2 / 21
2・はじめての二人暮らし
しおりを挟む
「お、カレー美味いな。心海は料理できるから助かる」
二人は一番近くにあるスーパーで、カレーの材料やフライパン、包丁、まな板を購入した。お金は高校生の時にバイトで必死に貯めたお金だ。一応毎月食料を送ってくれると親は言ってくれたが、早くても明日以降だろう。心海は母親にメッセージアプリで今の状況を報告した。すぐ既読がついて「頑張りなさい」と言う言葉が返って来た。
「心海は学校、明日からか?」
「うん。りっくんは明後日からだっけ?」
「おう、なら俺が明日、片付けられるものは片付けておくから」
「ありがとう」
「あ、お前いつものえっちな本持って来たろ?」
ぎくうとなってしまった心海である。心海は生粋の腐男子である。律はそれを知ってもこうして一緒にいてくれる。
「まあお前だって健全な人間だしそれくらいは当たり前だよなあ」
律は否定するどころか、こうして受け入れてくれる。なんてよくできた幼馴染なんだろうと心海は心の中で律を拝んだ。
「とりあえず布団を出そう。もう疲れたからな」
「うん」
二人の借りたアパートは2DKだ。それぞれの部屋があるだけでかなりお高い家賃がかかる。
「心海、布団持ってやる。もう寝間着に着替えようぜ」
部屋に入ると机とベッドが置かれている。律はその上に布団を敷いてくれた。ベッドサイドには小さなテーブルとコンセント。かなり便利そうだ。
「良い部屋にして良かったな」
「うん、またバイト探さないと。りっくんは練習頑張ってね」
「俺の親から5万は仕送り来るからそれを家賃に充てような」
律はしっかりしている。こうして大好きな律と毎日一緒にいられるだけで心海は嬉しい。
心海は服の入った段ボールからパジャマを取り出して着替えた。
「じゃ、おやすみ」
律にぽむぽむと頭を撫でられて心海はフリーズしてしまう。
(今の写真に撮りたかった。頭ぽむぽむとか彼氏じゃん!りっくんの思わせぶり!バカ!)
悶々としながら心海も自室に戻る。
とりあえず明日は大学の入学式だ。早起きして準備をしようと決めてベッドに入った。
***
「わあ、寝坊した!」
時計を見るとすでに七時半を回っている。心海は慌てて着替えて部屋を出た。
「お、起きたか。おはよう」
「りっくん、ご飯作ってくれたの?」
「おう、ハムエッグとサラダとトーストだ。早く食べて行け。昼はテキトーに学食で食ってくれ」
「ありがとう!頂きます!」
心海は手を合わせて食べ始めた。トーストがかりかりで美味しい。
「ふう、美味しかった。じゃあ行って来ます」
「気を付けて行けよ」
(りっくん、何でもできるもんなあ。大学に入ったら彼女とか出来るんだろうか。やだなぁ。りっくんのことだから絶対スパダリなんだろうなぁ。彼女さん羨ましい…)
悶々としている間に学校の最寄り駅に到着する。
心海は電車を降りて学校へ急ごうと走った。
「おっと」
駅の構内で、誰かとぶつかりそうになって心海はその人を見上げた。整った顔立ちにぱっちりした青い瞳。まるでその瞳に吸い込まれそうだ。
(王子様爆誕!)
「あ!えーと、ごめんなさい!」
慌てて謝ると、その人は優雅に笑った。その笑顔があまりに綺麗すぎて、心海は縮み上がることしか出来ない。
「大丈夫。僕はなんともないから。これから学校?」
「あ、急がないと」
「もしかして菊花大かな?僕もそこなんだ」
「えぇ、王子様が?」
「王子様?」
口走ってからしまった、と心海は口を塞いだ。
「ご、ごめんなさい」
しゅんとしながら心海が謝ると、彼は笑う。
「僕は五条瑛太。君は?」
「あ、新田心海です」
行こうか、と彼にいつの間にか手を握られていた。そのまま手を優しく引かれる。
(王子様だし、きっとこういうの手慣れてるんだな。まるで漫画みたいな展開!!まあ俺には無縁か…)
二人は学校に向かって走り出した。
二人は一番近くにあるスーパーで、カレーの材料やフライパン、包丁、まな板を購入した。お金は高校生の時にバイトで必死に貯めたお金だ。一応毎月食料を送ってくれると親は言ってくれたが、早くても明日以降だろう。心海は母親にメッセージアプリで今の状況を報告した。すぐ既読がついて「頑張りなさい」と言う言葉が返って来た。
「心海は学校、明日からか?」
「うん。りっくんは明後日からだっけ?」
「おう、なら俺が明日、片付けられるものは片付けておくから」
「ありがとう」
「あ、お前いつものえっちな本持って来たろ?」
ぎくうとなってしまった心海である。心海は生粋の腐男子である。律はそれを知ってもこうして一緒にいてくれる。
「まあお前だって健全な人間だしそれくらいは当たり前だよなあ」
律は否定するどころか、こうして受け入れてくれる。なんてよくできた幼馴染なんだろうと心海は心の中で律を拝んだ。
「とりあえず布団を出そう。もう疲れたからな」
「うん」
二人の借りたアパートは2DKだ。それぞれの部屋があるだけでかなりお高い家賃がかかる。
「心海、布団持ってやる。もう寝間着に着替えようぜ」
部屋に入ると机とベッドが置かれている。律はその上に布団を敷いてくれた。ベッドサイドには小さなテーブルとコンセント。かなり便利そうだ。
「良い部屋にして良かったな」
「うん、またバイト探さないと。りっくんは練習頑張ってね」
「俺の親から5万は仕送り来るからそれを家賃に充てような」
律はしっかりしている。こうして大好きな律と毎日一緒にいられるだけで心海は嬉しい。
心海は服の入った段ボールからパジャマを取り出して着替えた。
「じゃ、おやすみ」
律にぽむぽむと頭を撫でられて心海はフリーズしてしまう。
(今の写真に撮りたかった。頭ぽむぽむとか彼氏じゃん!りっくんの思わせぶり!バカ!)
悶々としながら心海も自室に戻る。
とりあえず明日は大学の入学式だ。早起きして準備をしようと決めてベッドに入った。
***
「わあ、寝坊した!」
時計を見るとすでに七時半を回っている。心海は慌てて着替えて部屋を出た。
「お、起きたか。おはよう」
「りっくん、ご飯作ってくれたの?」
「おう、ハムエッグとサラダとトーストだ。早く食べて行け。昼はテキトーに学食で食ってくれ」
「ありがとう!頂きます!」
心海は手を合わせて食べ始めた。トーストがかりかりで美味しい。
「ふう、美味しかった。じゃあ行って来ます」
「気を付けて行けよ」
(りっくん、何でもできるもんなあ。大学に入ったら彼女とか出来るんだろうか。やだなぁ。りっくんのことだから絶対スパダリなんだろうなぁ。彼女さん羨ましい…)
悶々としている間に学校の最寄り駅に到着する。
心海は電車を降りて学校へ急ごうと走った。
「おっと」
駅の構内で、誰かとぶつかりそうになって心海はその人を見上げた。整った顔立ちにぱっちりした青い瞳。まるでその瞳に吸い込まれそうだ。
(王子様爆誕!)
「あ!えーと、ごめんなさい!」
慌てて謝ると、その人は優雅に笑った。その笑顔があまりに綺麗すぎて、心海は縮み上がることしか出来ない。
「大丈夫。僕はなんともないから。これから学校?」
「あ、急がないと」
「もしかして菊花大かな?僕もそこなんだ」
「えぇ、王子様が?」
「王子様?」
口走ってからしまった、と心海は口を塞いだ。
「ご、ごめんなさい」
しゅんとしながら心海が謝ると、彼は笑う。
「僕は五条瑛太。君は?」
「あ、新田心海です」
行こうか、と彼にいつの間にか手を握られていた。そのまま手を優しく引かれる。
(王子様だし、きっとこういうの手慣れてるんだな。まるで漫画みたいな展開!!まあ俺には無縁か…)
二人は学校に向かって走り出した。
74
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【幼馴染DK】至って、普通。
りつ
BL
天才型×平凡くん。「別れよっか、僕達」――才能溢れる幼馴染みに、平凡な自分では釣り合わない。そう思って別れを切り出したのだけれど……?ハッピーバカップルラブコメ短編です。
推し変なんて絶対しない!
toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。
それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。
太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。
➤➤➤
読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。
推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?
桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。
前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。
ほんの少しの間お付き合い下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話
雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。
主人公(受)
園山 翔(そのやまかける)
攻
城島 涼(きじまりょう)
攻の恋人
高梨 詩(たかなしうた)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる