優秀アルファは子供を授かりたい!〜異次元猫カフェで遊びませんか?〜

はやしかわともえ

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92・これから

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「二人共、お待たせ」

喫茶店に入ると入口近くの席にイブとレイが座っていた。茜と千里も席に収まる

「千里、来てくれたんだね?良ければ僕のメンテしたボディを使うかい?」

千里はレイをじっと見つめてぷいっとそっぽを向いた。

「嫌」

たった一言である。レイは気分を害した様子もなく笑っている。

「茜、何か飲むか?」

「うん、そうする。どうしようかなあ」

茜はメニューを見始めた。ふと、オレンジスカッシュに目が留まる。茜はテーブル脇に置いてあったタブレットでオーダーした。間もなくして注文したものが届く。イブがこう切り出した。

「で、これからどうする?」

それはここにいる皆が思っていたことだ。

「俺は千里と一緒にフリースクールの課題を作ろうと思う」

「ああ、そうだな。他の神々にも会った方が良い。千里はそれでいいのか?」

「もちろん」

イブが確認すると千里も頷いた。イブが千里にちゃんと確認してくれて茜は嬉しかった。

「僕は今現存しているスーパーコンピューターのアップデートを考えているよ。今回のことでスーパーコンピューターの弱点が洗い出せたからね」

それで、とレイが笑う。

「イブ、君にも手伝って欲しい」

イブは予想していたのか苦い顔をした。

「まあそうなるとは思っていた。スーパーコンピューターのアプデをすれば今よりもっと犯罪を減らせるしな」

イブの会社の基本理念は人、動物、環境に優しいことだ。もともと研究職に就こうとしていた彼である。それくらいは容易いらしい。

「で、アダムはどうなったんだい?」

「あいつは独居房にいるみたいだ。あれこれ余罪があるし、よくて無期懲役か」

「そうか」

レイが頷く。

「茜、あとでちゃんと話そう」

イブに真剣な表情で言われる。
そのための時間を取ってくれと遠巻きに言われたのを茜は察して頷いた。

***

喫茶店を出た茜とイブはそこで千里、レイと別れた。レイが今の千里の状態を確認したいと彼女に頼み込んだのだ。
はじめこそ嫌がった千里だったが、茜が人間の観察が出来るよと軽く唆したのだ。千里もそれならばと勇んで行った。

「茜、ホテルに戻ろうか」

イブに手首を掴まれて茜は頷いた。2人はホテルまでの道をゆったり歩いている。

「保護猫の施設はどうだったんだ?」

茜は先ほど見たものをイブに話した。寄付のお陰で新しい施設が作れたとスタッフがすごく喜んでいたことを思い出す。

「そうか、ちゃんと猫に還元する施設で良かった。これからも手助けはしないとな」

「そうだね」

寄付は継続して行うのが大事である。風化させてはいけない。ホテルに辿り着き、中に入ると外が寒かったことに気が付く。

「やっぱり室内は暖かいね」

「まあ風も入ってこないしな」

2人は自分たちの部屋に向かった。
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