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82・歴史シミュレーター
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「んしょ」
今は早朝七時である。茜は起き上がり、伸びをしていた。ベッドは広く寝心地抜群である。
「おはよう、茜」
「きゅー」
「おはよう、九尾様、テラ様」
朝食はレストランでバイキングということで、茜は張り切っている。無料なのだが、元を取ろうという謎の気合いである。茜は寝巻きから着替えた。もちろんイブ指定の服装である。
「化粧もせい」
「はーい」
九尾には毎日こう促される。茜は化粧品の入ったポーチを取り出し、化粧をした。
「うむ、茜は今日も可愛いの」
「ありがとう、九尾様。じゃ、行ってきます」
茜はレストランに向かった。
「茜様!!良かった!」
「ダヌキさん?」
ダヌキが駆け寄ってくる。
「社長に言われて慌てて追いかけて来たんです。ご無事で良かった」
「わざわざ来てくれたの?ありがとう!」
「はい、本当ならこの船全域に警備隊を置きたいくらいですが」
「それはやり過ぎ…かな?とりあえず朝ご飯を食べに行かない?」
「お供いたします」
バイキングはありとあらゆるおかずが並んでいた。
「朝はやっぱり白米でしょー。パンも好きだけど」
「同感です」
朝食を堪能した茜である。その後は細々とした仕事をこなし、いよいよシミュレーターの予約時間になった。
「俺はここでお待ちしています」
「分かった。行ってきます!」
茜はワクワクしながら施設内に入った。体感型のアトラクションのようで、子供から大人まで楽しめるらしい。茜は椅子に座り、ごついゴーグルを嵌めた。いよいよ始まるのか、照明がゆっくりと明度を落としていく。
✢✢✢
ブーとブザーが鳴り、茜が座っていた席の安全バーが降りた。席がぐらりと揺れ、ふわりと上昇する。そんな中、ナレーションが流れ始める。
「この星、ガイヤは今より70億年程前に急激なビッグバンを受けて生まれました。ガイヤには豊かな水、そして生命が生まれるための条件が奇跡的に重なっていました」
目の前にガイヤと思われる惑星が浮かび上がって見える。地球によく似た惑星だ。茜はその惑星をじっと見つめた。大陸の一部があやふやなのだ。なんだろう、と茜は考えたが分かるはずもない。
「この星、ガイヤには9人の神々がいたと記録が残っています。彼らは絶大な魔力を持ち、人類や他の生物の進化を助けました。現在では動物の姿となり、広く言い伝えられています」
ナレーションは現在のガイヤの自然環境や社会の流れを説明してくれた。
「以上で今回のプログラムを終了致します」
座席が定位置に戻る。安全バーが上がった。茜が外に出るとダヌキが子供たちに囲まれている。
「お兄ちゃん、迷子なの?」
「呼んであげようか?アナウンスがあるんだよ」
「いや、迷子じゃないぞ。人を待っているんだ」
「それが迷子じゃん」
茜はそのやりとりを見ながらダヌキに近付いた。
「ダヌキさん、お待たせ」
「茜様!」
「お兄ちゃん、奥さんいたんだ!」
「美人ー!」
子供たちがわいわい騒いでいる。茜は屈んだ。
「ダヌキさんの心配してくれてありがとう」
茜が笑うと子供たちは照れくさそうにはにかむ。
「じゃあまたね!」
親が来たのか子供たちは走って行った。
「ダヌキさん、子供ウケめちゃくちゃいいね」
「たまたまですよ。俺はどちらかと言えば強面ですし」
「そうかなぁ?」
「そうなんですって!」
茜は笑った。その瞬間船が揺らぐ。
「わわ!」
「茜様!!」
ダヌキが茜を抱き留めてくれた。
「茜!前へ行くぞ!」
九尾が走ってくる。茜とダヌキは操舵室のある前方に急いだ。
今は早朝七時である。茜は起き上がり、伸びをしていた。ベッドは広く寝心地抜群である。
「おはよう、茜」
「きゅー」
「おはよう、九尾様、テラ様」
朝食はレストランでバイキングということで、茜は張り切っている。無料なのだが、元を取ろうという謎の気合いである。茜は寝巻きから着替えた。もちろんイブ指定の服装である。
「化粧もせい」
「はーい」
九尾には毎日こう促される。茜は化粧品の入ったポーチを取り出し、化粧をした。
「うむ、茜は今日も可愛いの」
「ありがとう、九尾様。じゃ、行ってきます」
茜はレストランに向かった。
「茜様!!良かった!」
「ダヌキさん?」
ダヌキが駆け寄ってくる。
「社長に言われて慌てて追いかけて来たんです。ご無事で良かった」
「わざわざ来てくれたの?ありがとう!」
「はい、本当ならこの船全域に警備隊を置きたいくらいですが」
「それはやり過ぎ…かな?とりあえず朝ご飯を食べに行かない?」
「お供いたします」
バイキングはありとあらゆるおかずが並んでいた。
「朝はやっぱり白米でしょー。パンも好きだけど」
「同感です」
朝食を堪能した茜である。その後は細々とした仕事をこなし、いよいよシミュレーターの予約時間になった。
「俺はここでお待ちしています」
「分かった。行ってきます!」
茜はワクワクしながら施設内に入った。体感型のアトラクションのようで、子供から大人まで楽しめるらしい。茜は椅子に座り、ごついゴーグルを嵌めた。いよいよ始まるのか、照明がゆっくりと明度を落としていく。
✢✢✢
ブーとブザーが鳴り、茜が座っていた席の安全バーが降りた。席がぐらりと揺れ、ふわりと上昇する。そんな中、ナレーションが流れ始める。
「この星、ガイヤは今より70億年程前に急激なビッグバンを受けて生まれました。ガイヤには豊かな水、そして生命が生まれるための条件が奇跡的に重なっていました」
目の前にガイヤと思われる惑星が浮かび上がって見える。地球によく似た惑星だ。茜はその惑星をじっと見つめた。大陸の一部があやふやなのだ。なんだろう、と茜は考えたが分かるはずもない。
「この星、ガイヤには9人の神々がいたと記録が残っています。彼らは絶大な魔力を持ち、人類や他の生物の進化を助けました。現在では動物の姿となり、広く言い伝えられています」
ナレーションは現在のガイヤの自然環境や社会の流れを説明してくれた。
「以上で今回のプログラムを終了致します」
座席が定位置に戻る。安全バーが上がった。茜が外に出るとダヌキが子供たちに囲まれている。
「お兄ちゃん、迷子なの?」
「呼んであげようか?アナウンスがあるんだよ」
「いや、迷子じゃないぞ。人を待っているんだ」
「それが迷子じゃん」
茜はそのやりとりを見ながらダヌキに近付いた。
「ダヌキさん、お待たせ」
「茜様!」
「お兄ちゃん、奥さんいたんだ!」
「美人ー!」
子供たちがわいわい騒いでいる。茜は屈んだ。
「ダヌキさんの心配してくれてありがとう」
茜が笑うと子供たちは照れくさそうにはにかむ。
「じゃあまたね!」
親が来たのか子供たちは走って行った。
「ダヌキさん、子供ウケめちゃくちゃいいね」
「たまたまですよ。俺はどちらかと言えば強面ですし」
「そうかなぁ?」
「そうなんですって!」
茜は笑った。その瞬間船が揺らぐ。
「わわ!」
「茜様!!」
ダヌキが茜を抱き留めてくれた。
「茜!前へ行くぞ!」
九尾が走ってくる。茜とダヌキは操舵室のある前方に急いだ。
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