優秀アルファは子供を授かりたい!〜異次元猫カフェで遊びませんか?〜

はやしかわともえ

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72・アーレ城

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「茜、来てくれたのか」

次の日の昼、茜は空港でイブを待っていた。

「素敵な旦那様をお迎えしたいと思うのは普通じゃない?」

「茜は可愛いな」

よしよしと頭を撫でられ、茜は笑った。

「腹減らないか?機内食全然足りなくてよ」

「うん、そうだろうと思ってた」

2人は空港内の適当な店に入った。メニューにデカデカとつけ麺と書かれている。

「つけ麺か。最近流行ってるよな」

確かにライアでもラーメン屋がつけ麺を提供してるのをよく見かける。

「普通のラーメンもあるな」

結局、イブはつけ麺の大盛り、茜は店自慢と謳われている醤油ラーメンを頼んだ。もちろんそれだけで2人が満足するはずもなく、餃子とチャーハンも頼む。

「なるほど、テラが…」

茜は昨日起こったことをイブに順を追って話した。テラとなった後継の亀は九尾と共にいる。茜は首から掛けていた白い円形のペンダントを取り出した。いつの間にか緑色の石が嵌っていたのだ。イブがペンダントを示す。

「それ、不思議だよな」

「うん」

店員が注文した商品を持ってきてくれたので、2人は食べ始めた。

「これからホテルに荷物を置いたら、アーレ城に行こう。チェイカがお前に会うってうるさくてな」

「チェイカ様、大丈夫だったかな」

「あぁ、大丈夫だ。あいつは意外と頑丈だし」

「よかった」

✢✢✢

「あれがアーレ城?」

「あぁ。城のテンプレみたいだろ」

2人はタクシーに乗り、城下町の前まで来ている。ここからは込み入っており、とても車では行けないと言われてしまったのだ。

代金を払い、2人は町中に入った。町には洒落た店が並んでいる。城と町のアンバランスさに、まるでテーマパークに来たみたいだと茜は思っていた。城下町は広い。そして入り組んでいた。人も大勢歩いている。イブと茜はいつの間にか手を繋いでいた。

「毎回思うけど、遠いんだよなぁ」

「イブは何度も来てるんだね」

茜が思わず笑うと、イブが息を吐く。

「いや、俺の親父がここの王と知り合いなんだ。だから俺が小さい時から連れてこられてたんだよ」

「へえ、イブの家ってすごいよね」

「途中から完全にチェイカの子守になったけどな」

ふぅ、とイブが溜息を吐いている。何かと苦労してきているらしい。

「じゃあイブは子守に関してはプロなんだね」

「任せろ」

坂を登っていくと城の門が見えた。2人が近付くと衛兵が駆け寄ってくる。

「イブ様!よくぞおいでに!」

「殿下がお待ちです!ささ、こちらに」

衛兵に案内された2人は城に入った。
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