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80・能力検定の結果
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猫カフェの襲撃からすでに3日が経過している。茜の腹もだんだん治ってきていた。
「茜様、もうお腹は痛くないですか?」
「うん、しばらく手伝えなくてごめんね。今日から仕事するから」
「無理はしないでくださいね」
「ありがとう」
(スタッフの皆って本当に優しいよね)
茜はずっと思っていた。イブの会社のスタッフは皆気持ちにゆとりがある。悪口や陰口も聞かないので、すごいなと感心したくらいだ。
「茜様、今日から猫ちゃんたちの写真が新しくなるんです!」
スタッフの一人が見本を持ってきてくれた。見てみると、みんな真っ白なふかふかした服を着ている。姫に至ってはこちらにお腹を見せていた。あまりの可愛さに茜は悶絶しそうになる。
「わぁ、可愛い!モフりたい」
「ですよね!新しく撮ってもらったんですよ。もちろん限定販売です」
「商売上手ー!」
「ふふ、茜様の知恵をお借りしました!」
今日も忙しくなりそうだ、と店の前の行列を見て茜は気合いを入れた。いよいよ開店時間になり、客が押し寄せる。やはり写真は売れに売れて、午前中に完売してしまった。
「あぁ、足りなかった…」
「仕方ないよ、早めに発注掛けるね」
「お願いします」
休憩時間、茜は自分のノートPCを開き、写真の発注をかけた。猫カフェのサイトに写真完売の御礼とお詫びを書くのも忘れない。
そこにメールが来た。URLを見ると、フリースクールからだ。入学の際のお知らせというタイトルだった。検定の結果も来ている。茜はそれを開いて見た。Eタイプと書かれている。
(マイペースだけど実は誰よりも努力家。こつこつ積むのが得意…ねえ)
まるで占いのようで面白いなと茜はそのページを閉じた。そして、お知らせの欄をマウスでクリックしてみる。そこにはレポートの書式設定のことや、必要な道具が書かれていた。
(わぁ、いよいよ俺も学生かぁ)
茜は世界地図をPC上に広げてみた。どこから周ろうかと思ったのだ。世界は思いの外広い。アーレやサスナも行った茜だが、まだまだ序の口だった。
「うむ、どこから参る?」
九尾が現れる。なんだか疲労を感じて茜は心配になった。この間の襲撃の時も出てこなかった。何かがあったのだと考えるほうが自然だ。
「九尾様?なにかあった?」
「うむ。我々の力を抑える何かをやつらは手に入れたようだ。悪神ギルドの仕業かもしれん」
「悪神…って?」
「うむ、神にも色々おるからな。神殺しの刀はそ奴を倒したものよ。利口なやつじゃ、きっと自分の都合のいいようにするに決まっている」
「敵がどんどん増えていってる」
「世界に不満を持つ者は一定数いる。それは仕方のないことじゃ。だが根源は断ち切らねば。茜よ、南東のベルベルトから周るのはどうじゃ?そこまでクルーズ船に乗れるうえ、飯も美味いと聞く。歴史もなかなかに面白いぞ。カリキュラムにはぴったりだ」
「うーん、じゃあそうしてみようかなぁ」
ひょこ、とテラが茜の手に前足を乗せてきた。
「テラ様、大丈夫だった?」
「きゅう」
よしよしと甲羅を撫でたらテラはにっこり笑った。
「茜様、もうお腹は痛くないですか?」
「うん、しばらく手伝えなくてごめんね。今日から仕事するから」
「無理はしないでくださいね」
「ありがとう」
(スタッフの皆って本当に優しいよね)
茜はずっと思っていた。イブの会社のスタッフは皆気持ちにゆとりがある。悪口や陰口も聞かないので、すごいなと感心したくらいだ。
「茜様、今日から猫ちゃんたちの写真が新しくなるんです!」
スタッフの一人が見本を持ってきてくれた。見てみると、みんな真っ白なふかふかした服を着ている。姫に至ってはこちらにお腹を見せていた。あまりの可愛さに茜は悶絶しそうになる。
「わぁ、可愛い!モフりたい」
「ですよね!新しく撮ってもらったんですよ。もちろん限定販売です」
「商売上手ー!」
「ふふ、茜様の知恵をお借りしました!」
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「あぁ、足りなかった…」
「仕方ないよ、早めに発注掛けるね」
「お願いします」
休憩時間、茜は自分のノートPCを開き、写真の発注をかけた。猫カフェのサイトに写真完売の御礼とお詫びを書くのも忘れない。
そこにメールが来た。URLを見ると、フリースクールからだ。入学の際のお知らせというタイトルだった。検定の結果も来ている。茜はそれを開いて見た。Eタイプと書かれている。
(マイペースだけど実は誰よりも努力家。こつこつ積むのが得意…ねえ)
まるで占いのようで面白いなと茜はそのページを閉じた。そして、お知らせの欄をマウスでクリックしてみる。そこにはレポートの書式設定のことや、必要な道具が書かれていた。
(わぁ、いよいよ俺も学生かぁ)
茜は世界地図をPC上に広げてみた。どこから周ろうかと思ったのだ。世界は思いの外広い。アーレやサスナも行った茜だが、まだまだ序の口だった。
「うむ、どこから参る?」
九尾が現れる。なんだか疲労を感じて茜は心配になった。この間の襲撃の時も出てこなかった。何かがあったのだと考えるほうが自然だ。
「九尾様?なにかあった?」
「うむ。我々の力を抑える何かをやつらは手に入れたようだ。悪神ギルドの仕業かもしれん」
「悪神…って?」
「うむ、神にも色々おるからな。神殺しの刀はそ奴を倒したものよ。利口なやつじゃ、きっと自分の都合のいいようにするに決まっている」
「敵がどんどん増えていってる」
「世界に不満を持つ者は一定数いる。それは仕方のないことじゃ。だが根源は断ち切らねば。茜よ、南東のベルベルトから周るのはどうじゃ?そこまでクルーズ船に乗れるうえ、飯も美味いと聞く。歴史もなかなかに面白いぞ。カリキュラムにはぴったりだ」
「うーん、じゃあそうしてみようかなぁ」
ひょこ、とテラが茜の手に前足を乗せてきた。
「テラ様、大丈夫だった?」
「きゅう」
よしよしと甲羅を撫でたらテラはにっこり笑った。
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