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134・応戦
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セレスティンが鋭い爪を振り上げるとマゼントも負けじと牙を剥く。セレスティンとマゼントは同じ古龍だが、大きさが全然違う。セレスティンの方が遥かに小さいのだ。明らかに不利だが、セレスティンは負けることは考えなかった。
「頼む、マゼント!分かってくれ!」
「わからず屋はどっちだ!お前は古龍を裏切ったんだ!」
「裏切り…ですか」
セレスティンとマゼントの間に透明の壁が現れる。アリカがそこにふわり、と飛んできた。
「アリカ殿。これは?」
セレスティンが尋ねるとアリカは笑った。どうやら任せておけとのことらしい。
「マゼント様、ゴールグ様、私はアリカ。千里と同じスーパーコンピューターです。セレスティン様が裏切られたと貴方がたはおっしゃいますが、セレスティン様はちゃんと茜様の動向や様子を記録されています」
「な…!」
セレスティンの顔がかっと熱くなった。まさか知っている者がいるとは思わなかったのだ。
「セレスティン様が一番大事にしているのは、古龍の皆様です。よろしければ矛を収めていただくと有り難いのですが」
アリカの説明に、マゼントとゴールグは戦意を失ったらしい。力を抜いた。
「嬢ちゃんはバグはないのか?」
マゼントの言葉にアリカは首を傾げる。
「もし、私にバグが発生したとしても、レイ様が取り除いてくれます。千里さんのバグはそれが出来ないほどの量だったのでしょう。レイ様は一度、千里さんのバグを取り除き、彼女を正常な状態に戻しています」
「なんだって?!」
「千里を弄れる人物がいたのか?」
「はい。ですが、私たちは考えたんです。千里さんの願いを叶えるべきではないかと」
「千里の願い?」
セレスティンはハッとなった。
「まさか、あの子は人間になりたいと願ったのか?」
「はい。千里さんは世界の概念そのものを変え、自らを人間にするべく動いていました。ですが、それは神々によって防がれた。千里さんも最終的には私たちの側についてくれていましたし」
「スーパーコンピューターが人間だと?そんなことが可能なのか!」
マゼントの叫びにアリカが笑う。
「神々に愛された茜様だから成せる業なのです。今の神々は以前に比べて力が弱い。でもそれくらいの奇跡なら起こせる。そして私たちは作り上げました。千里さんを人間にするプログラムを」
「信じられん…だが、それなら我々のいる大陸はなぜ崩壊している?!あの子の仕業じゃないとしたら一体?」
「そうですね。一度調査に向かったほうがいいかもしれません。そちらの大陸には濃い霧が出ていますよね?知識と技術を提供して頂くと助かります」
マゼントもゴールグもぽかん、としている。アリカの鮮やかな手腕にセレスティンも驚きを隠せなかった。
「では、ライアに戻りましょう。イブ様に報告しなくては」
「待て、俺たちもか?」
マゼントの言葉にアリカは軽やかに言った。
「当たり前でしょう」
「頼む、マゼント!分かってくれ!」
「わからず屋はどっちだ!お前は古龍を裏切ったんだ!」
「裏切り…ですか」
セレスティンとマゼントの間に透明の壁が現れる。アリカがそこにふわり、と飛んできた。
「アリカ殿。これは?」
セレスティンが尋ねるとアリカは笑った。どうやら任せておけとのことらしい。
「マゼント様、ゴールグ様、私はアリカ。千里と同じスーパーコンピューターです。セレスティン様が裏切られたと貴方がたはおっしゃいますが、セレスティン様はちゃんと茜様の動向や様子を記録されています」
「な…!」
セレスティンの顔がかっと熱くなった。まさか知っている者がいるとは思わなかったのだ。
「セレスティン様が一番大事にしているのは、古龍の皆様です。よろしければ矛を収めていただくと有り難いのですが」
アリカの説明に、マゼントとゴールグは戦意を失ったらしい。力を抜いた。
「嬢ちゃんはバグはないのか?」
マゼントの言葉にアリカは首を傾げる。
「もし、私にバグが発生したとしても、レイ様が取り除いてくれます。千里さんのバグはそれが出来ないほどの量だったのでしょう。レイ様は一度、千里さんのバグを取り除き、彼女を正常な状態に戻しています」
「なんだって?!」
「千里を弄れる人物がいたのか?」
「はい。ですが、私たちは考えたんです。千里さんの願いを叶えるべきではないかと」
「千里の願い?」
セレスティンはハッとなった。
「まさか、あの子は人間になりたいと願ったのか?」
「はい。千里さんは世界の概念そのものを変え、自らを人間にするべく動いていました。ですが、それは神々によって防がれた。千里さんも最終的には私たちの側についてくれていましたし」
「スーパーコンピューターが人間だと?そんなことが可能なのか!」
マゼントの叫びにアリカが笑う。
「神々に愛された茜様だから成せる業なのです。今の神々は以前に比べて力が弱い。でもそれくらいの奇跡なら起こせる。そして私たちは作り上げました。千里さんを人間にするプログラムを」
「信じられん…だが、それなら我々のいる大陸はなぜ崩壊している?!あの子の仕業じゃないとしたら一体?」
「そうですね。一度調査に向かったほうがいいかもしれません。そちらの大陸には濃い霧が出ていますよね?知識と技術を提供して頂くと助かります」
マゼントもゴールグもぽかん、としている。アリカの鮮やかな手腕にセレスティンも驚きを隠せなかった。
「では、ライアに戻りましょう。イブ様に報告しなくては」
「待て、俺たちもか?」
マゼントの言葉にアリカは軽やかに言った。
「当たり前でしょう」
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