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13・転生
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あれから律とは何も変化なく一緒に暮らせている。心海は今日も夕食の支度をして、律の帰宅を待っていた。カチリ、と鍵が開く音がする。心海は玄関に急いだ。
「おかえり、りっくん」
「おぅ。なあ、心海?」
「何かあった?」
律は言いづらそうにしている。彼の中で何か変化があったのだと心海は察した。
「俺って、小さい頃からお前のそばにいるよな?」
やっぱりと心海は覚悟した。
「うん、そうだよ!赤ちゃんの時から一緒だったんだって」
「じゃあなんで知らない場所の記憶があるんだろう」
「りっくん…」
律が途端に儚げに見えて、心海は彼を抱きしめた。
「りっくん…不安なんだね。俺がいるよ、大丈夫」
「心海…お前、なんか知ってるのか?」
心海は困った。急に転生者だと言われても信じられるはずがない。だが今のままでは律があまりにも可哀想だ。
「りっくん…多分信じてもらえないと思う。君は転生者なんだよ」
「は?ラノベのネタか?」
「…知らない記憶ってどんなの?」
「剣を振っていたり、馬に乗っていたり色々だ。この間なんか見合いをしろって言われたところが思い浮かんだ」
「お見合いかぁ」
「そんなのする必要ない。俺はお前しか選ばないからな」
「りっくん…」
最近の律はこうして愛を沢山くれる。それが単純に嬉しい。今の空気なら告白できるかもしれない、そう思った瞬間、心海のスマートフォンに電話がかかってきた。
慌てて出るとスイケだ。
「やあ、心海!明日は遊園地だね、楽しみにしているよ!いい思い出にしようね!」
スイケに返事をしようとしたらぷつりと通話を切られる。
「なんだったんだ?」
「あのね、りっくん。明日の遊園地はもう一人行く人が増えるみたいだから」
「お、おう。それは構わないけどよ。で、俺がテンセイなんとかってなんなんだ?」
「俺もよく分かっていないんだけど、りっくんは他の世界に元々はいたみたいなんだ」
「…そうか」
律がぎゅ、と拳を握る。そして真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。
「なぁ心海?これからも俺と一緒にいてくれるか?」
「っ…!そんなの当たり前だよ!ずっと一緒にいる、約束する!」
「ありがとうな」
二人はどちらからともなく抱き合っていた。心海は律の顔を見上げた。
「あのね、りっくん、俺…、りっくんのこと」
「ちょっと待ってくれ、心海。それは全部解決してから聞きたい。今はその…、ぐちゃぐちゃしててよく分からないから」
「…分かった。りっくん、必ず全部解決しようね」
「おう!」
「おかえり、りっくん」
「おぅ。なあ、心海?」
「何かあった?」
律は言いづらそうにしている。彼の中で何か変化があったのだと心海は察した。
「俺って、小さい頃からお前のそばにいるよな?」
やっぱりと心海は覚悟した。
「うん、そうだよ!赤ちゃんの時から一緒だったんだって」
「じゃあなんで知らない場所の記憶があるんだろう」
「りっくん…」
律が途端に儚げに見えて、心海は彼を抱きしめた。
「りっくん…不安なんだね。俺がいるよ、大丈夫」
「心海…お前、なんか知ってるのか?」
心海は困った。急に転生者だと言われても信じられるはずがない。だが今のままでは律があまりにも可哀想だ。
「りっくん…多分信じてもらえないと思う。君は転生者なんだよ」
「は?ラノベのネタか?」
「…知らない記憶ってどんなの?」
「剣を振っていたり、馬に乗っていたり色々だ。この間なんか見合いをしろって言われたところが思い浮かんだ」
「お見合いかぁ」
「そんなのする必要ない。俺はお前しか選ばないからな」
「りっくん…」
最近の律はこうして愛を沢山くれる。それが単純に嬉しい。今の空気なら告白できるかもしれない、そう思った瞬間、心海のスマートフォンに電話がかかってきた。
慌てて出るとスイケだ。
「やあ、心海!明日は遊園地だね、楽しみにしているよ!いい思い出にしようね!」
スイケに返事をしようとしたらぷつりと通話を切られる。
「なんだったんだ?」
「あのね、りっくん。明日の遊園地はもう一人行く人が増えるみたいだから」
「お、おう。それは構わないけどよ。で、俺がテンセイなんとかってなんなんだ?」
「俺もよく分かっていないんだけど、りっくんは他の世界に元々はいたみたいなんだ」
「…そうか」
律がぎゅ、と拳を握る。そして真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。
「なぁ心海?これからも俺と一緒にいてくれるか?」
「っ…!そんなの当たり前だよ!ずっと一緒にいる、約束する!」
「ありがとうな」
二人はどちらからともなく抱き合っていた。心海は律の顔を見上げた。
「あのね、りっくん、俺…、りっくんのこと」
「ちょっと待ってくれ、心海。それは全部解決してから聞きたい。今はその…、ぐちゃぐちゃしててよく分からないから」
「…分かった。りっくん、必ず全部解決しようね」
「おう!」
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