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「しょ、ショーゴ、改めてだと恥ずかしいよね」

ルネが下着姿で俺の目の前にいる。準備という言葉が指すもの。それはルネを抱くための準備だった。いくらルネが、種を宿すことが出来る体とはいえ、いきなり性行為が出来るわけじゃないらしい。俺はすっかり緊張して、寒気すら感じていた。このままじゃ気絶して倒れそうだ。いや、ルネの方がもっと怖いだろう。俺がしっかりしなくてどうする。俺は正直に言って、どうすればいいのか分からなかった。

「ルネ、俺はどうすればいいの?」

ルネが下着を脱ぐ。ルネの性器が顕わになって、俺はドキッとした。ルネが四つん這いになる。そして指で後ろを示した。

「ここを解してほしいの」

「っ…」

本当にするんだ、とか、俺でいいのかとか頭の中でぐるぐる言葉が巡ったけれど、それは頭を振ってなんとか振り払った。俺はルネを愛している。だからしたいんだ。そっと触ってみたら柔らかくて指に吸い付く。そのまま中に誘い込まれるように指は奥へ入っていった。まるで指が食べられてるみたいだ。きゅっと指が中で締め付けられる。
ここからどうすりゃいいんだ?

「ん…ショーゴ…動かして広げて」

「ひ…広げるの?」

どうやるんだ?下手に触ったらルネを傷付けてしまいそうで怖い。

「んん、ゆ、び動か…して」

ルネは苦しそうだ。そりゃそうだろう、俺っていう異物を呑み込んでるんだし。俺はゆっくり指を動かした。大丈夫かな?痛くないんだろうか。爪は切ったけど。

「っあ…そう、続けて…っ」

ルネは真っ赤な顔で小さく悲鳴を上げている。やっぱり痛いのかな。俺は震える指で頑張って押し広げた。でも上手く行かない。やること15分。

「っは…も、やめる…」

ルネがぐったり前に倒れ込んだ。俺も自分の下半身が色々大変なことになっている。早く抜かないと苦しすぎる。

「ごめん!トイレ!!」

俺は慌ててトイレに駆け込んで処理した。ルネの感触が鮮明に残っていたせいか、達するのが早かった。こんなに早漏なのに子供なんて作れるのか?部屋に戻るとルネがうーうー呻いている。

「ルネ!大丈夫?」

「お尻あっつい…なんか変」

「俺のやり方が悪かったのかな?」

オロオロしながら聞いたらルネが笑った。

「大丈夫だって。初めてなんだからこんなもんでしょ」

ルネはいつもどっしり構えているよなぁ。見習いたい。

「ショーゴ、僕をオカズにしたのー?」

にやりとルネに笑われて、俺は慌てて視線を反らした。さっき抜いたのバレてる。しかもばっちりルネを思いながらした。

「正直に言いなよー」

「はい、申し訳ありません、ルネ姫様」

「良い。赦す!」

ルネはしばらく苦しいと呻いていたけれど、しばらくしたら良くなってきたらしい。寝息を立て始めた。子供を授かる準備って大変だな。俺も頑張らなくちゃ。

✢✢✢

次の日、ルネは腰が重たいと言っていた。やっぱり昨日の行為のせいだろう。ホテルの部屋の掃除を断ったり、ルームサービスを頼んだりしていたら、端末が鳴り響いた。俺はそれに毎回びっくりしてしまう。ルネはもう慣れたようだ。枕の上でうつ伏せになってまったり目を閉じている。

「ファイトマネーだよ、多分」

「あ…あぁ、そうか」

他に連絡をくれる人なんて俺にはいないしな。それにちょっと泣きそうになった。世知辛い。メッセージを読むと、今回は五百万振り込まれている。おいおい。

「あ、ショーゴ、そこの棚開けてみて」

「ここ?」

ルネが示したのはクローゼットだ。カラリと開けるとごろごろ麻袋が転がり落ちてくる。もちろん札束入りだ。

「えーと、ルネ姫。事情を伺いたいのですが」

「事情も何も賭博で勝ったお金だよー」

「こんなによく一人で運べたね?」

「僕はこう見えて龍姫だからねー」

どうやら魔法を使ったらしいな。にしても勝ち過ぎじゃないか?

「ねえ、どうやるとこうなるの?」

「んー、なるべく大穴に賭けてるだけ」

もしかして、龍姫の力なのか?だとしたら最古龍の祈りの力半端ない。もはやいかさまに近いんじゃ。

「ルネシア、ようやく準備を始めたのですか」

端末からルアナさんの呆れたような声が聞こえる。やっぱり俺たちの動向をチェックしているようだ。ようやくってことは、本当ならもっと早く準備を始めるべきだったのか。ルネも迷ったんだろうな。やっぱり怖かったんだ。そう思うと胸が締め付けられる。ルネはルアナさんの言葉に言い返さなかった。珍しいこともあるもんだ。

「ルネは頑張っていますよ」

「ショーゴ…」

俺に最古龍のことが分かるかと言えば何も分からないに等しい。でもルネはしっかり前に進んでいる。

「ショーゴさん、あなたの種、期待しています」

さりげなくプレッシャーをかけられたな。ぷつり、と端末が切れた。

「ショーゴ、姉さんがごめんね」

ルネが青い瞳を揺らめかせながら謝ってきた。

「いや、大丈夫だよ。最古龍も大変なんだろ」

「そんなのショーゴを巻き込む必要ないじゃん」

むう、とルネが頬をふくらませる。

「それは違うよ、ルネ。もう俺とルネは家族なんだから」

「あ…!」

ルネは初めて気が付いたようだ。俺はルネを抱き寄せた。ルネがしがみついてくる。キスするとルネが笑った。

「ふふ、僕って幸せだね」

俺だって幸せだ。

「よし、俺は次も勝つからな」

ルネにそう宣言したら笑って頷いた。
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