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65・神殺しの刀

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「茜様!!」

茜がのんびり朝食を摂っていると、ダヌキがすごい勢いで部屋に飛び込んできた。

「あ、おはようございます。ダヌキさん」

「おはようございます!ではなくて!」

なんだか既視感のあるやりとりだなぁと茜は思いながら、ライ麦の入ったパンに齧りついた。ダヌキがなんとか呼吸を整えて口を開く。

「サスナの国宝が盗まれてしまったんです!」

「サスナの国宝…って?」

「悪神を討ち取ったというサスナ最強の刀です。監視カメラも壊されて、痕跡も全く残されていないようで」

ダヌキがぎり、っと歯を食いしばる。

「あれは平和の象徴なのに…」

「ダヌキさん」

茜は静かにダヌキを呼んだ。ダヌキがこちらを見つめてくる。

「防犯カメラのデータは残ってる?」

「は、壊される直前まではなんとか。茜様、それをどうされるんですか?」

茜は立ち上がりノートPCを開いた。アリカと連携したことで、スペックが随分上がったのだ。
アリカにメールを送ると数分も経たないうちに返信がくる。防犯カメラのデータを送ってもらったのだ。茜は動画アプリでそれを見始めた。ダヌキも後ろから覗き込んでくる。

「刀が盗まれたのは、深夜2時過ぎかぁ」

茜はカメラに映し出された時間を見て呟いた。別のタブを開き、サスナの国宝と検索窓に打ち込む。すると画像データがヒットした。サスナの公式サイトを開き、どんな刀剣か確認する。

「わ、長いね」

「はい。細身ですが太刀になりますから。この刀剣には九尾様の加護がかかっているすごく大事な宝なのです」

「刀剣はどこかに飾ってあるの?」

「いえ、今は倉庫にしまってあったかと。祭中は飾られていましたが」

茜は配置されているあらゆる監視カメラの動画データを開き、確認した。

「この映像がもう怪しいんだよなぁ」

「え?どうゆうことですか?アリカは何も言っていませんでしたが…」

「アリカさんだから騙されちゃったのかも」

茜は動画データを解析するソフトを開いた。これも茜が自分で作ったものである。簡易的なものだが、なんでも使いようだ。

「やっぱり…見て」

茜の言葉に、ダヌキが画面を覗き込む。彼は息を呑んだ。そこには何者かが監視カメラを壊す様が映っていた。その人物は、黒いマスクを被り正体は分からない。

「さっきと同じデータですよね?」

「上から画像を上塗りされていたみたい。アリカさんは高性能だから、こんな子供騙しのやり口に気付かなかったんだ」

「人間は本当にずるいですね」

ぐぐ、とダヌキが拳を握る。

「この人物、アダムですか?」

「ううん、違うと思う。こんなに体格良くなかった」

「まさか、奴らに協力者がいると?」

ダヌキが叫ぶ。

「うん、そういうことだよね」

茜は動画をさらに解析してみた。
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