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2・逃亡劇
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(ここから逃げ出さなくちゃ)
イブが去った後、茜はベッドから飛び降り、窓に駆け寄った。
「ひえ」
ピカピカに磨かれた窓から外を覗くと、ものすごく高い場所に自分がいることに気が付く。高所恐怖症な茜はその場にへたり込んだ。
(いやいや、落ち着け。エレベーターとか多分どっかにあるはずでしょ)
茜は言うことを聞かなくなった足をなんとか奮い立たせて立ち上がった。こんなところで知らない誰かに貞操を奪われるわけにはいかない、そんな一心だった。
(要するに、誰とも遭遇しなければいいんだよな?よし、これはゲームの経験を活かして隠密する!)
茜はイブの出て行ったドアのそばで外の様子を窺った。特に話し声は聞こえない。そうっとドアノブを回し、部屋から外に出た。そして隠れながら通路を進む。
(エレベーターって思ったけど、そんな便利なもの、他の人も使うだろうし、階段しかないか)
茜は既に疲れている。ニートになってから運動らしい運動をしていないせいだ。ぜいぜい言いながら茜は階段を探した。なにせ建物が広すぎる。
「な、なんだここ。迷路みたいになってるし」
「茜」
「ひぃ!!」
後ろから聞き覚えのある低い声が落ちてきて、茜は飛び上がった。
「なんだ?新しい巣の確認か?」
振り返ればもちろんイブである。
「まさか逃げ出そうとか?」
「や、えーと、お腹が空いたかな?っていうか」
しどろもどろに答えると、彼は気が付いたような表情をした。
「そうか。それは気が回らなかったな」
イブがにっかり笑い、茜をひょいと横抱きに抱える。いわゆるお姫様抱っこだ。
「待ってろ。すぐ美味いものを運ばせるからな」
(ど…どうしよう…そうだ!)
「え…えーっとお手洗いも行きたいかなって」
「連れて行ってやる」
茜はその言葉に固まった。このままでは逃げられない。絶望感に浸っていると、イブに頭を撫でられる。
「いいか、茜。お前は俺の花嫁に選ばれた。ここで暮らす以外の選択肢はない」
「そ…そんな…」
茜は泣きそうになった。
「お前のことは必ず幸せにする。だから安心して俺についてきてくれないか?」
「え…」
茜は彼の言葉にとくん、とときめいていた。この気持ちはなんだろう、と考えるが分からない。
「で、でも俺、働けないよ?それに今まで働いたことないし、グズでのろまだし」
「誰だ?そんな酷いことを言うやつは?」
メラメラとイブの瞳に炎が見えた気がして、茜は驚いた。
「あ…えっと…すごく前の話だよ、言われたのは」
「だとしても許すわけにはいかない。俺の花嫁を愚弄するやつは俺を愚弄するも同じだ」
「イブさん…」
茜は改めてイブを見つめた。金色の瞳が茜を捉える。
「茜、お前はなにも心配しなくていい。お前だけだ、俺が愛するのは」
ちゅ、といつの間にか唇を奪われていた。
「あ…初めてだった…」
真っ赤になりながら茜が呟くとイブがにっこり笑う。
「お前の初めては全部もらう」
「っ…」
茜は無意識にイブに抱き着いていた。
イブが去った後、茜はベッドから飛び降り、窓に駆け寄った。
「ひえ」
ピカピカに磨かれた窓から外を覗くと、ものすごく高い場所に自分がいることに気が付く。高所恐怖症な茜はその場にへたり込んだ。
(いやいや、落ち着け。エレベーターとか多分どっかにあるはずでしょ)
茜は言うことを聞かなくなった足をなんとか奮い立たせて立ち上がった。こんなところで知らない誰かに貞操を奪われるわけにはいかない、そんな一心だった。
(要するに、誰とも遭遇しなければいいんだよな?よし、これはゲームの経験を活かして隠密する!)
茜はイブの出て行ったドアのそばで外の様子を窺った。特に話し声は聞こえない。そうっとドアノブを回し、部屋から外に出た。そして隠れながら通路を進む。
(エレベーターって思ったけど、そんな便利なもの、他の人も使うだろうし、階段しかないか)
茜は既に疲れている。ニートになってから運動らしい運動をしていないせいだ。ぜいぜい言いながら茜は階段を探した。なにせ建物が広すぎる。
「な、なんだここ。迷路みたいになってるし」
「茜」
「ひぃ!!」
後ろから聞き覚えのある低い声が落ちてきて、茜は飛び上がった。
「なんだ?新しい巣の確認か?」
振り返ればもちろんイブである。
「まさか逃げ出そうとか?」
「や、えーと、お腹が空いたかな?っていうか」
しどろもどろに答えると、彼は気が付いたような表情をした。
「そうか。それは気が回らなかったな」
イブがにっかり笑い、茜をひょいと横抱きに抱える。いわゆるお姫様抱っこだ。
「待ってろ。すぐ美味いものを運ばせるからな」
(ど…どうしよう…そうだ!)
「え…えーっとお手洗いも行きたいかなって」
「連れて行ってやる」
茜はその言葉に固まった。このままでは逃げられない。絶望感に浸っていると、イブに頭を撫でられる。
「いいか、茜。お前は俺の花嫁に選ばれた。ここで暮らす以外の選択肢はない」
「そ…そんな…」
茜は泣きそうになった。
「お前のことは必ず幸せにする。だから安心して俺についてきてくれないか?」
「え…」
茜は彼の言葉にとくん、とときめいていた。この気持ちはなんだろう、と考えるが分からない。
「で、でも俺、働けないよ?それに今まで働いたことないし、グズでのろまだし」
「誰だ?そんな酷いことを言うやつは?」
メラメラとイブの瞳に炎が見えた気がして、茜は驚いた。
「あ…えっと…すごく前の話だよ、言われたのは」
「だとしても許すわけにはいかない。俺の花嫁を愚弄するやつは俺を愚弄するも同じだ」
「イブさん…」
茜は改めてイブを見つめた。金色の瞳が茜を捉える。
「茜、お前はなにも心配しなくていい。お前だけだ、俺が愛するのは」
ちゅ、といつの間にか唇を奪われていた。
「あ…初めてだった…」
真っ赤になりながら茜が呟くとイブがにっこり笑う。
「お前の初めては全部もらう」
「っ…」
茜は無意識にイブに抱き着いていた。
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