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56・神々とカリア

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午後、ようやく茜の体力も回復してきた。アリカは自分のネットワークを通じ、サアヤに連絡してくれたようだ。

「サアヤ様よりカリアの使用を許可されました」

「え、本当?いいの?」

アリカがにっこり笑って頷く。

「チップの中身が中身でしたから当然かと」

「でもただの神様の一覧表に見えたけど」

茜の言葉にアリカは首を振った。

「はい、パッと見では一覧表です。ですがあれは…」

アリカはにっこり笑った。こうしていると普通の少女にしか見えない。茜は恐る恐る尋ねる。

「あれは…一体、なんなの?」

「神の純粋な戦闘値を叩き出したものです」

「それって…」

アリカは頷いてみせた。

「はい、あのデータは神と戦闘することを想定したものです」

「神と戦闘?!」

アリカが続ける。

「さすが千里さんです。神々が当たり前にいた世界のデータを完璧に想定されています。だからこそ戦闘をしようという思考になったのでしょうが。そしてイブ様のお兄様、アダム様のことも気になりますね」

茜の頭の中はもうパニックだ。

「待って、神々が当たり前にいた世界ってなに?どういうことなの?」

「知らなくても無理はありません。茜様は異次元より転生されてきたわけですし」

ダヌキの言葉から、どうやら知らないのは自分だけのようだと茜は悟る。

「あの、良ければ俺に詳しく教えてくれる?」

二人が頷いた。

「この世界には今から約100万年以上前に、神々が存在していたのではないかと推測されています」

「神々が残した絵や文字がありますしね」

アリカがうーん、と可愛らしく首を傾げた。

「ただ、神々というと誤解されがちですが、彼らは人間とほぼ同じものになります」

「え、じゃあ人間なの?」

アリカ、ダヌキがそれぞれ頷く。

「先人の魔力保有量は今の人類の約百倍だそうです。だからなにもない世界で暮らしていけたんでしょう」

「それが私たちが彼らを神々と呼ぶ所以です」

「なるほど」

茜は頑張って頭のノートにメモを取っている。
では、そろそろとアリカが立ち上がった。茜たちを先導してくれるつもりのようだ。

「参りましょう。カリアの元へ」

「本当に会えるんだね」

アリカが笑う。

「どうやらカリアは照れているようです」

どんな人なのだろうと茜も楽しみになってきた。
アリカに付いていくとエレベーターがある。それに乗り込むと、ぐんぐん地下へ向かっていった。
そして扉が開く。
目の前には巨大な機械が置かれていた。アリカが手で示して見せる。

「これがカリアです」

茜はただただカリアを見上げたのだった。
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