優秀アルファは子供を授かりたい!〜異次元猫カフェで遊びませんか?〜

はやしかわともえ

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46・行列

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あれからイブと散々いちゃいちゃした茜である。今日のことを考え、行為こそあまりしなかったが、やはり下半身がフワフワした感覚はある。茜は制服に着替えて開店の支度を始めた。異次元猫カフェは色々な次元の客が来るのだ。失礼があってはいけない。茜はドクターと共に、猫たちの様子を見て、疲れていそうな子は休ませることにした。

「にゃー」

「んー?どうしたの?姫」

姫が鳴きながらとことこと近寄ってきた。今日、ここにいる猫たちのなかで、一番疲れているんじゃないかと心配していたが、意外なタフさを彼女は見せた。茜が屈んで姫の頭を撫でると、頭を擦り付けるようにしてくる。どうやら、茜に甘えたかったらしい。

「姫、よしよーし」

「にゃあ」

「可愛いねー」

他の子も撫でてほしいと近寄ってくる。茜は餌の支度をしてから一通り構った。

「茜、準備バッチリって感じだな」

「イブ!うん、今日もお客様に沢山楽しんでもらいたいな」

二人は見つめ合って笑った。お互いをだんだんと信頼出来るようになってきている。

「あ…」

イブが固まったのを見て、茜はどうしたのだろうと首を傾げた。

「イブ?」

「いや、なんか取材がどうのって話だったけど確定じゃないんだ」

「取材?なんの?」

「ローカル番組がここに目を付けたらしい」

「テレビー?!」

茜はびっくりしてしまった。この世界に来てからテレビ番組など観たことがなかったからだ。

「テレビ、あるの?」

茜が詰め寄るとイブが笑う。

「あるぞ。まぁ俺はあんまり観ないからな」

「若者のテレビ離れがこんなところにも」

茜が嘆くと、今度はイブが困ったように笑う。

「次元が違っても似たような現象が起きるんだな」

「不思議だねぇ」

「とりあえず取材が来るかもしれないってことだけ頭に入れておいてくれ」

「はーい」

茜は他のスタッフと共に、提供するメニューの支度を終えた。開店まであと5分。茜はふと窓から外を眺めて驚いた。

「行列が出来てる…」

「茜様!嬉しいですね!」

「うん。今日も頑張ろう!」

いよいよ開店時間になった。客たちを席に案内し、メニューのオーダーを受ける。この店はワンドリンク制だ。他に甘味や軽食も提供しており、時間帯によってはかなり注文される。茜はひたすら注文されたカフェラテに猫のラテアートを描いている。いつの間にか一番人気のメニューになったらしい。

「これ一番テーブルにお願い」

「承知しました。あの、茜様?」

スタッフが茜に顔を寄せてくる。なにかあったのだろうかと茜は彼女を見た。

「写真の在庫がもうないんです」

「え?全部?もう?」

こくん、と彼女は頷く。茜は慌てて写真の見本棚をソールドアウトにした。

「こんにちはー!」

思ってもみなかった来客に茜はまた固まった。
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