって大破したんだろう。
人の姿は見えないから救助されたのだと信じたい。
「開いている場所がないか調べよう」
「はい」
トキがバイクを国に沿って進める。ドラムを周るだけで夜になってしまう。
「ねえねえ、いつか?」
「なあに?クー?」
「これ壊せないの?」
「どうかな」
クーの力は強い。でもこの防壁が壊せるかはわからない。
「クー、まず様子を見る。もし入れそうになければお前に頼む」
「あいあいさー」
トキがこうして冷静に指示を出してくれて本当にありがたい。
それから僕達は一日をかけてドラムの防壁を調べた。
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