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104・イブバースデー
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溜まっていた仕事を必死に片付けていたら、もう次の日の夜になっている。そういえば、最後に自分の誕生日を祝ってもらったのはいつだったっけ?と、茜はぼんやり思った。少なくともニート期間中はなかった。うむむ、と茜が腕を組んで考えていると、ノックする音が聞こえた。どうぞ、と言うとイブが入ってくる。
「茜、なにか困りごとか?」
イブに心配そうに顔を覗き込まれて、茜は違うよと首を横に振った。そして、思い出した。彼に渡す物があるのだ。
「あ、あのねイブ」
茜は自分でラッピングしたプレゼントをイブに差し出した。
「これ、プレゼント!」
「え…?」
イブがぽかんとしている。だがようやく理由が分かったらしい。ぽむ、と手を打った。
「そうか、今日俺の誕生日か、やたらおめでとうって言われるから何事かと思った」
「イブ…忙しかったんだね」
「ありがとうな、茜。開けてもいいか?」
「うん!ごめんね、ラッピングなんて初めてしたからさ、上手く出来なくて」
イブは丁寧に包みを解いた。
「お、財布か。これ、ベルベルトの…?」
「う、うん。イブと一緒に行った時に買ったんだよ」
「いつの間に…」
「ふふ、びっくりした?」
気が付くとイブに抱きしめられていた。茜がイブを見上げるとキスされる。
「茜、ありがとう、嬉しい」
そばで囁くように言われて茜も顔が熱くなった。
「うん、良かったよ、喜んでもらえて。あとね、ケーキもあるんだよ」
つい照れくさくなり誤魔化すようになってしまったが、茜はするりとイブの腕のなかから抜けて、小さなホールケーキを持ってきた。
「これ…」
「ダヌキさんに教えてもらいながら作ったんだよ」
イブがケーキを見て固まっている。
「イブ?もしかして気に入らなかったかな?」
イブがその場にしゃがみこむ。茜は慌てた。
「イブ、そんなに嫌だった?」
「…俺も茜と一緒にケーキ作りたかった。ダヌキずるい」
思っていたのと斜め上の答えに、茜も戸惑った。
「えと、それなら今度一緒にケーキ作る?」
「作る…とりあえず食うか」
「うん」
茜に言われてイブはすっかり元気を取り戻したらしい。皿を2枚とナイフを持ってきた。ケーキを綺麗に等分している。その正確さはさすが研究者を目指していただけのことはある。
「イブ、イチゴどうぞ」
茜が自分のイチゴをフォークに刺して差し出すと、イブはあ、と口を開けた。茜はその様子におかしくなりながらもイブの口にイチゴを入れてやる。
「ふふ、おっきい口だね」
「ふまい」
もむもむとイブがイチゴを咀嚼している。
「茜、作るなら今度はチョコレートケーキにしないか?」
「いいよ。もしかしてそっちが好きだった?」
いや、とイブが首を振る。
「茜が…チョコレート好きだって聞いたから」
「!」
茜はびっくりしてしまった。
「誰に聞いたの?」
「いや、スタッフがいつも茜からチョコレートを貰ってるって聞いて…その…俺にはないから」
「あ…」
茜はしまったと固まった。
「ごめんね。イブ。わざとじゃないんだよ?」
「分かってる。気にしてないから」
イブが本当は気にしていることに茜は勘付いていた。お互い不器用だなと笑いを堪える。
「それなら一緒にチョコレートケーキを作ろうね」
「あぁ」
「ね?イブ?」
茜はイブを呼んでいた。
「今日シてみる?」
「茜、なにか困りごとか?」
イブに心配そうに顔を覗き込まれて、茜は違うよと首を横に振った。そして、思い出した。彼に渡す物があるのだ。
「あ、あのねイブ」
茜は自分でラッピングしたプレゼントをイブに差し出した。
「これ、プレゼント!」
「え…?」
イブがぽかんとしている。だがようやく理由が分かったらしい。ぽむ、と手を打った。
「そうか、今日俺の誕生日か、やたらおめでとうって言われるから何事かと思った」
「イブ…忙しかったんだね」
「ありがとうな、茜。開けてもいいか?」
「うん!ごめんね、ラッピングなんて初めてしたからさ、上手く出来なくて」
イブは丁寧に包みを解いた。
「お、財布か。これ、ベルベルトの…?」
「う、うん。イブと一緒に行った時に買ったんだよ」
「いつの間に…」
「ふふ、びっくりした?」
気が付くとイブに抱きしめられていた。茜がイブを見上げるとキスされる。
「茜、ありがとう、嬉しい」
そばで囁くように言われて茜も顔が熱くなった。
「うん、良かったよ、喜んでもらえて。あとね、ケーキもあるんだよ」
つい照れくさくなり誤魔化すようになってしまったが、茜はするりとイブの腕のなかから抜けて、小さなホールケーキを持ってきた。
「これ…」
「ダヌキさんに教えてもらいながら作ったんだよ」
イブがケーキを見て固まっている。
「イブ?もしかして気に入らなかったかな?」
イブがその場にしゃがみこむ。茜は慌てた。
「イブ、そんなに嫌だった?」
「…俺も茜と一緒にケーキ作りたかった。ダヌキずるい」
思っていたのと斜め上の答えに、茜も戸惑った。
「えと、それなら今度一緒にケーキ作る?」
「作る…とりあえず食うか」
「うん」
茜に言われてイブはすっかり元気を取り戻したらしい。皿を2枚とナイフを持ってきた。ケーキを綺麗に等分している。その正確さはさすが研究者を目指していただけのことはある。
「イブ、イチゴどうぞ」
茜が自分のイチゴをフォークに刺して差し出すと、イブはあ、と口を開けた。茜はその様子におかしくなりながらもイブの口にイチゴを入れてやる。
「ふふ、おっきい口だね」
「ふまい」
もむもむとイブがイチゴを咀嚼している。
「茜、作るなら今度はチョコレートケーキにしないか?」
「いいよ。もしかしてそっちが好きだった?」
いや、とイブが首を振る。
「茜が…チョコレート好きだって聞いたから」
「!」
茜はびっくりしてしまった。
「誰に聞いたの?」
「いや、スタッフがいつも茜からチョコレートを貰ってるって聞いて…その…俺にはないから」
「あ…」
茜はしまったと固まった。
「ごめんね。イブ。わざとじゃないんだよ?」
「分かってる。気にしてないから」
イブが本当は気にしていることに茜は勘付いていた。お互い不器用だなと笑いを堪える。
「それなら一緒にチョコレートケーキを作ろうね」
「あぁ」
「ね?イブ?」
茜はイブを呼んでいた。
「今日シてみる?」
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