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74・レイ
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茜たちはホテルに戻ってきている。チェイカも茜たちと一緒に夕飯を食べると言って付いてきたのだ。ホテルに着いたのはまだ夕方だったが、既に日が暮れていた。夕飯を食べるには少し早いということでラウンジに落ち着いた。
「へぇ、茜のPC可愛い」
茜のノートPCは淡いピンクだ。イブが仕事をするためにと贈ってくれたものである。性能は言わずもがな、アリカと連携して最大値まで上がっている。今日、アレクサンダーとも繋がったので、どうなることかと茜はドキドキしていたが、アレクサンダーは今のところ、表立っては出て来ていない。
「ねえ、チェイカ様?アレクサンダーさんは何が得意なスーパーコンピュータなの?」
「んー、ウイルス撃退とか作成とかかな?アーレの監視カメラは全部アレクサンダーが支配しているけどね」
「え…すごい」
「でも簡単な変装に気付かないってことは僕も知らなかったよ。きっとアレクサンダーの性能ももっと上げられるよね。アレクサンダーも落ち込んでるみたいだった」
機械に感情があるのだろうか、と茜は思ったが、アリカやカリア、そして千里のことを思い出す。少なくとも彼女たちには感情があるように思えた。それが自分の心という主観の押し付けであったとしてもだ。
「アレクサンダーさんは何も悪くないよ。悪さを働こうとすることがもう悪いんだから」
チェイカがパッと笑顔になる。
「茜、ありがとう。僕はただただ怖いって思ったんだ。あんなに簡単に他人に悪意を向けられるものなんだって」
「チェイカ、この世の中そんなんばっかりだぞ」
イブが厳しく言い聞かせるように言う。
「でも僕、初めてだったんだ。本気で相手を殺すつもりで戦ったのが」
「チェイカ様」
チェイカの幼い綺麗な心に歪が生じたかもしれないと茜は暗い気持ちになった。
「怖かった。手を抜いたら僕が死んじゃうかもしれないし、僕が相手を殺しちゃうかもしれない。今回はテラ様が無事だったからよかったけれど」
「チェイカ、これからはそれの連続だ。国を背負うのは傷付くことだぞ」
チェイカはそうだねと悲しそうに笑った。
「僕、勘違いしてた。王様はただ偉いだけなんだって。でも父上は毎日必死に踏ん張っているんだって」
茜はチェイカを抱き締めていた。
「茜、ごめんね。泣かないで」
気が付くとつ、と頬を涙が流れていた。チェイカの細いが筋肉質の体が服越しに分かる。
「チェイカ様、俺には甘えていいからね」
「茜」
ぎゅ、とチェイカに抱きしめ返される。二人はしばらくそうしていた。
「ふふ、茜がいてくれたら僕大丈夫な気がする」
チェイカの大きな目元にも涙が溜まっている。茜はそっとそれを指で拭った。
「で、レイのことを茜に話しとかないとな」
イブが長い足を組み直す。
ここからが本題だ。
「へぇ、茜のPC可愛い」
茜のノートPCは淡いピンクだ。イブが仕事をするためにと贈ってくれたものである。性能は言わずもがな、アリカと連携して最大値まで上がっている。今日、アレクサンダーとも繋がったので、どうなることかと茜はドキドキしていたが、アレクサンダーは今のところ、表立っては出て来ていない。
「ねえ、チェイカ様?アレクサンダーさんは何が得意なスーパーコンピュータなの?」
「んー、ウイルス撃退とか作成とかかな?アーレの監視カメラは全部アレクサンダーが支配しているけどね」
「え…すごい」
「でも簡単な変装に気付かないってことは僕も知らなかったよ。きっとアレクサンダーの性能ももっと上げられるよね。アレクサンダーも落ち込んでるみたいだった」
機械に感情があるのだろうか、と茜は思ったが、アリカやカリア、そして千里のことを思い出す。少なくとも彼女たちには感情があるように思えた。それが自分の心という主観の押し付けであったとしてもだ。
「アレクサンダーさんは何も悪くないよ。悪さを働こうとすることがもう悪いんだから」
チェイカがパッと笑顔になる。
「茜、ありがとう。僕はただただ怖いって思ったんだ。あんなに簡単に他人に悪意を向けられるものなんだって」
「チェイカ、この世の中そんなんばっかりだぞ」
イブが厳しく言い聞かせるように言う。
「でも僕、初めてだったんだ。本気で相手を殺すつもりで戦ったのが」
「チェイカ様」
チェイカの幼い綺麗な心に歪が生じたかもしれないと茜は暗い気持ちになった。
「怖かった。手を抜いたら僕が死んじゃうかもしれないし、僕が相手を殺しちゃうかもしれない。今回はテラ様が無事だったからよかったけれど」
「チェイカ、これからはそれの連続だ。国を背負うのは傷付くことだぞ」
チェイカはそうだねと悲しそうに笑った。
「僕、勘違いしてた。王様はただ偉いだけなんだって。でも父上は毎日必死に踏ん張っているんだって」
茜はチェイカを抱き締めていた。
「茜、ごめんね。泣かないで」
気が付くとつ、と頬を涙が流れていた。チェイカの細いが筋肉質の体が服越しに分かる。
「チェイカ様、俺には甘えていいからね」
「茜」
ぎゅ、とチェイカに抱きしめ返される。二人はしばらくそうしていた。
「ふふ、茜がいてくれたら僕大丈夫な気がする」
チェイカの大きな目元にも涙が溜まっている。茜はそっとそれを指で拭った。
「で、レイのことを茜に話しとかないとな」
イブが長い足を組み直す。
ここからが本題だ。
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