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45・悔しい
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店を締めてからも、茜はずっと暗い気持ちだった。あの時されたキスの感触が未だに鮮明に残っている。ごしごしと唇を袖で拭くが、あまり効果はなかった。
「茜?どうした?唇から血が出てる」
イブにいつの間にか抱き寄せられている。茜はとうとう限界が来て大声で泣き出してしまった。
「茜?どうした?痛かったか?ゴメンな」
イブが明らかに困っているが、茜は泣き止めなかった。イブが何も言わず抱きしめてくれて、茜はようやく感情が収まってきた。
「何かあったのか?」
「イブってお兄さんいるの?」
ひくっとしゃくりあげながら尋ねると、イブの表情が険しくなる。
「あいつに何かされたのか?」
「キスされちゃった、悔しい。俺が弱いから」
「茜…」
イブが茜の唇に口付ける。ゴシゴシやりすぎたせいで少し沁みたが、イブの気持ちが嬉しかった。
「俺のこと嫌いになる?」
「そんなわけあるか。あいつは本当に懲りねえな。またなにか企んでやがるのか」
「また?」
茜の問いにイブが頷く。
「あいつは今、指名手配されている。魔力量が妙に多くてな、自分一人だけなら次元飛躍も出来るんだ。だからなかなか尻尾が掴めない。前は武器の横流しをしていたんだ。それで目を付けられた」
茜はゾッとした。武器となると次に出てくるワードは大抵戦争である。
「お兄さんって戦争したい人?」
「まぁ金儲けにはなるな。工場を買い取って裏で武器を作らせていたみたいだ」
「やばいね」
「なんでこう親族に恵まれねえかな、俺は」
はぁぁとイブが溜息を吐く。
「茜、ここのセキュリティレベルを上げる。本当にごめんな」
「ううん、イブは悪くないよ」
「茜だって悪くないからな」
「ありがとう、イブ」
茜はぎゅううとイブの胸に顔を埋めた。よしよしとイブが頭を撫でてくれる。
「とりあえず、お茶でも飲みながら今日の反省会しないか?明日も猫カフェやるんだし」
「うん、しよう。今日は思っていたよりお客様来てくれたもんね」
「実は客から退店後にアンケートを取っていたんだ」
「え?」
そんなの初耳だと茜は固まった。だが、客の意見は店を今後続ける以上、大事にするべきだ。
「どんなのが来てた?」
ドキドキしながら茜が尋ねると、イブが頷く。
「茜のグッズはないのかって」
「はい?俺のグッズ?」
「今の所は予定してないって答えたけど、これからその声が増えたら…」
「えぇ…」
茜はビックリしていた。自分のビジュアルに自信があるかと言えばそれは否である。
「猫たちも可愛かったって言う声をもらえたけど、写真は撮れないのかって言う声もあった」
「あ、そうか。そう言えば、ルールに入れてなかったね。なるべく猫ちゃんたちにストレスにならないようにしてあげたいからなぁ」
「なら今度この前撮った写真を安く売ってみるか」
「また写真選ぼうね」
ふふ、と茜は笑った。イブと話していると、先程まで萎れていた気持ちがゆっくりと膨らんでくるのを感じる。
「イブはすごいなぁ」
そう何気なく口にしたら、イブがきょとんとしていた。
「な、なんで俺がすごいになるんだ?」
「ふふ、俺、イブのこと大好きなの」
茜はイブにもたれかかった。
「ね、またシてみる?」
「茜は本当…」
イブに茜は口付けていた。
「茜?どうした?唇から血が出てる」
イブにいつの間にか抱き寄せられている。茜はとうとう限界が来て大声で泣き出してしまった。
「茜?どうした?痛かったか?ゴメンな」
イブが明らかに困っているが、茜は泣き止めなかった。イブが何も言わず抱きしめてくれて、茜はようやく感情が収まってきた。
「何かあったのか?」
「イブってお兄さんいるの?」
ひくっとしゃくりあげながら尋ねると、イブの表情が険しくなる。
「あいつに何かされたのか?」
「キスされちゃった、悔しい。俺が弱いから」
「茜…」
イブが茜の唇に口付ける。ゴシゴシやりすぎたせいで少し沁みたが、イブの気持ちが嬉しかった。
「俺のこと嫌いになる?」
「そんなわけあるか。あいつは本当に懲りねえな。またなにか企んでやがるのか」
「また?」
茜の問いにイブが頷く。
「あいつは今、指名手配されている。魔力量が妙に多くてな、自分一人だけなら次元飛躍も出来るんだ。だからなかなか尻尾が掴めない。前は武器の横流しをしていたんだ。それで目を付けられた」
茜はゾッとした。武器となると次に出てくるワードは大抵戦争である。
「お兄さんって戦争したい人?」
「まぁ金儲けにはなるな。工場を買い取って裏で武器を作らせていたみたいだ」
「やばいね」
「なんでこう親族に恵まれねえかな、俺は」
はぁぁとイブが溜息を吐く。
「茜、ここのセキュリティレベルを上げる。本当にごめんな」
「ううん、イブは悪くないよ」
「茜だって悪くないからな」
「ありがとう、イブ」
茜はぎゅううとイブの胸に顔を埋めた。よしよしとイブが頭を撫でてくれる。
「とりあえず、お茶でも飲みながら今日の反省会しないか?明日も猫カフェやるんだし」
「うん、しよう。今日は思っていたよりお客様来てくれたもんね」
「実は客から退店後にアンケートを取っていたんだ」
「え?」
そんなの初耳だと茜は固まった。だが、客の意見は店を今後続ける以上、大事にするべきだ。
「どんなのが来てた?」
ドキドキしながら茜が尋ねると、イブが頷く。
「茜のグッズはないのかって」
「はい?俺のグッズ?」
「今の所は予定してないって答えたけど、これからその声が増えたら…」
「えぇ…」
茜はビックリしていた。自分のビジュアルに自信があるかと言えばそれは否である。
「猫たちも可愛かったって言う声をもらえたけど、写真は撮れないのかって言う声もあった」
「あ、そうか。そう言えば、ルールに入れてなかったね。なるべく猫ちゃんたちにストレスにならないようにしてあげたいからなぁ」
「なら今度この前撮った写真を安く売ってみるか」
「また写真選ぼうね」
ふふ、と茜は笑った。イブと話していると、先程まで萎れていた気持ちがゆっくりと膨らんでくるのを感じる。
「イブはすごいなぁ」
そう何気なく口にしたら、イブがきょとんとしていた。
「な、なんで俺がすごいになるんだ?」
「ふふ、俺、イブのこと大好きなの」
茜はイブにもたれかかった。
「ね、またシてみる?」
「茜は本当…」
イブに茜は口付けていた。
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