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43・開店

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次の日の猫カフェは大わらわだった。ちょうど世間が休日になる日に合わせて開店したのも良かったのだろう。想定していた数の二倍程の客が来てくれたのだ。嬉しい悲鳴とはまさにこの事を言うのだろう。

茜は今日からふくふくにゃんこのホームページを公開した。猫たちの細かい説明や動画などがコンテンツとして置いてある。ネット住民で良かったと茜はホッとしていた。
ホームページのアクセス数はすでに5000を超えており、まずまずといった所だ。

茜は今、必死に飲み物をつくっている。茜がもともといた世界にあったお洒落なカフェのキッチンそのものが設備にあったので、茜はドリンクを作るのを必死に練習したのだ。ラテアートも簡単な猫なら描けるようになった。なんでも、イブの会社に勤めている女性スタッフが学生時代にカフェでバイトをしていたらしい。昔取った杵柄はすごいなあと茜は感心していた。

「ソイラテのお客様!」

「わぁ可愛い」

茜が描いたラテアートはなかなか好評のようで、写真に撮っている人もいた。今日はとびきり暑いせいか、ソフトクリームがよく出る。

茜はそっと猫たちの方を見た。初めての人間相手に威嚇してないか心配になったが、おもちゃで遊んでもらっているのを見てホッとした。

「あ、あの!グッズ欲しいんですけど!」

急に若い女性に声を掛けられて茜もビクッとなった。だが、茜ももう大人である。グッズの一覧表を素早く差し出していた。

「わぁあ、可愛い。誰が当たっても嬉しいけど、やっぱり姫ちゃんかなぁ」

「姫推しなんですか?」

茜が問うと彼女は満面の笑みを浮かべた。

「はい。小さくてふわふわで可愛いです」

「ありがとうございます。グッズはどちらにされますか?」

「あ、この缶バッチ12個ください」

え…と茜はドキッとした。12個は1人が買える最大数である。本当に姫のグッズが欲しいのだと茜は缶バッチがたっぷり入ったカゴを彼女の前に置いた。

「12個お選びください」

「え!選ばせてくれるなんてすごい。よーし」

彼女は相当念入りにグッズを選び購入していった。姫が入っていればいいがと茜には祈ることしかできない。他にも何名かグッズを買う者がいて、こちらもうまくいきそうだった。

「ふー。やっと一息かぁ」

猫たちを休ませるため、店を一度クローズにする。スタッフはこれから昼食だ。茜は何度か練習して無事に習得したオムライスを賄いとして作って出した。

「美味しい!玉子トロトロ!」

「良かった」

茜も後半に向けてしっかり食事を摂ったのだった。
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