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50・帰宅

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家に帰ってきた茜は心の底からホッとしていた。姫はすぐさまドクターに診てもらったが、特に異状はないようだ。彼女に餌をやるとガツガツ食べている。茜は屈んで姫の背中を優しく撫でながら話し掛けた。

「姫、美味しい?」

「みゃー」

どうやら美味しいらしい。茜はよしよしと姫の頭を撫でた。やはりもふもふは癒される。そこにイブがやって来る。

「茜、姫は大丈夫か?」

茜は立ち上がった。

「うん、元気だよ」

「このチップの解析、頼めるか?」

茜はイブからICチップを受け取り丹念に眺めた。

「随分古い型だね」

「無理そうか?」

「ううん、多分出来る。あのね、イブ」

茜は泣きそうだった。自分のせいで姫を巻き込んでしまったとずっと自分を責めていた。

「俺…姫に…」

気が付くと、イブの腕の中にいた。

「茜のせいじゃない。お前は何も悪くない」

「イブ。でも俺に原因があるんでしょう?」

「…確か、あいつら、神がどうのとか言ってたな」

「…!」

茜はこの前に会った神のことを思い出していた。
あの神なら何か事情を知っているかもしれない。自分を保護したとあの時も言っていた。

「イブ、俺、もう一度サスナに行きたい」

「それならサアヤの用事も済ませられるな」

「あ…プロジェクトだっけ?」

すっかり忘れていた茜である。

「それなら、ダヌキを呼ぼう。猫カフェもだんだん軌道に乗ってきたしな。通販サイトも公式のホームページと連携してるから、かなりグッズが売れてるらしい」

「わぁ、良かった」

じっとイブに見つめられて、茜は彼を見つめ返した。

「茜は笑っていた方がいいぞ。可愛いんだから」

照れくさくなって顔に熱がたまる。

「そ、そんなの…」

「茜は可愛いよ」

ぎゅっと抱き締められて、茜はホッとした。

✢✢✢

茜はICチップの解析を始めようとしていた。

「茜様、ダヌキ、参上致しました!」

「あ、ダヌキさん!お疲れ様です」

「は!お疲れ様です!それは?」

「イブの拾い物みたい。何が入ってるのか気になるよね」

チップを読み込むと、メモリが急にパンパンになり、PCがフリーズしてしまう。

「こ、こんなに重たいデータってなに?」

「茜様、サスナのアリカを使うのはいかがでしょうか?」

「アリカさん、直ったの?」

「はい。アリカも高性能のスーパーコンピューターですから、大事には至らなかったようです」

「良かった」

茜はチップを取り出してプラスチックのケースにしまった。精密機器なので、大事に扱う必要がある。

「よし、プロジェクト?のために荷物を作ろう」

「お手伝い致します!社長より、服装の指定を承っておりますので!」

「分かった。ダヌキさん、お手伝い、お願いします」

「承知致しました!」

二人はスーツケースに着替えや仕事用のPCなど、必要なものを全てを詰めた。今度の滞在は1週間を予定している。茜はサアヤたちにお土産を用意しなければと張り切るのだった。
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