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98・先導者・茜
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「ルールは簡単。自分の守護神で相手の守護神を場外にすれば勝ち。妾は勿論、妾自身が守護神じゃ。茜、お前はどうする?」
茜は自分の前に現れた画面を見つめていた。そしてその中から一人決める。
「俺はこの子を選ぶよ。おいで、パネルマスター」
パネルマスターが唸りながらその場に現れる。見た目は戦士のようだが、操るのは剣ではなく、彼の目の前に浮かぶ6枚のパネルだ。そのパネルひとつひとつに効果が宿っている。
「ふむ。さすが茜。トリッキーなものを選びよる。さて、勝負を始めるぞ」
カウント3秒前、茜は目を閉じた。パネルマスターを感じる。これで茜はパネルマスターの特性を把握した。バトルが始まる。
「妾から行かせてもらう」
イビョンが持っているのは巨大な斧だ。当たればひとたまりもないことくらい茜にも分かる。茜はパネルマスターに指示を出す。
「斧は振りかぶらなきゃ攻撃できない。そこでバックステップ!」
「はぁっ!」
パネルマスターは一切無駄な動きをせずたんっと後ろへ跳んだ。
「ふむ、妾の一撃を避けるか。面白い。楽しませてもらおう!」
ぶんぶん、とイビョンが斧を振り回す。一方パネルマスターは逃げるのがやっとだ。
「ふふん、逃げるしか能がないのか?」
後ろに壁があり、パネルマスターはこれ以上後退できない。イビョンが余裕たっぷりに笑う。
「ふはは。今なら降参を赦してやっても良いぞ」
「まだ勝負は着いてない!」
「ほう、ならばとどめを指すのみ」
イビョンが斧を振りかぶった瞬間だった。茜が笑う。
「パネルマスター、壁を蹴って翔べ!」
「なに?!」
パネルマスターは間一髪の間合いで跳んだ。イビョンの射程から外れる。
「行くぞ、パンチ!」
「はぁっ!!」
華麗な右ストレートがイビョンの顎に入りイビョンは倒れた。
「な…妾が負けた?」
「イビョン様、俺の力になってくださいますか?」
茜はペンダントを取り出して、イビョンに差し出していた。
「うむ、そうだな。妾の完敗であった。健康な子を成せよ」
イビョンがペンダントに手を翳すと桃色の宝珠が現れた。
「まだ神々がいるのかな。とにかく奥へ行ってみよう」
茜は先程の分岐点まで戻り、左の道に入った。しばらく行くと、森へと繋がっている。中は暗く湿った空気が流れていた。
「うわぁ、何か出そうだな」
茜はキョロキョロしながら先に進んだ。向こう側に光が見える。そこでは巨大な蛙が一人何かを飲んでいた。
(うわ、お酒か!)
「おう、茜!ワシの酌をしてくれ!」
茜は渋々近寄り、蛙の持っていたおちょこに酒を注いだ。
「うんうん、可愛い子だな茜は」
さすさすと太ももを撫でられる。茜は驚いたが、なんとか堪えた。
「あの、あなたは?」
「ワシはドンゲコよ。大地の国、ツチを守護しておる神だ。さあ、ワシと勝負しろ!」
茜は自分の前に現れた画面を見つめていた。そしてその中から一人決める。
「俺はこの子を選ぶよ。おいで、パネルマスター」
パネルマスターが唸りながらその場に現れる。見た目は戦士のようだが、操るのは剣ではなく、彼の目の前に浮かぶ6枚のパネルだ。そのパネルひとつひとつに効果が宿っている。
「ふむ。さすが茜。トリッキーなものを選びよる。さて、勝負を始めるぞ」
カウント3秒前、茜は目を閉じた。パネルマスターを感じる。これで茜はパネルマスターの特性を把握した。バトルが始まる。
「妾から行かせてもらう」
イビョンが持っているのは巨大な斧だ。当たればひとたまりもないことくらい茜にも分かる。茜はパネルマスターに指示を出す。
「斧は振りかぶらなきゃ攻撃できない。そこでバックステップ!」
「はぁっ!」
パネルマスターは一切無駄な動きをせずたんっと後ろへ跳んだ。
「ふむ、妾の一撃を避けるか。面白い。楽しませてもらおう!」
ぶんぶん、とイビョンが斧を振り回す。一方パネルマスターは逃げるのがやっとだ。
「ふふん、逃げるしか能がないのか?」
後ろに壁があり、パネルマスターはこれ以上後退できない。イビョンが余裕たっぷりに笑う。
「ふはは。今なら降参を赦してやっても良いぞ」
「まだ勝負は着いてない!」
「ほう、ならばとどめを指すのみ」
イビョンが斧を振りかぶった瞬間だった。茜が笑う。
「パネルマスター、壁を蹴って翔べ!」
「なに?!」
パネルマスターは間一髪の間合いで跳んだ。イビョンの射程から外れる。
「行くぞ、パンチ!」
「はぁっ!!」
華麗な右ストレートがイビョンの顎に入りイビョンは倒れた。
「な…妾が負けた?」
「イビョン様、俺の力になってくださいますか?」
茜はペンダントを取り出して、イビョンに差し出していた。
「うむ、そうだな。妾の完敗であった。健康な子を成せよ」
イビョンがペンダントに手を翳すと桃色の宝珠が現れた。
「まだ神々がいるのかな。とにかく奥へ行ってみよう」
茜は先程の分岐点まで戻り、左の道に入った。しばらく行くと、森へと繋がっている。中は暗く湿った空気が流れていた。
「うわぁ、何か出そうだな」
茜はキョロキョロしながら先に進んだ。向こう側に光が見える。そこでは巨大な蛙が一人何かを飲んでいた。
(うわ、お酒か!)
「おう、茜!ワシの酌をしてくれ!」
茜は渋々近寄り、蛙の持っていたおちょこに酒を注いだ。
「うんうん、可愛い子だな茜は」
さすさすと太ももを撫でられる。茜は驚いたが、なんとか堪えた。
「あの、あなたは?」
「ワシはドンゲコよ。大地の国、ツチを守護しておる神だ。さあ、ワシと勝負しろ!」
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