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21・お風呂で話し合い
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「イブの馬鹿!」
「ごめん、悪かった」
茜とイブは浴槽に浸かっている。広い浴槽なので、二人で入るとちょうどいい。茜はぷんすことイブに詰め寄っていた。
「また歩けなくした!」
「茜が可愛くてつい…」
「っ…」
イブが赤面すると茜も感染したように顔を赤くする。先程の情事を二人は思い出したのだ。
「その…ごめん」
「うん。過ぎたことで色々言ってもね。それに練習だし」
「許してくれるか?」
「イブ、俺も怒っちゃってごめんね」
二人は抱き合った。どちらからともなく口づけを交わす。
「あ、逆探知もそろそろ終わるよ」
茜は照れくさくなり、話題を変えようと言った。
「そうか。なにか分かるといいな」
二人は風呂から上がり、服を着た。茜のPCは茜の到着をずっと待っていたらしい。茜が前に座ると、ウイインと画面を表示させた。茜がマウスを操り、逆探知の結果を確認する。そこには、「unknown」と書かれていた。
「逆探知に失敗したみたい。サーバーからの足跡も消せるんだ」
「…どうする?」
茜はまだ諦めていない。
「イブのひいお祖父様のデータを見てみよう。なにか分かるかも」
「あぁ、そうだな。でも、もう明日にしよう。お前は歩けないんだし」
茜は真っ赤になりながら頷いた。イブに抱えてもらい、ベッドまで連れてきてもらう。
「もう介護だよね、こうなると」
「介護でもいいさ」
イブがこの部屋で茜とこうして一緒に眠るのも当たり前になってきている。茜はいつものように、イブにしがみつき眠った。
✢✢✢
「うーん、パンケーキ最高」
「美味いか?」
次の日の朝、茜はヨロヨロしながらだが、歩けるようになっていた。この調子なら午後になれば元通り回復するだろう。分厚いふかふかした甘いパンケーキの上にはカリカリのベーコンとトロトロのスクランブルエッグが載っており、一緒に食べると甘じょっぱさがやってきて無限に食べられる。
「美味しいよ」
イブはと言えば分厚いトーストにサラダ、ハムエッグにコーヒーという、定番のモーニングメニューだった。こんな所も自分のいた次元とよく似ているなと茜はホッとする。たとえ帰れたとしても帰りたいとは思わなかった。
「茜、今日のお前の予定だけど…きつくないか?」
イブが心配するのも分かる。茜はこれから千里について探るつもりでいる。もちろんイブの曽祖父のデータを全て見てみるつもりだ。ヒントは少しでも多い方が良い。茜はにっこり笑った。
「イブだって忙しいでしょ。あ、今日はキングに首輪を着ける日だよ。じゃがさんが用意してくれたの」
「キングは人に慣れるの早かったもんな」
「うん、ウチの看板猫ちゃんになってくれないかな。あ、そうそう。今度写真を撮りたいの」
イブが首を傾げる。
「えーっと、所謂宣材写真…みたいな」
「あぁ、そうだな。どんな猫がいるか紹介するのか」
「そう、さすがイブ。よく分かったね」
「まるで芸能人みたいだけど、そんな感じだもんな。分かった、スタジオを手配しておく」
「ありがとう!イブ!」
朝食を食べ終え、イブはいつものように茜にキスをして出掛けていった。
「イブってなんであんなにスマートに動けるんだろ」
ムスッとしながら茜はイブが貸してくれたデータに目を通し始めたのだった。
「ごめん、悪かった」
茜とイブは浴槽に浸かっている。広い浴槽なので、二人で入るとちょうどいい。茜はぷんすことイブに詰め寄っていた。
「また歩けなくした!」
「茜が可愛くてつい…」
「っ…」
イブが赤面すると茜も感染したように顔を赤くする。先程の情事を二人は思い出したのだ。
「その…ごめん」
「うん。過ぎたことで色々言ってもね。それに練習だし」
「許してくれるか?」
「イブ、俺も怒っちゃってごめんね」
二人は抱き合った。どちらからともなく口づけを交わす。
「あ、逆探知もそろそろ終わるよ」
茜は照れくさくなり、話題を変えようと言った。
「そうか。なにか分かるといいな」
二人は風呂から上がり、服を着た。茜のPCは茜の到着をずっと待っていたらしい。茜が前に座ると、ウイインと画面を表示させた。茜がマウスを操り、逆探知の結果を確認する。そこには、「unknown」と書かれていた。
「逆探知に失敗したみたい。サーバーからの足跡も消せるんだ」
「…どうする?」
茜はまだ諦めていない。
「イブのひいお祖父様のデータを見てみよう。なにか分かるかも」
「あぁ、そうだな。でも、もう明日にしよう。お前は歩けないんだし」
茜は真っ赤になりながら頷いた。イブに抱えてもらい、ベッドまで連れてきてもらう。
「もう介護だよね、こうなると」
「介護でもいいさ」
イブがこの部屋で茜とこうして一緒に眠るのも当たり前になってきている。茜はいつものように、イブにしがみつき眠った。
✢✢✢
「うーん、パンケーキ最高」
「美味いか?」
次の日の朝、茜はヨロヨロしながらだが、歩けるようになっていた。この調子なら午後になれば元通り回復するだろう。分厚いふかふかした甘いパンケーキの上にはカリカリのベーコンとトロトロのスクランブルエッグが載っており、一緒に食べると甘じょっぱさがやってきて無限に食べられる。
「美味しいよ」
イブはと言えば分厚いトーストにサラダ、ハムエッグにコーヒーという、定番のモーニングメニューだった。こんな所も自分のいた次元とよく似ているなと茜はホッとする。たとえ帰れたとしても帰りたいとは思わなかった。
「茜、今日のお前の予定だけど…きつくないか?」
イブが心配するのも分かる。茜はこれから千里について探るつもりでいる。もちろんイブの曽祖父のデータを全て見てみるつもりだ。ヒントは少しでも多い方が良い。茜はにっこり笑った。
「イブだって忙しいでしょ。あ、今日はキングに首輪を着ける日だよ。じゃがさんが用意してくれたの」
「キングは人に慣れるの早かったもんな」
「うん、ウチの看板猫ちゃんになってくれないかな。あ、そうそう。今度写真を撮りたいの」
イブが首を傾げる。
「えーっと、所謂宣材写真…みたいな」
「あぁ、そうだな。どんな猫がいるか紹介するのか」
「そう、さすがイブ。よく分かったね」
「まるで芸能人みたいだけど、そんな感じだもんな。分かった、スタジオを手配しておく」
「ありがとう!イブ!」
朝食を食べ終え、イブはいつものように茜にキスをして出掛けていった。
「イブってなんであんなにスマートに動けるんだろ」
ムスッとしながら茜はイブが貸してくれたデータに目を通し始めたのだった。
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