陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ

文字の大きさ
上 下
15 / 21

15・旅立つ前に

しおりを挟む
「で…出来た」

今日も心海はいつもの漫研部の部室にいる。眼の前には仕上がったばかりの原稿があった。もちろん出版社に持ち込むための大事な原稿だ。念の為、コピーも取った。

「ここちゃん、お疲れ様」

瑛太が隣の椅子に座ってくる。

「瑛太くんたちが沢山アドバイスくれたから描けたよ。本当にありがとう」

「描いたのはここちゃんなんだし、すごいよ。頑張ったね。今日出版社に行くの?」

「うん、アポを取れたのが今日しかなくて、ギリギリだったから焦ったよ」

「本当だね」

ふふ、と瑛太が笑う。

「あ、いけない。これから講義があるんだった!行って来ます!」

大事な原稿を封筒に入れて、心海は教室に向かった。この講義が終わったら出版社に向かう手筈になっている。自分の作品がどう評価されるか緊張するが今更だ。

(うぅ、ドキドキし過ぎて講義の内容が入ってこない。いや、集中しなくちゃね。自分で通いたいって決めた大学なんだから)

心海が大学に入った理由、それは「なんとなく」だったりする。具体的な目標は入ってから決めるという緩さで、ここに入学した。
心海は幼い頃から、勉強が出来る方だったので、国立のこの大学も危なげなく入学出来た。
親もそこまで干渉してくるタイプではない。時々心海から電話をかけて近況報告をするくらいだ。
心海はノートを取り、大事な所にマーカーで線を引っ張った。どうやらテスト範囲の話をしているらしい。

(あ、そうだった。夏休み前に試験があるよね)

すっかり忘れていた、と心海は試験日程の書かれたプリントを受け取った。自分の今取っている講義を確認して、マーカーでチェックを入れる。

(よし、りっくんと一緒に勉強しようっと)

そんなことを思っていると講義も終わっていた。

✢✢✢

(えーと、ここかなぁ)

心海は出版社の前にやって来ている。だんだん駅の乗り換えも分かるようになってきた。雨がぽつぽつ降り始めたので、慌てて建物の中に入った。なかなか梅雨前線は去ってくれない。

「えーと、すみません。今日お約束をしている新田です」

「少々お待ち下さい」

中に入り、分からないながらもそう告げると、奥から編集者らしき人が現れた。

「こっちへ!どうぞ!」

「よ、よろしくお願いします」

心海は慌てて彼の後をついていった。心海は原稿を彼に渡す。それから20分程アドバイスをもらうことが出来たのだった。

✢✢✢

(はは、ボロクソ言われた…けど、いいところもあるって言ってもらえたし、また描いたら持ってきてって言われたんだからよかったよね)

心海は先程受け取った名刺を見つめた。するとスマホが振動を始める。心海が画面を見つめると律からだった。

「どうだった?」

心海は嬉しくなって返信した。そして試験のこともだ。

「あぁ、一緒に勉強しような」

(俺はやっぱりりっくんじゃなきゃやだ)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【幼馴染DK】至って、普通。

りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い

異世界転生した俺の婚約相手が、王太子殿下(♂)なんて嘘だろう?! 〜全力で婚約破棄を目指した結果。

みこと。
BL
気づいたら、知らないイケメンから心配されていた──。 事故から目覚めた俺は、なんと侯爵家の次男に異世界転生していた。 婚約者がいると聞き喜んだら、相手は王太子殿下だという。 いくら同性婚ありの国とはいえ、なんでどうしてそうなってんの? このままじゃ俺が嫁入りすることに? 速やかな婚約解消を目指し、可愛い女の子を求めたのに、ご令嬢から貰ったクッキーは仕込みありで、とんでも案件を引き起こす! てんやわんやな未来や、いかに!? 明るく仕上げた短編です。気軽に楽しんで貰えたら嬉しいです♪ ※同タイトルの簡易版を「小説家になろう」様でも掲載しています。

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

推し変なんて絶対しない!

toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。 それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。 太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。 ➤➤➤ 読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。 推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話

雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。 主人公(受) 園山 翔(そのやまかける) 攻 城島 涼(きじまりょう) 攻の恋人 高梨 詩(たかなしうた)

騎士団長を咥えたドラゴンを団長の息子は追いかける!!

ミクリ21
BL
騎士団長がドラゴンに咥えられて、連れ拐われた! そして、団長の息子がそれを追いかけたーーー!! 「父上返せーーー!!」

処理中です...