陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ

文字の大きさ
上 下
17 / 21

17・信仰

しおりを挟む
異次元とは言っても街がある。人々が行き交う中を心海たちは歩いていた。だが、なんだか注目されている気がする。おそらく服装が違うせいで目立っているのだろう。

「おやおや、久しく帰ってきたのに冷たいものだね」

「スイケ、僕たちはもうここの人間じゃないんだし仕方がないよ」

瑛太の言葉にスイケは頷いた。

「そうだね、僕がここで教師を務めていたのも随分前の話になる」

「で、俺たちはどこに行けばいい?」

律が尋ねるとスイケは迷いを見せた。

「因果っていうのはどんな人にもあるものなんだ。リツはその因果が飛び抜けて大きい。それを解いて行くためには君自身に由来するものから解いていかなければ」

「俺に由来するもの?」

「そう、君の記憶にあったものから順に解いていこう。なあに、簡単なことさ。伯爵はまだ健在だしね」

「え!こっちの世界の人間と知り合って良いのか?」

律の言葉にスイケが頬を膨らませる。

「僕たちも一応そうなんだけどね?」

「いや、でも、だってよ…」

「まぁここであーだこーだ言っていても何も始まらない。行ってみよう」

レッツゴー!とスイケが歩き出したので、慌てて心海たちも追い掛けた。

「わ、なんかいい匂いがする」

「あぁ、この辺りは屋台が多いからね」

(本当に現実世界なんだ)

心海は改めて緊張した。言葉や文字は不思議なことに難なく読めるうえ、しかも喋れるようだ。街を歩く人の言葉も分かる。
しばらく歩くと、大きな屋敷があった。
白い石造りの門が建っている。その門は開いていた。

「ここが?」

「そう、伯爵のお屋敷さ!行こう」

スイケが開いている門をくぐる。他人の家なのに大丈夫なのだろうか、と心海は心配になった。

「大丈夫だよ、ここちゃん。伯爵様は僕たちを知ってくれているから。もちろん、律くんのことも」

瑛太にそう言われて、心海もようやく安心する。中に入り、ぐるりと回って庭に入る。そこで木刀を素振りする男がいた。おそらくこの人が伯爵だろう。スイケが彼に駆け寄る。

「伯爵様、おひさだよん!」

「む…スイケか。…お前はリツ!?」

伯爵が律を見るなり後ろに後ずさった。だが、すぐに気迫を取り戻す。

「本当に転生していたのだな。先の戦いで私はお前に無理をさせてしまった」

「まぁ色々あったのは覚えてるよ、一応。それで、俺に由来があるものって」

「今はない…」

伯爵がぐ、と唇を噛む。

「この世界を治める神があまりに幼くてな。」

「どうゆうことですか?」

伯爵が心海を見た瞬間、はっと息を飲んだ。

「ココレット様!?」

「え?違いますよ!俺は心海です」

「すみません、先代の女神様によく似ていたから」

伯爵は気を落ち着けようとしたのか、目を閉じて深呼吸した。再び目を開け話し始める。

「今の神、レリウス様はココレット様の跡継ぎなのです。ココレット様もだんだん力が無くなり、神として存在するには無理がありました。ココレット様が今どこにおられるのか、誰にも分からないのです。そしてレリウス様は、神としてまだ顕現されたばかり。世界の記憶を読み込むので精一杯なのですよ」

「じゃあ俺の因果を解放出来ねえってことか?」

「いや、レリウス様に直接会えばお前のことを把握できるはずだ。レリウス様は月の神殿におられる」

伯爵によれば、月の神殿は砂漠の真ん中にあるという。心海たちの旅が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【幼馴染DK】至って、普通。

りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩

ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。 ※現在、加筆修正中です。投稿当日と比較して内容に改変がありますが、ご了承ください。

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

異世界転生した俺の婚約相手が、王太子殿下(♂)なんて嘘だろう?! 〜全力で婚約破棄を目指した結果。

みこと。
BL
気づいたら、知らないイケメンから心配されていた──。 事故から目覚めた俺は、なんと侯爵家の次男に異世界転生していた。 婚約者がいると聞き喜んだら、相手は王太子殿下だという。 いくら同性婚ありの国とはいえ、なんでどうしてそうなってんの? このままじゃ俺が嫁入りすることに? 速やかな婚約解消を目指し、可愛い女の子を求めたのに、ご令嬢から貰ったクッキーは仕込みありで、とんでも案件を引き起こす! てんやわんやな未来や、いかに!? 明るく仕上げた短編です。気軽に楽しんで貰えたら嬉しいです♪ ※同タイトルの簡易版を「小説家になろう」様でも掲載しています。

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ間に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

処理中です...