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9・茜のお使い③
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終点のバス停から徒歩10分ほど歩いた場所に、イブの会社はある。相変わらず日差しが強いので日傘を差して茜は歩いていた。
「わ、ここか」
眼の前には真新しい建物がある。中に入ると空調が効いていて涼しかった。奥には受付嬢らしき女性がいたので、茜は声を掛ける。
「茜様!お待ちしていました」
どうやら連絡はすでに行っていたようで、茜はエレベーターに乗るように指示された。乗り込むとエレベーターはすぐに目的の階に着く。高所恐怖症な茜にとってはありがたい話だ。エレベーターを降りると目の前にガラス張りの扉があった。中には複数人の人がPCで作業をしている。茜はなるべく静かにドアを開けた。
「茜!」
イブが慌てたように駆け寄ってくる。
「あ、イブ。良かったー」
「バスジャックに遭ったんだろ?怪我とか…」
「大丈夫。何もされてないよ。怖かったけど警察の人がすぐ来てくれたし」
イブにありがとうと笑いかけたら、イブの顔が赤い。
「イブ?大丈夫?」
「いや、茜は可愛いな。なにか飲んでいけよ。喉乾いたろ?」
「うん!あ、お弁当食べてもいい?じゃがさんが持たせてくれたの!」
「あぁ、もうそんな時間か。そういや、茜。仕事はどうだった?出来そうか?」
「うん、今のところ困っていないし、あとね、イブにお願いがあるの」
「なんだ?」
「俺、猫カフェのお手伝いしたい!」
イブはしばらく固まっていたが、ふ、と噴き出した。
「茜はニートじゃなかったのか?」
「そうだよ。でも猫ちゃんのお世話したいんだもん」
ムスーと茜が膨れると、イブはますます可笑しそうだ。
「もちろんいいよ。茜が作ってくれた書類見たけど問題なさそうだったしな。アイデアも出してくれると助かる」
茜は聞いていいものか迷ったが聞いてみることにした。
「その…カフェの猫ちゃんはどこから連れて来るの?」
「潰れたペットショップから連れて来る。犬たちにも居場所を斡旋するつもりだ」
「それなら安心だね」
ふふ、と茜が笑うとイブに頭を撫でられた。
「茜、お前のことだからきっと頑張ってくれると思う。だから無理するなよ」
「はーい」
茜は社員食堂で持たされた弁当を食べてから家に戻った。今日は待っていてもイブは帰ってこない。寂しいという気持ちに押し潰されそうになったが、なんとか堪えた。
(俺、どんどんイブのことが好きになってる。だってあんなにイケメンで優しい人いる?俺にはもったいないくらいだ)
ふと茜は思い出して、テディベアを抱き上げた。
「イブ、寂しいよ。でも頑張るね」
「茜、愛してる」
テディベアから音声がして驚いたが、イブの声で間違いがない。
「うん、俺もだよ」
おやすみを言い合って茜はベッドに潜り込んだのだった。
「わ、ここか」
眼の前には真新しい建物がある。中に入ると空調が効いていて涼しかった。奥には受付嬢らしき女性がいたので、茜は声を掛ける。
「茜様!お待ちしていました」
どうやら連絡はすでに行っていたようで、茜はエレベーターに乗るように指示された。乗り込むとエレベーターはすぐに目的の階に着く。高所恐怖症な茜にとってはありがたい話だ。エレベーターを降りると目の前にガラス張りの扉があった。中には複数人の人がPCで作業をしている。茜はなるべく静かにドアを開けた。
「茜!」
イブが慌てたように駆け寄ってくる。
「あ、イブ。良かったー」
「バスジャックに遭ったんだろ?怪我とか…」
「大丈夫。何もされてないよ。怖かったけど警察の人がすぐ来てくれたし」
イブにありがとうと笑いかけたら、イブの顔が赤い。
「イブ?大丈夫?」
「いや、茜は可愛いな。なにか飲んでいけよ。喉乾いたろ?」
「うん!あ、お弁当食べてもいい?じゃがさんが持たせてくれたの!」
「あぁ、もうそんな時間か。そういや、茜。仕事はどうだった?出来そうか?」
「うん、今のところ困っていないし、あとね、イブにお願いがあるの」
「なんだ?」
「俺、猫カフェのお手伝いしたい!」
イブはしばらく固まっていたが、ふ、と噴き出した。
「茜はニートじゃなかったのか?」
「そうだよ。でも猫ちゃんのお世話したいんだもん」
ムスーと茜が膨れると、イブはますます可笑しそうだ。
「もちろんいいよ。茜が作ってくれた書類見たけど問題なさそうだったしな。アイデアも出してくれると助かる」
茜は聞いていいものか迷ったが聞いてみることにした。
「その…カフェの猫ちゃんはどこから連れて来るの?」
「潰れたペットショップから連れて来る。犬たちにも居場所を斡旋するつもりだ」
「それなら安心だね」
ふふ、と茜が笑うとイブに頭を撫でられた。
「茜、お前のことだからきっと頑張ってくれると思う。だから無理するなよ」
「はーい」
茜は社員食堂で持たされた弁当を食べてから家に戻った。今日は待っていてもイブは帰ってこない。寂しいという気持ちに押し潰されそうになったが、なんとか堪えた。
(俺、どんどんイブのことが好きになってる。だってあんなにイケメンで優しい人いる?俺にはもったいないくらいだ)
ふと茜は思い出して、テディベアを抱き上げた。
「イブ、寂しいよ。でも頑張るね」
「茜、愛してる」
テディベアから音声がして驚いたが、イブの声で間違いがない。
「うん、俺もだよ」
おやすみを言い合って茜はベッドに潜り込んだのだった。
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