13 / 21
13・転生
しおりを挟む
あれから律とは何も変化なく一緒に暮らせている。心海は今日も夕食の支度をして、律の帰宅を待っていた。カチリ、と鍵が開く音がする。心海は玄関に急いだ。
「おかえり、りっくん」
「おぅ。なあ、心海?」
「何かあった?」
律は言いづらそうにしている。彼の中で何か変化があったのだと心海は察した。
「俺って、小さい頃からお前のそばにいるよな?」
やっぱりと心海は覚悟した。
「うん、そうだよ!赤ちゃんの時から一緒だったんだって」
「じゃあなんで知らない場所の記憶があるんだろう」
「りっくん…」
律が途端に儚げに見えて、心海は彼を抱きしめた。
「りっくん…不安なんだね。俺がいるよ、大丈夫」
「心海…お前、なんか知ってるのか?」
心海は困った。急に転生者だと言われても信じられるはずがない。だが今のままでは律があまりにも可哀想だ。
「りっくん…多分信じてもらえないと思う。君は転生者なんだよ」
「は?ラノベのネタか?」
「…知らない記憶ってどんなの?」
「剣を振っていたり、馬に乗っていたり色々だ。この間なんか見合いをしろって言われたところが思い浮かんだ」
「お見合いかぁ」
「そんなのする必要ない。俺はお前しか選ばないからな」
「りっくん…」
最近の律はこうして愛を沢山くれる。それが単純に嬉しい。今の空気なら告白できるかもしれない、そう思った瞬間、心海のスマートフォンに電話がかかってきた。
慌てて出るとスイケだ。
「やあ、心海!明日は遊園地だね、楽しみにしているよ!いい思い出にしようね!」
スイケに返事をしようとしたらぷつりと通話を切られる。
「なんだったんだ?」
「あのね、りっくん。明日の遊園地はもう一人行く人が増えるみたいだから」
「お、おう。それは構わないけどよ。で、俺がテンセイなんとかってなんなんだ?」
「俺もよく分かっていないんだけど、りっくんは他の世界に元々はいたみたいなんだ」
「…そうか」
律がぎゅ、と拳を握る。そして真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。
「なぁ心海?これからも俺と一緒にいてくれるか?」
「っ…!そんなの当たり前だよ!ずっと一緒にいる、約束する!」
「ありがとうな」
二人はどちらからともなく抱き合っていた。心海は律の顔を見上げた。
「あのね、りっくん、俺…、りっくんのこと」
「ちょっと待ってくれ、心海。それは全部解決してから聞きたい。今はその…、ぐちゃぐちゃしててよく分からないから」
「…分かった。りっくん、必ず全部解決しようね」
「おう!」
「おかえり、りっくん」
「おぅ。なあ、心海?」
「何かあった?」
律は言いづらそうにしている。彼の中で何か変化があったのだと心海は察した。
「俺って、小さい頃からお前のそばにいるよな?」
やっぱりと心海は覚悟した。
「うん、そうだよ!赤ちゃんの時から一緒だったんだって」
「じゃあなんで知らない場所の記憶があるんだろう」
「りっくん…」
律が途端に儚げに見えて、心海は彼を抱きしめた。
「りっくん…不安なんだね。俺がいるよ、大丈夫」
「心海…お前、なんか知ってるのか?」
心海は困った。急に転生者だと言われても信じられるはずがない。だが今のままでは律があまりにも可哀想だ。
「りっくん…多分信じてもらえないと思う。君は転生者なんだよ」
「は?ラノベのネタか?」
「…知らない記憶ってどんなの?」
「剣を振っていたり、馬に乗っていたり色々だ。この間なんか見合いをしろって言われたところが思い浮かんだ」
「お見合いかぁ」
「そんなのする必要ない。俺はお前しか選ばないからな」
「りっくん…」
最近の律はこうして愛を沢山くれる。それが単純に嬉しい。今の空気なら告白できるかもしれない、そう思った瞬間、心海のスマートフォンに電話がかかってきた。
慌てて出るとスイケだ。
「やあ、心海!明日は遊園地だね、楽しみにしているよ!いい思い出にしようね!」
スイケに返事をしようとしたらぷつりと通話を切られる。
「なんだったんだ?」
「あのね、りっくん。明日の遊園地はもう一人行く人が増えるみたいだから」
「お、おう。それは構わないけどよ。で、俺がテンセイなんとかってなんなんだ?」
「俺もよく分かっていないんだけど、りっくんは他の世界に元々はいたみたいなんだ」
「…そうか」
律がぎゅ、と拳を握る。そして真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。
「なぁ心海?これからも俺と一緒にいてくれるか?」
「っ…!そんなの当たり前だよ!ずっと一緒にいる、約束する!」
「ありがとうな」
二人はどちらからともなく抱き合っていた。心海は律の顔を見上げた。
「あのね、りっくん、俺…、りっくんのこと」
「ちょっと待ってくれ、心海。それは全部解決してから聞きたい。今はその…、ぐちゃぐちゃしててよく分からないから」
「…分かった。りっくん、必ず全部解決しようね」
「おう!」
29
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
【幼馴染DK】至って、普通。
りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。
失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話
雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。
主人公(受)
園山 翔(そのやまかける)
攻
城島 涼(きじまりょう)
攻の恋人
高梨 詩(たかなしうた)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる