92 / 168
92・これから
しおりを挟む
「二人共、お待たせ」
喫茶店に入ると入口近くの席にイブとレイが座っていた。茜と千里も席に収まる
「千里、来てくれたんだね?良ければ僕のメンテしたボディを使うかい?」
千里はレイをじっと見つめてぷいっとそっぽを向いた。
「嫌」
たった一言である。レイは気分を害した様子もなく笑っている。
「茜、何か飲むか?」
「うん、そうする。どうしようかなあ」
茜はメニューを見始めた。ふと、オレンジスカッシュに目が留まる。茜はテーブル脇に置いてあったタブレットでオーダーした。間もなくして注文したものが届く。イブがこう切り出した。
「で、これからどうする?」
それはここにいる皆が思っていたことだ。
「俺は千里と一緒にフリースクールの課題を作ろうと思う」
「ああ、そうだな。他の神々にも会った方が良い。千里はそれでいいのか?」
「もちろん」
イブが確認すると千里も頷いた。イブが千里にちゃんと確認してくれて茜は嬉しかった。
「僕は今現存しているスーパーコンピューターのアップデートを考えているよ。今回のことでスーパーコンピューターの弱点が洗い出せたからね」
それで、とレイが笑う。
「イブ、君にも手伝って欲しい」
イブは予想していたのか苦い顔をした。
「まあそうなるとは思っていた。スーパーコンピューターのアプデをすれば今よりもっと犯罪を減らせるしな」
イブの会社の基本理念は人、動物、環境に優しいことだ。もともと研究職に就こうとしていた彼である。それくらいは容易いらしい。
「で、アダムはどうなったんだい?」
「あいつは独居房にいるみたいだ。あれこれ余罪があるし、よくて無期懲役か」
「そうか」
レイが頷く。
「茜、あとでちゃんと話そう」
イブに真剣な表情で言われる。
そのための時間を取ってくれと遠巻きに言われたのを茜は察して頷いた。
***
喫茶店を出た茜とイブはそこで千里、レイと別れた。レイが今の千里の状態を確認したいと彼女に頼み込んだのだ。
はじめこそ嫌がった千里だったが、茜が人間の観察が出来るよと軽く唆したのだ。千里もそれならばと勇んで行った。
「茜、ホテルに戻ろうか」
イブに手首を掴まれて茜は頷いた。2人はホテルまでの道をゆったり歩いている。
「保護猫の施設はどうだったんだ?」
茜は先ほど見たものをイブに話した。寄付のお陰で新しい施設が作れたとスタッフがすごく喜んでいたことを思い出す。
「そうか、ちゃんと猫に還元する施設で良かった。これからも手助けはしないとな」
「そうだね」
寄付は継続して行うのが大事である。風化させてはいけない。ホテルに辿り着き、中に入ると外が寒かったことに気が付く。
「やっぱり室内は暖かいね」
「まあ風も入ってこないしな」
2人は自分たちの部屋に向かった。
喫茶店に入ると入口近くの席にイブとレイが座っていた。茜と千里も席に収まる
「千里、来てくれたんだね?良ければ僕のメンテしたボディを使うかい?」
千里はレイをじっと見つめてぷいっとそっぽを向いた。
「嫌」
たった一言である。レイは気分を害した様子もなく笑っている。
「茜、何か飲むか?」
「うん、そうする。どうしようかなあ」
茜はメニューを見始めた。ふと、オレンジスカッシュに目が留まる。茜はテーブル脇に置いてあったタブレットでオーダーした。間もなくして注文したものが届く。イブがこう切り出した。
「で、これからどうする?」
それはここにいる皆が思っていたことだ。
「俺は千里と一緒にフリースクールの課題を作ろうと思う」
「ああ、そうだな。他の神々にも会った方が良い。千里はそれでいいのか?」
「もちろん」
イブが確認すると千里も頷いた。イブが千里にちゃんと確認してくれて茜は嬉しかった。
「僕は今現存しているスーパーコンピューターのアップデートを考えているよ。今回のことでスーパーコンピューターの弱点が洗い出せたからね」
それで、とレイが笑う。
「イブ、君にも手伝って欲しい」
イブは予想していたのか苦い顔をした。
「まあそうなるとは思っていた。スーパーコンピューターのアプデをすれば今よりもっと犯罪を減らせるしな」
イブの会社の基本理念は人、動物、環境に優しいことだ。もともと研究職に就こうとしていた彼である。それくらいは容易いらしい。
「で、アダムはどうなったんだい?」
「あいつは独居房にいるみたいだ。あれこれ余罪があるし、よくて無期懲役か」
「そうか」
レイが頷く。
「茜、あとでちゃんと話そう」
イブに真剣な表情で言われる。
そのための時間を取ってくれと遠巻きに言われたのを茜は察して頷いた。
***
喫茶店を出た茜とイブはそこで千里、レイと別れた。レイが今の千里の状態を確認したいと彼女に頼み込んだのだ。
はじめこそ嫌がった千里だったが、茜が人間の観察が出来るよと軽く唆したのだ。千里もそれならばと勇んで行った。
「茜、ホテルに戻ろうか」
イブに手首を掴まれて茜は頷いた。2人はホテルまでの道をゆったり歩いている。
「保護猫の施設はどうだったんだ?」
茜は先ほど見たものをイブに話した。寄付のお陰で新しい施設が作れたとスタッフがすごく喜んでいたことを思い出す。
「そうか、ちゃんと猫に還元する施設で良かった。これからも手助けはしないとな」
「そうだね」
寄付は継続して行うのが大事である。風化させてはいけない。ホテルに辿り着き、中に入ると外が寒かったことに気が付く。
「やっぱり室内は暖かいね」
「まあ風も入ってこないしな」
2人は自分たちの部屋に向かった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
太陽を追いかける月のように
あらんすみし
BL
僕は、ある匿名SNSでフォロワーのFの死を知る。
僕がそのSNSを始めたとき、Fは職場の後輩との恋について幸せな投稿を綴っていて、僕はそれを楽しみに、羨ましく思っていた。
だが、そんな2人にも別れが訪れて、次第にFの投稿はたまに辛い心情を綴ったものばかりになる。
そして、その年の春の訪れと共にFの投稿は途絶えた。
日々の忙しなさに忙殺されていた僕が、Fの死を知ったのは夏も終わりに近づいたある日の別のフォロワーの投稿だった。
Fと親しくしていたそのフォロワーの報告で、Fのあとを追うように後輩君も亡くなったという。
2人に何が起きたのか、僕はその軌跡を辿ってみることにする。
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
ダンシング・オメガバース
のは
BL
異世界転移したけれど、僕の知ってるオメガバースとなんか違う!
なんだってこの島のイケメンたちは、僕にダンスを見せつけるんだ。
僕は先生に相談した。
先生は、右も左もわからぬ僕を拾って保護してくれた人で、僕の担当医のようなものである。
彼が言うには、この島のバース性は独自の進化を遂げていて、ダンスで互いを誘惑するらしい。
しかも検査を重ねるうちに僕のバースは徐々にオメガを示し始めた。
自分のバース性を受け入れられずにいる僕にも、とうとう発情期がやってくる。
こんなとき触れてほしいのは先生だ。だけど、先生は僕のフェロモンの影響を受けない。
このままつらい片思いがずっと続くんだと思っていた。
先生が、僕の前から突然姿を消すまでは。
※他サイトにも掲載しております。
輝くような素敵な表紙はまめさんが書いてくださいました!
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる